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EP.4‐冒険者ギルド‐

挿絵(By みてみん)


 ペアー村長の案内でアプル村の冒険者ギルドへ向かう事となったユリは村の中でも大きく立派な建物の前まで来ていた。


「ここの冒険者ギルドで冒険者登録が可能です。詳しい事はギルドに居る受付嬢に聞くと良いでしょう」


 扉に入ると建物の中には広い空間が広がっており、正面にはカウンターがあり右手には階段があった。しかしプリズンオーガによる襲撃の影響なのか元々人数が少ないのか分からないが冒険者はほとんどいなかった。


「それではユリ殿、まだ仕事が残っておりますので私は先に宿屋にユリ殿の事を話してきます。宿屋までの道はギルドでお聞きください」


 ペアー村長は軽く会釈をするとギルドから出て宿屋があると思われる方向へ歩いていった。そしてその直後にユリは背後から声をかけられた。


「あ、あの…」


 急に声をかけられたのでユリは驚いて振り向くとそこには先ほどプリズンオーガに襲われていた母娘の娘の方だった。あの時は気付かなかったが革の鎧に短剣を装備している姿からしてこの娘も冒険者なのだろう。


「わ、私はミーロと言います…先ほどは母親共々助けていただきありがとうございました…!」


「えーと…僕はユリ。無事で何よりです、その後お母さんの体調は大丈夫ですか?」


 あの足を引きずっていた様子だと体調が心配だ、もし何らかの病気だった場合怪我は無くてもストレスで症状が悪化するかもしれない。


「母親は昔の傷で足が悪いだけなので体調に問題はありません、今は家に戻って休んでいます。ここで待っていればユリさんに会えると思って待っていました、何かお礼をさせてください!とは言っても持ち合わせはあまりありませんが…」


 お礼と言っても金銭はロウから貰った銀貨があり、しばらくの宿や食事は村長が用意してくれるらしいので銀貨を使う予定も無い。なのでこのミーロと言う少女から貰う報酬は知識の無いギルドと言う場所で下手を打たないように案内してもらう事にした。


「それなら僕はこれからギルドに登録しようと思ってるので案内をお願い出来ますか?」


「そ、そんなことで…って!ユリさんは冒険者じゃないんですか!?てっきり高ランク冒険者だと思ったのですが…」


 この少女はおそらくプリズンオーガを倒したと言う情報から、ユリを冒険者だと思いギルドであれば出会えると考えたのだろう。


「僕はギルドのルールは全く分からないのでミーロさんに案内をしていただけると助かります」


 ユリは笑顔でミーロに握手を求めた。するとミーロは顔を赤らめながらユリの手を握った。


「わ、分かりました!ご案内します!」


 ユリはミーロに連れられてカウンターまでやってきたが受付嬢の姿は無かった。


「受付嬢の人がカウンターに居なかったらこのベルを鳴らして下さい。この村のギルドだと冒険者の対応が少なくて受付嬢は他の仕事をしててカウンターにいる事の方が少ないんですよ…」


 ミーロは苦笑いをしながらカウンターの上にあるベルを鳴らした。すると声が聞こえてきたのはカウンターの奥からでは無く上からだった。2階の手すりから身を乗り出している受付嬢と思われる女性はこちらに手を振った。


「あらミーロじゃない、お疲れ様ー。そうだミーロ、例のプリズンオーガを倒したって人は見つかった?素材を是非買い取りたいのだけれど討伐をした本人の承諾が無いと解体も出来ないのよねー…。ところでお隣の可愛らしいお嬢様はミーロのお友達かしら?」


 倒したプリズンオーガはゲームとは違い消滅してドロップアイテムを落とすことは無かったのでそのまま放置してしまったが、この世界では魔物その物が素材となるようだ。


「フラウさん!失礼ですよ!この方がプリズンオーガ倒した人です!」


「あらあら!随分お若いのですね、これは失礼致しました。今そちらへ向かいますね」


 受付嬢のフラウはロングスカートの裾を持ち上げて小走りで階段を降りて来た。


「ようこそアプル村冒険者ギルドへ、受付嬢のフラウと申します」


 先ほどミーロと話していた時はもっと砕けた話し方だったが丁寧な口調でユリを迎えた。


「初めましてフラウさん、僕はユリと言います。えっと、冒険者ギルドに登録をしたいんですけどお願い出来ますか?」


 フラウは手を揉み、ゴマをする勢いでユリの話を遮るように話し出した。


「はい!ではプリズンオーガの解体依頼を…って登録!?」


「フラウさん落ち着いて!ユリさんがプリズンオーガを倒した人なのは間違いないけど、今日は冒険者登録をしに来たんだよ!」


 フラウが鬼気迫る勢いで迫って来ていたため、ユリは焦りながらコクコクと首を縦に振った。


「あら、そうだったの!プリズンオーガを単騎で倒したって聞いてたから勝手にAランクの冒険者だと勘違いしちゃってたわ、ごめんなさいね」


「はい、少し事情があってこの村に来たのですが、仕事が無いのでひとまず冒険者に登録しようかと思いまして…それで、登録する事は出来ますか?」


 フラウはカウンターの中に入り、何やら書類を取り出してユリの目の前に置いた。


「もちろん可能よ、それにしてもユリさんがこの村に来たのはまたまただったのね…ロウさんが来ていたと聞いていたからてっきり派遣された冒険者だと思ってたわ。それじゃあこの書類に名前を書いてもらえるかしら?」


 フラウは意外にもユリが冒険者登録をする事に対して何も違和感も感じていない様子だった。案外ある程度の実力があっても冒険者に新規登録する事は珍しく無いのかも知れない。


 そしてユリは書類に目を落とすと見知らぬ言語だったがスキルの『言語翻訳』で理解出来た。本来『言語翻訳』スキルはゲーム内で進行に応じて出てくる解読不明の言語を表示する事が出来る物だが、この異世界の言語にも適応されるようだ。


「はい、書きました。確認をお願いします」


「それじゃあ登録料として半銀貨1枚お願い出来るかしら?」


 ユリは先ほどロウから貰った銀貨を取り出してフラウに渡した。そしてユリの名前が刻印されたカードと半銀貨9枚の返却があった。


「本当だったら村の救世主のユリさんには登録料はおまけしてあげたい所だけど、ギルドの規則だから許してね。はい、これがギルドカードよ、駆け出しならGランクからスタートだけどユリさんは討伐依頼も問題無いだろうしFランクで登録したわ、それとこのカードが無いと依頼を受けたり報告したりする事が出来ないから無くさないように気を付けてね」


「ありがとうございます、それで先ほどフラウさんの言っていた解体の依頼ってお願い出来ますか?」


 ユリの言葉に待ってましたと言わんばかりにフラウは目を輝かせた。


「もちろん!それで解体した素材はうちに卸して貰えるのかしら!?」


「素材の使い道も無いですし、勿論大丈夫ですよ」


 プリズンオーガの素材と言われても使い道も分からない、持っていても仕方がないので売れるなら売ってしまおう。何よりフラウから是非と卸してくれとの圧を感じる。


「ありがとう助かるわ!解体が終わり次第買い取らせて貰うわね。これでギルドの運営費に余裕が出来るわ〜!」


「ここのギルドの主な収入は私達冒険者が採取依頼で集めた薬草をギルドマスターがポーションを作って各地に卸して賄っているんです。回復ポーションの需要は高いですけど、どうしても魔物討伐を主な収入源にしているギルドに比べると利益が出せないみたいで…」


 ミーロは冒険者の格好をしてはいるが、魔物の討伐をしている訳では無く採取依頼をこなしているようだ。


「ミーロの言う通りよ。ギルドマスターも頑張ってくれてはいるんだけど、冒険者の数も少ないアプル村だと薬草の数も安定しないし、いくら薬草があっても作れるポーションの数には限界があるからね…」


 調合師なのに攻撃ポーションを使用せず回復ポーションを作るだけと言う所で察しがついていたがやはりギルドマスターと言われる人の調合師ランクはあまり高くないようだ。本来調合出来るポーションはランクにより様々あり、ゲーム内では生産職の中でも他プレイヤーに販売して利益を上げられるスキルである。


「ペアー村長からここのギルドマスターはポーション調合師だと聞いてましたけど、苦労されてるんですね…ご挨拶をしたいんですけどギルド内にいらっしゃるんですか?」


「ギルドマスターなら2階の自室にいるわよ、村への襲撃があった時からずっと回復ポーションを作ってましたから、今はお茶を持って行って休憩してもらってるわ」


 カウンターのベルを鳴らした時に2階からフラウが現れたのはギルドマスターにお茶を入れていたためのようだ。


「それじゃあミーロ、私は解体の手続きを始めたいからユリさんをギルドマスターの所に案内してもらえるかしら?」


「分かりました、それではご案内しますね」


 ミーロが階段の方向へ歩き出したのでその後をユリは付いて行こうとした。その時フラウに呼び止められてユリはくるりと振り返った。


「あの子はね、足の悪い母親の代わりに冒険者になってギルドで採取依頼を頑張ってるんだけど、同年代の友達が居ないのよ、だからミーロと出来たら仲良くしてあげてね」


 ユリの中身はおそらく同年代では無い気はするが…そういう事なら断る理由は無い。


「分かりました、僕はしばらく村に滞在する予定ですし、ミーロさんにはまだ色々と教わりたい事もありますからね。それと、仲良くするって言うならフラウさんも僕の事はユリでいいですよ」


「あら、ありがとうユリ。それとギルドマスターとも仲良くしてあげてね」


 ギルドマスターと仲良くとはどう言う事だろうか。今の話の流れだと友人にでもなってくれと言わんばかりだった気がするのだが…


「ユリさーん?何してるんですかー?」


 階段の手前でミーロがユリを呼んだ。ユリは慌ててミーロの後を追いかけ、ギルドマスターが居る2階へ向かったのだった。




★ミーロの容姿★仮

・髪 茶髪のショートボブ

・顔 幼さの残る垂れ目の茶色の瞳

・服装上半身 革の系鎧

・服装下半身 腰を守る革鎧で腰に短剣を装備

・足 茶色の靴


★フラウの容姿★仮

・髪 肩までかかる茶髪ロングウェーブ

・顔 強気な顔で軽いつり目

・服装上半身 受付嬢の制服

・服装下半身 ロングスカート

・足 パンプス

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