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奇襲

速攻

勝利

11月5日

2300

日本某県 自動車中古販売店

『正面ゲートが封鎖されてます。』

「突破しよう。トラックで突入だ、ダイナミックにやるぞ。」

 午前中に特殊作戦群の隊員数十名と訓練を終えた後、そのままブリーフィングをして、ここに来た。

 この自動車中古販売店に、誘拐された人が集められているという情報が入ったようだ。

 日本の行方不明者の中でも、特異行方不明者に記録された人の可能性が高いという。

 特異行方不明者とは、警察が「生命や身体に危険が及ぶ可能性が高い」と判断した行方不明者のこと。殺人や誘拐の被害者、自殺のおそれがある人、徘徊中の高齢者や病人、事件性のある家出人などが該当。一般の行方不明者とは異なり、特異行方不明者と認定されると警察による本格的・緊急的な捜索が開始される。

 警察が対応せず、なぜ民間の会社”桜”がやるのかって?

 それは簡単。敵に政治家とか、警察の幹部とかがいるかもだから。

 それに、桜は強いからね。

『チャーリー、車で突入するぞ。』

『チャーリー、ラジャー。ピックアップトラック3台の突入だ、行くぞ。』

 勢いよく猛スピードで門を破る。ピックアップトラックが突入していき、同時に突入する。

 ナイトビジョンを目元に持ってきて、持っているM4A1をオフセットで構えながら進む。

 私はアルファチームの一人として動く。

 そして、ドアに張り付き、アルファ指揮官がハンドサインを使用しつつ指示する。

 前にいる人のポーチに入っているフラッシュバンを取り出し、ピンを抜く。

 反対側の隊員がドアを開けて、私がフラッシュバンを投げ込む。

 閃光と音が出たタイミングとほぼ同時に突入する。

「特殊部隊だ!」

「手を挙げろ!!」

 日本語だけでなく、英語や中国語、韓国語でも呼びかける。

 室内は明るかった。ナイトビジョンを持ち上げて、M4に取り付けているタクティカルライトを点けて、『室内の捜索を行う。』

「クリア。次行くぞ。」

 ドアを開けると、撃ってきた。

 フラッシュバンが投げ込まれ、私ともう一人が射撃する。また、敵がいる場所の横にある窓から別のチームが射撃。

 人が倒れる音と共に銃声がやみ、静かになる。

「行くぞ。」

 盾を持つ隊員を先頭に進む。

 しばらく他のチームと連携を取りつつ、突き進む。

 何度か攻撃を受けたが、怯まずに倒して、倒して、倒して、倒す。

「最後だ。」

「ハンマーでやる。」

 ブリーチングハンマーでドアを打ち破り、部屋に突入する。

 中はソファと、机だけという殺風景だった。

『クリア。こちらアルファ、捜索完了。』

『ブラボー、こちらも完了。でも、目標は一人も見つかってない。』

『こちらデルタ。捜索したが、目標は見つからず。』

 目標である誘拐された人が見つからない。事前の調査や偵察では、確かにいたことが確認されている。目視だけでなく、写真や映像にも残っている。

 机をどかしたり、ロッカーを開けたり。壁をハンマーやバールでぶち破ったり。

 同時に敵の銃火器や、スマホ、パソコンなどの情報媒体を回収していく。

「くそ、どこだ!?」

 アルファ指揮官の長谷川賢治が机をぶっ叩く。

 見つからない。外に出て、車を整備をする場所に向かう。

 整備用のリフトに行き、リフトの空いている空間に降りケミカルライトを投げ込む。

 銃口とライトを向けて、降りる。

「おっと?」

 不自然な隙間がある。

 M17に持ち替え、隙間に手を入れて開けてみる。

 結果は、ビンゴ。

「榛名より総員へ、隠し部屋と思われる空間発見。洞窟みたいになってる。」

『ロードよりアルファ及びブラボーへ。確認に向かえ。チャーリー及びデルタは、回収作業と周辺を警戒、待機せよ、アウト』

 アルファとブラボーの隊員が集まり、トラップの確認を行い、突入する。

 洞窟のような通路は狭いとも、広いとも言えない広さだった。照明はあるが、少し暗い。

 3分くらい歩いた。とても静かで、不気味だった。

「ドアだ、閉まっている。」

 通路が狭いため、盾持ちの隊員が2人並ぶ。

 鉄扉であったので、少量の爆薬を取り付ける。

 爆破、フラッシュバン、突入という流れだ。

 とてもスムーズだった。

 突入して、銃を持った敵を倒した。前の敵は倒した。机を盾にした敵も倒した。

 ......ロッカーの上で寝っ転がりながら銃を構えた敵には気付かなかった。

 撃たれた。

「ぐぅ!!」

 痛み。

 痛みを感じてから、痛い場所を押さえたいが。しゃがみながらM17で反撃。近くの隊員も気づいたようで、応射している。

「クリア!」

「榛名、大丈夫か!?」

 身につけていた装備を剥がし、被弾箇所を見る。

 防弾の部分に被弾したようだ。あそらく青く内出血になるだろう。拳銃弾でよかった。

 立ち上がり、装備を再度身につける。

 部屋は案外狭かった。いや、 カーテンの奥に誰かいる。カーテンの奥は結構広そうだ。

「ブラボーが先頭で突入する。アルファは援護して。」

 ブラボーチーム指揮官の伊藤美玖が盾持ちの隊員の後ろにつきながら、KSGショットガンを構えている。

 合図でカーテンを開けて、進む。いや、進もうとした。

「......え?」

 この場にいた全員が止まった。息を吸うことさえも......。

 目の前には、ボロボロの服を着た老若男女問わず、様々な人がいた。顔はやつれて、痩せ細っている。怪我をしている人もいた。

 ベットやソファなどに座っているが、衛生環境もいいとは言えないだろう。

 共通していることは、

 絶望。

 悲しみ。

 諦め。

 恐怖。

 そして、私達を恐怖や期待の眼差しがあった。

 なぜ、どうして。なぜここに私が。なんで私がこんな目に遭わなきゃいけなかったの?

 そんな言葉が出てくるだろう。

「ロード。こちらブラボー指揮官。目標を発見した。おそらく想定よりも多い。基地までの輸送に、車両が必要だ。それと、タオルや、水。ドクターチームを要請。」

『こちらロード、了解。』

 ドクターチームは、衛生兵を主とした編成となっている。比較的に他のチームより、人数は少ないがなくてはならない存在である。医師でないのに、ドクターという名前なのは、元々衛生兵を英語圏でドクという愛称がある。しかし、ドクチームだと、”毒”、というのと混じるので嫌だという意見が複数あり全会一致でドクターチームという名称になった。

 ドクターチームが到着するまで、基本は私とブラボー指揮官の美玖さんが中心となり目標の対応を行う。

 銃器をホルスターに拳銃だけ入れている状態にして、M4は長谷川さんに渡す。ヘルメットやナイフを外すことで威圧感をなくす。

「私達は貴方達を助けに来ました。安心して下さい。」

 美玖さんの呼びかけで、緊張から少しだけ安心した雰囲気が広がる。

 早速、対応する。小学生と思われる女の子と、中学校と思われる女の子に話しかける。

「大丈夫?......じゃないか。体調とか、大丈夫?」

「だ、大丈夫です。あ、あの! 私達をどうするつもりですか?」

「私達は助けに来た。貴方達を。だから安心して。」

 ポーチからメモ帳を取り出し、名前や年齢といった個人情報から、体調といった情報を書き込んでいく。

 聞きながら雑談を挟み、緊張を和らげる。

「好きな食べ物とか、ある?」

「え? ......か、カレーかな?」

「私はチャーハン!!」

「いいね、美味しいよね。よし、じゃあこのメモを赤十字マークを付けた人に渡してね。」

 こうやって、ドクターチームが到着してからも続けた。

 名簿にあった人は全員いた。体調不良や、精神的ストレスで病んでしまった人もいた。

 歩ける人は車まで歩いてもらい、歩けない人は担架や背負って運んだ。

 マイクロバスに乗ってもらう。

 武装した私達は基本は乗ってきたピックアップトラックに乗り込み、基地に向かうが、ドクターチームの隊員と護衛の隊員が乗る。

「こちら榛名、2号車、準備よし。」

『OK。準備できたなら行って良し。』

 

 近年。行方不明者数が増加の傾向がある。

 また、特異行方不明者が増加している。

 特異行方不明者の増加の理由として、高齢化による認知症の徘徊、若年層のSNSによるの対人や家庭トラブル。コロナ禍以降の生活苦や精神的ストレスが複合的に影響している。また、インターネットカフェはとても便利であるが、インターネットカフェなどの普及で低コストな逃避場所が便利で整っていることも、理由の一つである。


特異行方不明者増加の主な理由

認知症の徘徊。

高齢化の進展に伴って、認知症を原因とする行方不明者が3年連続で増加。


SNSや若年層の悩み。

10代・20代の若年層は、SNSトラブル、家庭内不和、学校生活の悩みから家出するケース。


経済的生活苦。

借金や仕事上の行き詰まりなど、中高年層を含む深刻な生活苦が、突然の失踪を招いている。


隠れ家や逃避場所の整備。

全国どこでも利用可能なインターネットカフェの存在が、社会とのつながりを絶ったまま滞在できる環境を作り出している。


事件や事故のリスク。

命に危険が及ぶ可能性がある連れ去りや災害などの事例が依然として高水準で推移している。


 様々な理由があり、事件や事故などに巻き込まれてしまったり、巻き込まれてしまう行動をしてしまったのだろう。

 このマイクロバスに乗っている保護された人達は、どんな理由で行方不明者となってしまったのだろう。

 私には知る由もない。いや......干渉すべきでないと思ってしまう。

 M4を携え、眠りたい気持ちを抑えつつ、基地に到着するまで待つ。


11月6日

0015

日本 航空自衛隊 某基地格納庫

「こちらに並んで下さい!」

 航空自衛隊基地の格納庫に車両隊は入り、航空自衛隊のC-2輸送機やCH-47チヌークの機内で桜の衛生兵や信頼できて情報保全できる医師や看護師らが今回の目標である人々に様々な検査を行っていく。検査はインフルエンザや性病などといったの感染症、妊娠の有無、怪我の有無などだ。しかし、採血するにも大量になるため、採血するためだけでも慎重な行動を心がける必要があった。検査が終われば、別の格納庫に駐機しているC-2輸送機に乗り込み、食事や睡眠などをしてもらう。

 なお、この基地を使っていることはごく少数の人間だ。基地を使っていることすら気づいてない人間もいるだろう。

「榛名、撤収するぞ。残りはやってくれる。」

「了解。」

 チラリと後ろを見ると、輸送機の中でカレーを美味しそうに頬張る2人の少女が見えた。

 M4を持つ手に力が入り、頬に一滴の水が落ちた気がする。

 車両に乗り込み、”桜”は静かに撤収する。

 まるでそこには誰もいなかったように。

 

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