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短編集

雨、ときどき、明太子

作者: NBCG

 空から明太子、と聞けば、ファフロツキーズか何かだと思う人は、以前なら居ただろう。


 若しくは泥雨か血雨の文学的表現か何かだと思う人も、いたかもしれない。


 だが今となってはそれを文字通りの、そして日常と何も変わらない一幕であるとこの世の多くの人類が認識し得るだろう。


 数年前に発生した“既知理論崩壊現象”によって、今まで有り得ないと思われていたような現象が多発。多くの学術書がゴミとなった。


 それはただ物理学だけの話ではなかった。


 生物学や史学などは勿論、認知学や哲学、果てには数学すら。


 認識も常識も何もかもが書き換えられ、人々は偽の真空を知り、真の真空の足掛かりを得て、留まりつつあった全ての学問は爆発的に進んだ。


 勿論それは今までの学問が無に帰したからこそ、だったのだが。


 既存の環境問題など問題にすら非ず、情報の氾濫と洪水も抑えられ、通信情報上限も全人類、他の知的存在含めても問題など起こらない。


 変容した人類には希望や絶望といった概念から解き放たれ、楽観の最中にあった。


「続きました、二つ隣一昨日の思想予報です」


 空から吊り上げられているトルソオールからはカラフルに彩られた情報が垂れ流されている。


「二つ隣一昨日の思想は、雨、ときどき、明太子でした」


 人類の多くが楽観的になったとはいえ、私には懸念がまだ残っていた。


 懸念……以前に於ける、概念で称すのであれば絶望と言ったか、恐らく、それに近似した考え方だろう。


 それを明確に示すのであれば――


 明日、全ての知的生命は完了し、終焉を迎えるのだろう、ということだ。

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