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緋色の封印

全参加者の1戦目が終了し、また別の組み合わせが組まれ発表される最中、ノアはとあることを思い付いていた。


「我が忠実なる僕であり、我が異能(チカラ)による半身たちよ。」


ロアとミハイルに向けて直接語りかけるノア。

すでに2人はノアの目の前に傅いている。


「私は決めたぞ。」


そう言って立ち上がったノアは2人の前に出て2人の顔を猊下に眼を見開く。


カッ!と3人の間に電撃が走ったかのように間があり、ロア、ミハイル両名に異能で直接思いを伝えるノア。


「ノア様…!」


「我が主よ、申し上げにくいのですが差し出がましいことを申し上げると…!」


ロアとミハイルがそれぞれ声を上げるが、


「クドいぞ…!すでに伝えた通りだ。」


その言葉に2人も押し黙ってしまう。


「では、彼の者達をここに…」


ミハイルがフッと空気に溶けたかと思うと、すぐに同じように現れ、尚且つ、その際に複数人を連れていた。


「お前たちにはたった今より我が創造物の管理者として働いて(・・・)もらう。」


声に応えたと思ったらすでにノアの前に集められていた数人は戸惑いながらノアを見る。


集められたのは、


【黒刃】

【支配者】

そして、

【構成記述者】


「我が貴様たちの異能や身体そのものを強化し続ける。」

「そこの小僧には我が異能に耐えうる器となる物質を生成してもらう。」

「小娘には器が自ら自身の存在を支える()を形成できるようになるまでその場となる力場提供してもらおう。」

「そしてお前には、我が異能の力を器に書き写し、さらには独立稼働するように器が持つ異能構成そのものを書き換えてもらう。」


この指示に、それぞれ顔を見合わせる3人。


「突然のことでわからんだろうが、我は自らの異能によって我に脅威となる存在を自ら作ることができん。よしんば作れたとしても本質的に我が異能に勝ることはできん。」


「よってお前たちを用いて間接的に我が力の片鱗を持つ新たな存在を作り出したいのだ。わかるな?」


ノアの説明に半ば理解はできたか。と言った調子の3人。


「貴様たちに説明しよう…」


「この私の予言…予兆とでも言おうか?そう言ったことを感じ取ったのだよ私に新たな世界を教えてくれる存在。その出現のな。」


マリヤが間髪入れずに質問する。


「貴方はそんな存在を無理やり作って何をするつもりなの?」


「いいや?特に難しいことではないぞ?私に新たな考えを与えてくれる存在それそのものが欲しいのだよ。」

「やはり、どれだけの才があろうと想像力というのは1人では枯渇するものだからな。」


目を閉じ軽く笑みを浮かべるノア。


「こやつらはとても優れていて、確かに有用だが、創造的なものに対する見地はもっていない。」


三人の両サイドに控える、ロア、ミハイルへ交互に視線を移すノア。

二人はコメントを控えているようだ。


「我と同等の超越した存在が現れるのを待つのは、もう止めだ。」


「決勝までそのようなものが現れてきた時のために用意した、我が異能を識る(・・)ための結晶…」



「これに今よりお前たちのチカラを注ぎ込むのだ!」



ロアが懐より結晶を三人の前に放ると落下せず手から離れた時の高さのまま浮き流れて行く『結晶』



ヴォルフは早速、黒き鉱物を『結晶』に取り込ませていく。


エリーも空間を掌握し不純物を取り除き、かつ、常に形を変えていく『結晶』にそれを取り囲む、掌握した空間の独立した空間構造の実体を紐ずかせていく。


マリヤはノアの考えがわからないと困惑していたが、一間置いてノアの異能の情報全てを内包するというその『結晶』をまず読みこむところから始めた。




ノアは【破天裁魔】を顕現させ、その場どころか、その地の地平線からその地が触れる海の水平線に至るまで、ノアの視点で見渡せるその世界を「完全に」自在に操り能動的にその手にした。



「「さぁ、待つのは終わりだ!!!」」







「「「「現れよ!!!」」」」








三人に時空を超えた処理能力を授けることにより、一瞬で『結晶』は完成を迎える。



グワァ…と空間が歪む。


そこには、神秘的な光を纏う真球がうまれていた。



「これが…!」


ノアが目を輝かせ、真球に近づく。

その誕生に携わった3人は力を使い果たしたようでミハイルに介抱されていた。


ノアはその真球に手のひらで触れる。

自らの支配する空間の中でありながらノアにすら直接触れなければ全貌を捉えることのできない存在なのだ。


    ワタシがあなたの願い、叶えます。


「…?」


訝しむノア。

真球が魂に直接意思を伝えているということに気づくには一瞬遅れた。


「コレは…なんだ?」


そう。

想定していた“ノアと同等の存在”ではなく。


願望を叶えんとするデウスエクスマキナ…そんな印象を与える存在に感じられたのだ。


「(予言の存在はコイツではない…?)」


そうノアは感じていた。











「「「ノア様!!!!」」」









ロア、ミハイル、マリヤが叫んだのは同時だった。






自身のその胸から長剣が飛び出していることにノアはその叫びによって気づいた。



「…!!!!」


その胃を貫く、その一撃で逆流した血液で口から血液がゴポリと吹き出される。




「お初に。ノア様。」


自らを貫く男がその背を通して声をかける。

続くように周囲から影が、そしてそこから真球を一回りも二回りも小さくしたような球状の物体が生じ、


「まずはご無礼をお詫びいたしますわ」


「じゃが、全能の異能を持ち、それだけの身体能力に思考能力を持ち合わせても、この結果。やはり“慢心”というのは恐ろしいのぉお…?」


「まぁ、僕ら“異能生命体(センチネンクルス)”あとは任せてよ!!」


「…」


「ウン!!ムゥ!!」


五つの陰から、華美な暗色でまとめられたドレスを身に纏う若い女性、かなり小さい背で杖をついた猫背の老人、探偵のコスプレをした少年のような子供、黒い鎧・黒い騎馬のような何かに乗った騎士、ツノの生えた剃髪の巨躯の漢。

多種多様な様相を呈した者たちが現れた。






「    貴 様 ら …  ‼︎  」




口からペッと血を吐き捨て、肩越しに睨め付けたノア。



美丈夫然とした姿のノアを貫いた男がバッと飛び退き、距離を取る。それに他の者も続く。



自らを貫いていた長剣をノーモーションで消し去り、

傷を完治させ、ロアとミハイルに片手で合図を送り人々の保護を命じるという動作を一瞬で行い、

背後に向き直ったノアは戦闘体勢として全身からオーラが噴き出す。


ビリビリビリ…!!


とノアの異能の影響で大気が軋み、大地が鳴合する。




そこでふと、不自然な熱源を感知したノアは真球から炎と共に新たな異能生命体(センチネンクルス)の発生を目にする。



まるで火から生まれたノアのような外見の者。



「…私は【焔】。」


彼はホムラとそう名乗った。


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