ラスト20秒のゲーム
同じクラスになった木村に連れられて部活動見学に行くことになった蓮士。その先で先輩たちとチームを組み、蓮士は試合を開始することとなった。初戦の相手は木村たちのいる黄チーム。果たしてどちらのチームが勝つことができるのだろうか。
ボールが上がった。
3メートル程の高さに上がったボールはアンリュードが弾き、赤チームボールからスタートした。先輩達は数年差があるだけでこれ程違うのかと思わせるほどのDFをし、 アンリュードも同級生と思えないくらいどんどん点をとっている。
(なんか置いてけぼり感がすごいな。俺)
すると春馬先輩が3PTを打った。しかし、
ガンッ!
ボールはリングに入らなかった。
「あちゃー全然だめやん。今日あんまシュートはいらんし、アカンな日や。」
ボールはリングを跳ね返り再び飛んだ。すると新名先輩が飛び込んでリバウンドし、ボールをキャッチした。と思ったらすぐさまアンリュードにパスした。
「リュー!」
先輩の身長は少し高いが、センターの人たちと比べたら低い方だ。一旦外にパスしたのは正解だと思う。だが新名先輩はとても器用で視野も広く賢いので身長があれば主戦力となりうる人だと思う。
すると黄チームの1番身長の高い人がアンリュードに付いた。
「巨大なルーキーさん。今度こそは止めさしてもらうよ。」
「ルーキーしゃないデす。アンリュードって名前があるデス。」
するとリューは自分の大きな身長とは逆に低く、耳に響くような強く、早いドリブルをしだした。
「そんなDFじゃマモることデきまセんよ。」
と言うと、別にそこまで早い訳でもないのに、サラッとDFを抜いていつの間にかローポストのところまで行っていた。
するとアンリュードは見とれるようなスムーズなステップから真上に向かって高く、綺麗に飛んだ。
ゴンッ!
アンリュードはその長い腕でリングをつかんでダンクシュートをしたようだ。
(バケモンかよw)
そんな凄いプレーを見てボーッとしていると、
「おい。」
今まで静かだった丸藤先輩が話しかけてきた。
「次、DF。」
「あ、はい。」
蓮士は急いでDFに戻った。
丸藤先輩は高校から始めたらしく、シュート力はあまりないが、それをものともしないフィジカルと身長を持っている。
すると木村が早いドライブで新名先輩を抜き、攻め込んで来た。
「得点ゲットー!」
シュッ、、、バコンッ!
木村がフローターシュートをしようとしたのだろうがそれをブロックしたらしい。さすがのフィジカルとジャンプ力だが、
ドンッ!!
体が当たってしまい木村が吹っ飛んでしまった。元ラグビー部らしく、たまにプレーが荒っぽくなるらしい。
「ブロッキング。フリースロー2本。おいプレーが荒くなってるぞ。」
「ウッス。」
慎之介さんからのお叱りだ。が、そのラグビーのおかげで体力はほぼ無限に等しい。実際に全然疲れた様子がない。
そして吹っ飛んだ木村は腰を抑えながら何故か笑っている。変態なのだろうか?
「これで2点ゲット!」
俺は足を引っ張らないようにするのに精一杯なのに木村はどれだけ点を取るかを考えてるらしい。ある意味羨ましいと思った。
休憩を挟み、第2クォーターが始まった。2クォーター制で回すって言っていたからこれが最後のクォーターだろう。
そして開始早々、木村とマッチアップした。
木村がOF、俺がDFだ。身長差もあまりないため、テクニックと身体能力がものを言う1on1だ。木村の早いドライブに全てギリギリで対応しながらDFをしていた。
「ちゃんとDFしないと抜かしてしまうよ。」
「やるならやってみろや。」
事実、俺は木村のドライブに反応するだけでもうヘトヘトになっている。さらに少し感じることがある。
木村のプレーはなんか気持ち悪いということ。理由は分からないが、なんか変に感じる。対して神ってるプレーや見えないほど早いドライブをしてる訳でもないのにいつもの2倍くらい疲れる。何故かと考えていると突然、
「隙あり。」
と言うと木村はおれを抜き、丸藤先輩がカバーする前にジャンプシュートをして決めた。伊達に3年バスケやってた訳じゃなないということがよく分かる。
第4クォーター残り20秒で48対49となった。1点差で負けている。1戦目にも関わらず、みんな本気になり、ヘトヘトになっている。
元気なのは丸藤先輩だけだろうが、表情が全く変わらないため見分けがつかない。
するとボールが俺のところに回ってきた。
(リューみたいにエグいプレーじゃなくてもいい。ただ、もう1本、あと1本決めたい。)
そして攻め込もうとしたとき、
「お前に点は取らせねーよ!」
「あああ!うぜえ!」
1クォーター目からずっとマンマークで俺についてくるので、ウザいこと限りない。こいつの頭はきっと戦闘民族なのだろう。それ以外考えれない。
「それでも取る!」
トップの位置からまず右に速いドリブルで攻めこむ。木村が追いついてくるのは想定内である。ここからさらにバックスステップで突き放した。
「クソがっ!」
試合も終盤で足の疲労も溜まっている。体重が後ろ向きにかかっている木村にとってここから追いつくのはきついだろう。
そしてわざと木村が追いつくように少し遅くシュートモーションのフェイク動作に入る。木村が飛びついたところで切り替えして左に攻め込んでいく。
「ここでなんとしてでも潰せ!」
「おう!」
後ろにいた2人がカバーに入ってきた。1人なら抜くこともできたが、2人となれば話は別だ。相手の先輩とは5センチ程しか変わらないが、バスケにとって5センチは大きな差である。少しでも指がボールに触れられればシュートが入ることは無い。
(クソッ!あと少しなのに!こんな時にアイツみたいに、、、、、、!)
蓮士はその場で急に止まりシュートを打った。しかしそのボールはリングには向かわず、あらぬ方向へ進んでいる。それなのに、蓮士は笑っていた。
すると慎之介さんがボサっと呟く。
「狙いはシュートじゃないんだよなぁ。これが。」
ボールの行き先にはジャンプしているリューがいた。高く、滞空時間の長いきれいなジャンプだ。
「ほら、ちゃんと決めろよ!」
「雑だナ。もう少シちゃんとパスを出セ。」
ドガンッ!
ブロックに来た相手を吹っ飛ばしながらアリウープダンクをしたらしい。その相手はリューの足元に倒れている。すると
ピィィィィ!
試合終了のブザーだ。結果は50対49で逆転勝ちをした。ブザーを聞いた途端、ずっとピンと張っていた気が切れ、尻もちを着いてしまった。足が体を支えきれないほど疲れていたのだろう。
「ウオォォォォォォ!!!ナイスパスだった蓮士!!かっこよかったぞ!」
新名先輩が思いっきり騒いで抱きついてきたが、腕を回す気力も残っていない。勝つことができて嬉しい。嬉しいが先輩の抱きつく力がどんどん強くなって少し痛い。いや、かなり痛い。すると
「リュー!お前もエグいダンクだったぞ!!」
と言いながらリューの方へ走っていった
「いやいや、センパイこそお上手デシタよ。」
「いやぁ。そうかなぁー」
満更でも無さそうだ。
すごく楽しい試合だったし、先輩達も優しく、部活に入れば以外と楽しそうだ。だが俺はバスケ部に入る気はない。もう中学の時のような経験はしたくない。
すると誰かがドアを開けて入ってきた。
「ホイお疲れー。元気にやってんなぁ。」
「速水コーチ。お疲れ様です。」
「「「お疲れ様です!」」」
どうやら監督らしい。見たところ30代後半くらいで身長は170センチくらいある。髪は毛先が紫がかっていて根元は綺麗な黒髪の女性だ。
そして女性は俺にこう言った。
「いいな少年。なんか面白いね。」
どうもあんこカラスです!2話目いかがだったでしょうか。1話目は流れで書いたので、名前を著者である私が忘れてました(笑)小説家って凄いですね。
少しでもこの話を呼んで喜んでくれたら嬉しいです!次回もお楽しみください。
感想でも文句でもコメントに書いて行ってください!
全て見させて頂き、自分の腕を磨きたいと思います!