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11話 死因不明

俺と理沙は雄太君の通夜に出席していた。


「この度は雄太君の事本当に残念でした。」


喪主を務めている千代さんが応対してくれた。


「雄太の事、本当にありがとうございました。」


俺と理沙は千代さんに頭を下げた。


「なんの力にもなれず本当にすいませんでした。」


千代さんは泣きながらもこう俺達に言ってくれた。


「いえとんでもありません。雄太の為に動いてくださってありがとうございました。きっと雄太も喜んでいると思います。」


千代さんはそう言ってくれたが、俺の心の中はやるせなせで埋め尽くされていた。


きっと理沙も同じ事を思っているだろう。


理沙も本当に辛そうな顔をしていた。


そして通夜の時に千代さんは雄太君の棺を前に泣き崩れてしまっていた。


とても見ていられなかった。


そして俺達は失意のまま帰路についていた。


その帰り際に声を掛けられたのだった。


「警部さん?」


俺が後ろを振り向くと、そこには九是山綜合病院の矢場先生が立っていた。


「矢場先生、どうされたんですか?」


「雄太君の事が残念で仕方なくて通夜に出席させてもらったんです。」


「そうなんですか?」


「警部さんはどうして雄太君の事を調べていたんですか?」


「矢場先生、別に自分は警部として動いていた訳ではないんですよ。」


「ではどうして?」


「妹の理沙の付き添いで動いていたんです。」


「理沙さんの為に。」


「実は理沙は神主をやっているんです。うちの春山家は神社を管理する家柄なんですよ。」


「そうなんですか。」


「ええそれで雄太君のお母さんにお祓いの相談を受けていたんです。」


「そうだったんですね。」


「矢場先生、知っていたら教えて欲しいんですが、雄太君の死因ってなんなんですか?」


「少し言いにくいんですが、死因不明と聞いています。」


「死因不明ってどういう事ですか?」


「文字通りですよ。なぜ雄太君が死んだのか分からなかったという事です。この前お話したように雄太君の体に悪い箇所はどこにもありませんでした。さらにあの後にも色々と検査をしたんですが、雄太君は至って健康だったと判断しました。にも関わらず雄太君は死んでしまった。死に至る何の原因もないのにです。ですので死因不明という言葉を使わせてもらいました。」


「死因不明ってそうそうないですよね?」


「いや死因不明自体はそれほど珍しい事ではないんですよ。」


「そうなんですか。」


「死因不明と判断される事はそれなりにあります。ただ」


「ただ?」


「そういう場合でもある程度の死因の推測はできるんです。生前に心臓病を患っていたから心臓が原因だろうとか、肺の病気を患っていたから肺の病気が死因だろうとある程度は推測はできるんです。ただ断定するまでの根拠がないから死因不明になる場合がほとんどなんです。雄太君の場合は本当にどこも悪くないのに、突然死んでしまった。正直医師として頭をかしげてしまう状況なんです。だから正直恐怖すら感じているんです。意味が分からなくて。」


「勤務医の先生でも分からなかったり恐怖する事があるんですね。」


「そりゃありますよ。警部さんならなんでも分かるんでしょうけど。今回の事は意味が分からない。」


「理沙は何か分かる事はあるか?」


理沙は首を横に振ったのだった。


「ううん、全然分からないよ。神主としても意味が分からないもの。」


「本当に何が起こってるんだろうな。」


雄太君の体は健康そのものだった。


そして年齢も16歳ととても若いのに、どういうわけだか亡くなってしまった。


理沙の話では雄太君に憑いていた青い自然霊や他の幽霊全ては離れたと言っていた。


「はあー、謎は深まるばかりだな。」


すると矢場先生がこう切り出してきた。


「実は警部さんにお話しておいた方がいいと思った事がありまして。」


「ほう俺にですか。」


「はい、実は雄太君だけじゃないんですよ。」


「雄太君だけじゃないって、どういう事ですか?」


「実は最近九是山綜合病院に運ばれてきた患者さんで死因不明で亡くなる方が結構いらっしゃるんですよ。」


「死因不明で亡くなる方がいるのは珍しい事ではないと仰っていませんでしたか?」


「ああ、すいません。ちょっと言い方が悪かったですね。雄太君みたいに若い年齢の子達がたくさん死因不明で亡くなっているんです。」


「そうなんですか?」


「ええ。」


「みんな雄太君みたいに未成年なんですか?」


「いえ雄太君みたいに未成年の患者さんもいますが、普通に成人している人もいます。でも0代とか20代の人がたくさん死因不明で亡くなっているんです。普通であれば10代や20代での死亡率というのはとても低くなるのが一般的なんです。」


「まあそうですね、大体入院するのは高齢の人が多いイメージです。」


「ええ年代が上がっていくつれて体にガタがきたり、体の抵抗力がなくなって入院される方が多くなっていきます。だから当然死亡率というのは、70代とかそういう年代の方が圧倒的に多いわけです。にも関わらずこの九是山総合病院では体のどこも悪い所がなく持病もないのに死因不明で亡くなる10代や20代がとても多いんです。」


「自分も気になって調べてみたんですが、たぶん九是山綜合病院だけでもこの1か月で100人以上は亡くなっていると思われます。」


「矢場先生、九是山総合病院だけでもというのは?」


「ついでに他の病院でもこういう例はないかと医者仲間に聞いてみたんですよ。そしたらこの1か月ぐらいで九是山綜合病院以外の病院でも似たような状況で亡くなった10代や20代の子達が他の病院でもかなりいたようです。」


「全体の数だとどのくらいになるんですか?」


「データとして集計したわけではないので、ざっくりにはなりますがたぶん3000人ぐらいにはなると。」


「3000人??そんなにもですか?」


「ええ、たぶんそのくらいの数にはなると思います。」


「全年齢での数字はたぶん4000人とかそれぐらいでしょう。その内の3000人ぐらいが10代と20代で占められているんです。」


「3000人もの若い世代の人間が体に何の異常もないのに死因不明で亡くなってるんですか?」


「どうやらそのようなんです。」


俺はこの話を聞いて恐怖を感じてしまった。


「意味が分からない話だな。不気味すぎる。」


「ええ俺の仲間達もみんな不気味がっていましたよ。」


矢場先生は腕時計を見て時間を確認した。


「おやもうこんな時間ですか、では私はこの辺で失礼します。」


「そうですか、矢場先生、貴重な情報をありがとうございました。」


矢場先生は九是山綜合病院へと帰っていった。


俺と理沙もそのまま帰路についた。

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