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移譲

ホムラとミハエルの介入により、

バラムロンゾとヴォルフの戦いに決着はついていなかった。


「コレを…」


バキッ!


岩鉄斎を封じ込めたブローチを破壊するヴォルフ。

介入された決着の一悶着でバラムロンゾから奪い取っていた。


「…小僧。いや、ヴォルフよ。」

「礼を言う」

「…、別に。」


年寄りが不甲斐ない…といった調子でヴォルフへ感謝を述べる岩鉄斎だが、ヴォルフは感謝が欲しかったわけじゃないと素直な喜びを見せなかった。


「フフフ…」


バラムロンゾである。瀕死ながら不気味に立っている。


「貴方達はわかっていない!!」


「人類を統治する、と言いつつ完全に国家を解体しなかったウルティノア•アルヴァルトの失態を!」


「人類には統一政府内における完全自由型資本主義が必要だったのだ!」


「それを、主義思想を維持したまま世界連合の延長線において統一政府とするとは!愚かしい!!」


岩鉄斎が問うた。


「では何が正しいと心得るのだ。」


「聞きたいか!?ならば教えよう!」


「この世界の資本主義の優れている点、


資本主義とは、利益第一主義とも取れる思想で、極端な資本主義で考えると説明がしやすいが、利益の主体である生産者

つまり人間ですら資本・資産と捉えて効率的・機械的にその全体の利益を増大していこうと言う主題で考える議決方針だと考える。

今回はその資本主義が優れている点を「民主性資本主義」、そして同じく主義思想として大きく人類を二分した主義思想「国一性社会主義」と比較して比べて教えよう。


まず、今回主題として是非を問う点、

『なぜ資本主義は社会主義に比べて優れているのか』

と言う点だが、コレは歴史からも明らかになっている通りのことではあるため、質問等にはできればそれらを見つつ考えてくれたまえ!」


岩鉄斎は続けろと、無言の態度で示す。



「大きく分けて3つ、資本主義は社会主義に優っている点があるが、それらに共通する点があるためまずそれを提示する。


【社会主義は全体を考えているようで閉じた世界の個人の尊厳を保っているに過ぎない。そのため、最終的にはその社会が持ちうるリソースを使い果たした時、人は破滅するしかない。】


と言うことだ。

コレを「終末不可避要因」と定義し議論を展開していくことにする。


資本主義が社会主義に勝る点の1つ目、

それは「個人の独立性」を持っていることだ。

コレはまず、資本を持つ者、持たざる者に限らず、個人・法人区別なく生活の一通りの行為に対し権利をもつことで、【自由】を保証していることに意味がある。

コレが保証されているところによれば個人はその他の個人と協力すること・競争すること・2名以上で持ち寄って法人と言う新たな独立した社会的個人単位を作ることさえできるわけだ。

全体の利益を高める機能として、個人の独立性は資本主義において高い価値を持つ。

社会主義においては全体の一定の尊厳安全を守るため、個人の独立性はないに等しい。平等とは聞こえがいいが、それが意味することは個人の均一化であり、結果的に尊厳を守るはずである主義としての意味が自由の尊厳を奪うことで損なわれてしまっている。


資本主義が社会主義主義に勝る点の2つ目は、

「社会の発展性」をもつことだ。

これは「生来、ランダム性のある個性を持つ人間にとって最も好ましい「役割」は「利益」を上げられるものである。」と言う考えに基づき人々が自らの意思で選び役割を担う

と言うことだ。

コレがあることにより独立した個々が各々の利益収穫能力を最大限活かして利益を伸ばすことが可能であるため、定格で利益を集めているだけで、一定の総量しか利益を得られない社会主義に比べ資本主義は多くの利益を得ることができる。


最後に資本主義が社会主義に勝る点3つ目は、「社会の改善性」だ

資本主義では個人に必ず長所であり短所でもある「個性」があると考えるため、本来蔑まれるような存在など考えておらず、悪人であってもそれから利益を生む可能性を考え、最大限の対応がなされる。それは結果的悪を許さない!

これは社会主義と大きく違い、安全を謳い作られたはずの主義である社会主義では成し得ない成果と言える!」


内容を聞いた上で岩鉄斎は更に問うた。


「わからぬな。そこまで聞いてもそれはノア殿の失策に繋がらぬと思うが。」


「ハッ!わからないか!?」


バラムロンゾは嘲笑した。


「貴様らの統治者たるあの者は至高の存在でありながら結局はやつの能力下に全ての人類を置いているだけだ!はっきりいって資本主義を借りた終末的社会主義そのものではないか!」


「だから私は!」


そう言って、バラムロンゾは己に違和感を感じた。



「(なんだ…なぜ私はこいつら相手に討論なんぞしているのだ…?)」


「ハッ!?」


気づくと彼の背後にはいつのまにかマリヤが立っていた。


「き、貴様!!」


咄嗟に攻撃に移ろうとするが体が動かない。


マリヤの【構成記述者(アーキテクトライター)】によ自分のコントロールというものを完全に掌握されていた。


「はい、おじさん」


ポイっと、鍵のようなものを投げ渡される岩鉄斎。


受け取るが、それはデータに分解されるように岩鉄斎に溶けていく。


「マリヤ嬢、これをワシに預けられても困るぞ」


「おじさんが持っておいて。」

「それでさっきみたいなことにはならないはず。」


特殊なアイテムを無効化できる旨を伝えるマリヤ。


「お、おのれ、私のタロットアイテムを…!!」


「大丈夫、貴方にはもう必要のないものだから。」


呪詛を吐くバラムロンゾに無機質な回答をするマリヤ。


「ワンちゃんお願い。」

「誰が犬だ!!」


マリヤに決着を頼まれたヴォルフは今度こそ全力を全身に迸らせる。


「覚悟はいいか!」


「ま、まてぇ!」


当然、そう言いながら待つつもりなどなくヴォルフは神力を込めた技【黒天狼牙】を放った。


「ガァァアアアア!!!」


体内の(コア)が露出しヒビが入る。



「はぁッ!」



ヴォルフの力がコアを粉砕した。


「ッ!!!!!…!……。」


声も出さず。バラムロンゾは霧散した。


同時に、天幕の領域も霧散したのであった。


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