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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
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百合短編

今夜のステージはマイ布団(ふとん)

作者: 転生新語
掲載日:2025/03/20

「相変(あいか)わらず、ゲームの腕(うで)は大(たい)したものよね。言(い)うなれば天下(てんか)無双(むそう)だわ」


 私は引(ひ)きこもりの独(ひと)り暮(ぐ)らしで、今日(きょう)も布団(ふとん)に籠(こも)って対戦(たいせん)格闘(かくとう)ゲームをプレイしている。親(おや)からも見捨(みす)てられていて、そんな私を〝天下(てんか)無双(むそう)〟などと評価(ひょうか)してくれるのは、何(なに)かと世話(せわ)を焼(や)いてくれる友(とも)だちの彼女(かのじょ)くらいだ。


「褒(ほ)めてもらえて嬉(うれ)しいけど、私に未来(みらい)はないわよ。どうせ就職(しゅうしょく)もできない。……もう放(ほう)っておいて」


 彼女(かのじょ)が世話(せわ)をしてくれなかったら、あっという間(ま)に私は餓死(がし)するだろう。それでも、これ以(い)上(じょう)、彼女(かのじょ)に負担(ふたん)を掛(か)けたくなかった。


「まあまあ。貴女(あなた)がゲームで使(つか)ってるキャラクターみたいに、明(あか)るく行(い)こうよ。見(み)てて楽(たの)しいよね、このキャラ。踊(おど)りながら敵(てき)を倒(たお)すスタイルが爽快(そうかい)だわ」


 あっさり彼女(かのじょ)に受(う)け流(なが)される。私の使用(しよう)キャラクターはダンスミュージシャンで、葉(は)っぱでもキメてるんじゃないかというくらいのハイテンションだ。陰(いん)キャの私も、ゲームでの対戦(たいせん)中(ちゅう)は気分(きぶん)が上(あ)がって、憂鬱(ゆううつ)な現実(げんじつ)を忘(わす)れられた。


「……どうして私に構(かま)うの? 貴女(あなた)に返(かえ)せるものなんか、何(なに)もないわよ」


「そんなことないわ。私、貴女(あなた)の才能(さいのう)を買(か)っているの。お金(かね)を稼(かせ)ぎましょう。手配(てはい)は私がするわ。それで分(わ)け前(まえ)をもらえれば満足(まんぞく)よ」




「スーパーアーツ・コンボが炸裂(さくれつ)ぅ! ダンス、ダンス、ダンス! 正(まさ)に天下(てんか)無双(むそう)の強(つよ)さ! 優(ゆう)勝(しょう)賞金(しょうきん)、一億(いちおく)五千(ごせん)万(まん)円(えん)は彼女(かのじょ)が獲得(かくとく)しましたぁ!」


 会場(かいじょう)は両国(りょうごく)国技館(こくぎかん)で、国内(こくない)最大級(さいだいきゅう)のゲーム大会(たいかい)を私は制(せい)した。実況(じっきょう)席(せき)の解説(かいせつ)も、どこか他(た)人(にん)事(ごと)のように感(かん)じられる。私が喜(よろこ)びを分(わ)かち合(あ)いたいのは、ただ一人(ひとり)だけだった。インタビュアーから優勝(ゆうしょう)コメントを私は求(もと)められる。


「おめでとうございます。素晴(すば)らしい強(つよ)さでしたが勝因(しょういん)は何(なん)でしょう?」


「それは……他(ほか)の大会(たいかい)もそうですけど、私が布団(ふとん)に包(くる)まってプレイすることを許(ゆる)してもらえたからだと思(おも)います。ありがたいです」


 私が布団(ふとん)の中(なか)でこそゲームの才能(さいのう)を発揮(はっき)することを、マネージャーとなった彼女(かのじょ)は見抜(みぬ)いていた。布団(ふとん)で寝(ね)ながらプレイするスタイルで、プロのゲームプレイヤーになれたのは、彼女(かのじょ)の交渉(こうしょう)のお陰(かげ)である。


 車輪(しゃりん)付(つ)きの台(だい)の上(うえ)で、布団(ふとん)に包(くる)まった私はマネージャーの彼女(かのじょ)に運(はこ)ばれて去(さ)る。今夜(こんや)の布団(ふとん)は彼女(かのじょ)と一緒(いっしょ)だ。

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