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ニカンボルネアの祭壇


「カー・ケチーウ」


「ワー・ウサーヨ」


「テー・レシーア」


「マー・ボガーズ」


「ルー・ピルーシ」


「オー・マソーヤ」



それぞれの顔が上がる。


オンゾゴベルンの一族。


ニカンボルネアの大帝国が、


浮遊する島々、飛ぶ戦艦、


文明をそのまま天国として実体化させた国


と呼ばれたその国がこの地球には存在していた。


最終的にはバベルの崩壊と、ノアの一族以外の地表人類が滅びたとされる大洪水、

ソドムとゴモラの最終戦争…


それらを踏まえた上でそれでもなおあり続け、


紀元前以前に内部崩壊した後、

着水した一部の国土はムー大陸としてこの世から消失した。



しかしそれはニカンボルネアにとっては些細なことに過ぎなかった。



中核をなす神殿、


異重力によって空間にある浮き土から生える魔法植物、群生森林。


王家の都。



それさえあればよかったのだ。



「我ら一族は栄枯盛衰をたどり、遂に究極の一族となった。」

「それがなんたるか!」

「わかるか!」



長である男は昂っていた。


それ見に宿す力にでは…ない。


一族として、

種族として、


この星に住まうすべての生物に対し、

完全無欠の優位性を獲得したと確信したからだ。


水棲生物から

【邪神】

によって力を得たインズマアウの一族は海を支配し、

海と生きることで他の人類を圧倒し、陸にこそ侵食しては来なかったが、


湾港の一部を一族のための観光都市にしたり、

他の人類を一方的に封殺したりすることで、

世界を影から牛耳っていたのだ。


力どころか、完全性の加護を得たオンゾゴベルンの一族の長がどれほどの一族に対する功名心や名誉を感じたかは彼にしかわからないところであろう。


「Nを加群Mの部分加群とします。X1引くx2がNの要素である時、X1イコールX2.(mod N)と書き、X1とX2はNを法として合同であると言います。

式四十七

が成り立ち、したがってX1イコールx1MOD N

反射率が成り立ちます。

またX1イコールX2モッド Nの時、

式四十八

がなりたち、X2とX 1はNを法として合同、対称律も成り立ちます、さらに

X1とX2、X2とX3がNを法として合同の時、

式四十九

となり推移律も成り立ちます。


以上からNを法とするイコールもっどNが同値関係であることが確認できました。

加群Mの代表元bをとり、この同値関係に関する同値類を

式五十

と書きます。

同値類bのことを、Nを法とするbの剰余類と言います」


「カー・ケチーウ」


頭脳(・・)の適応化により数理分類学的パターンによってしか発話できないカーは進言をした。



それに対して、


「剰余類bと別の代表元cの和はbの要素b'

cの要素c'において

式五十三

よりb'+c'とb+cのはNを法として合同となります。すなわち代表元の選び方によらず、同値類として同じものになっています。

0は零元となり-bはbの逆元となり結合律交換律も成り立つためM/Nは加群となります。

M/NをNを法とするMの商加群と言います。」


「テー・レシーア」


テーは冷静にそれに対して同じ言語体系に則ったって反論をした。

カーはそれを聞き激昂する。


「___________っ!!!!!」


「それ以上の言及は結構ですよ。」


その言い合いを見て朝は情けなくなる。

この子らの幼稚性は、生物学上の問題を持たない上位存在として生まれ変わっているオンゾゴベルンの一族において何も杞憂をうむものではなかったが、


単に品性として、一族全体の品位に今後関わるかもな、と長は2人の名を呼び仲裁に入る。



「お前たち、2人は、いや6人は不死不滅の存在を活かし、その肉体を有実体、無幻名を行き来する存在となるのだ、些細なことで喧嘩などするな。意味を持たぬぞ?」


「「…」」


それでも互いを許せてはいない2人。


「まったく…」


「やれやれだが、とりあえずこの生薬をのみ、胸が赤く迸る光に包まれ始めたならばこの短刀で自害するのだ。」






「!」



遂に来たか、一同は息を呑む。


それぞれが生薬を飲み、光に包まれはじめる。


「う!」


「くっ!」


ひとり、また1人と短刀で倒れ伏していく。



全員が静かになった時、それは起こり始めた。


それぞれの肉体が揺らぎ始め、体が粉のように細かく発散し始める。


赤い光は徐々にその色を変えていき、


その本人を象徴する色へと収束していく。



「「あぁー!」」


カーとテーが同時に声を上げた。


目が上を、上を向き続け痙攣する。


ピーン、と。


全身が一気に伸び切ったかと思うとその身体は霧散した。



6人の男女がそれを皮切りに霧散する。




「さぁ、神霊として顕現せよ!!」


長が長刀を抜き、祭壇で縦に振るう。


それぞれの胸に突き刺さっていた担当だけは、6人のいた足元にのこっていたのだが、


それが弾け飛んで、6つ同時に長刀を受け止めた。



「「「「「「我ら」」」」」」




「「「「「「オンゾゴベルンの神霊」」」」」」




ヨォグ



ネル



ソン



トント



ホゥゼス





言語化するならば、そのような呼び名、

そのような




「神」



が降臨した。


カーたちは、神霊としての個を持ちつつ、「神」と同位化したのだ。



それぞれが短刀をいつの間にか握って6人は実体化していた。



「カーよ」


6人のうちの1人に話しかける長。


「はい、オンゾゴベルンの長よ。なんでしょう。」


「…」


やはりか、と長は思った。


言語野が特殊な言語体系でなければ会話を取れないように改造されているカーが普通に発話している。


それ自体が肉体的特徴からの解放を意味していた。


祭壇は儀式によって人と神との境界を曖昧にしたのだった。


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