出会い 3
よろしくお願いします!
(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!
*新作*
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「しかし…魔素をコーティングなんざ聞いたことがねぇ…坊主は知っていたのか?」
その言葉に少しだけ逡巡した神鋼は言葉を選ぶかのように答える。
「ええ、そのような詐欺ではなく失敗例として、ですけど」
「失敗例?」
鍛冶屋の親父が腕組みしながら首を横にかしげた。
「実際に試してみましょうか」
そう言うと神鋼は項垂れた剣士の手に握られたロングソードを奪うと、先程と同様に積層型魔法陣が展開された。
「魔鋼のみならず、金属から別種に近づけるための過程の一つで、駆け出しの鍛冶士が通る、言わば通過儀礼みたいなものですけどね」
宙に浮いた状態のロングソードがまるで意思を持った液体かのようにぶるりとその剣身を震わせると、いきなり銀色の球状に変化する。
「お、おい!! お、俺の剣がっ!!」
「なななななっ!! こ、小僧!! お、お前錬金術が使えるのかっ?! い、いや…これは錬金術なのか??」
周囲が息を吞む中、神鋼だけが冷静にことを進めていく。
「そもそもですが魔鋼とはどういった状態か、そこからまず説明しましょう」
神鋼は手を軽快に動かすと、それに応じるかのように目の前の球状を模した銀色の物体は色を徐々に変えていく。
「今の状態が魔素混合比率を高めた状態です。触りやすいようにインゴットにしましょう」
球状を模した銀色の物体は仄かに紫色に変わると、形状を変えていき長方形のインゴットを形作っていった。それを手に取ると神鋼は鍛冶屋の親父にインゴットを渡した。
「……熱くねぇ。いや、それどころか全く熱が無い。間違いねぇ…これは錬金術を使う素材士と同じ技法だ…坊主、こんな技術をどこで…?」
「そんなことは置いといて、親父さん。他に何か気づいたことはありませんか?」
「お、おめぇ…そんなことはって…」
何とも言えない表情で頬を人差し指で掻きながらもじっと渡されたインゴットを見ていると「むっ?」と嘆息交じりの声を上げた。
「魔力を帯びている…のか? 少しだが感じる…だが…」
「気付きましたか? そうです。その鉄には若干の魔力を含んでいます」
その言葉に4人組の魔狩人と思われる者達は一斉に息を吞むような仕草をとった。
「それっておめぇ、魔鉄をこさえた挙句、魔鋼にまでさっきの光るアレで作り上げたってことか?!!」
その言葉に神鋼は少しだけ口の端を吊り上げる表情を見せた。まるでその言葉を待っていました、そう言わんばかりに。
「ふふふ。期待通りの答えありがとうございます。ですがそれは鉄です。魔力を少しだけ帯びた鉄。分類的に言うと魔素配合鉄、そう名付けましょうか。そして親父さん、気付いたのはそれだけじゃないでしょう?」
神鋼の思わぬ問いかけに鍛冶屋の親父はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「お、おう。言葉じゃなんていうか…表現が難しいんだが、確かに魔力は帯びているんだが…帯びている、だがそれだけっていうか…魔鉄特有の力っていうのが弱いっていうか…」
神鋼は鍛冶屋の親父の答えに大仰のジェスチャーと共に拍手を持って応える。
「素晴らしい! その通りです!! 先程の答えがこれです! 鉄と魔素を混合しただけでは魔鋼の元となる魔鉄は作れないのです!」
そう言うと一同はお互いの顔を見合わせて、「なんだって?!」と息を合わせて言葉を放った。
「じゃ、じゃ…俺の魔鋼製ロングソードは…それっぽく見せた偽物だってことか!!」
そう言うと剣士の男は項垂れて座り込んでしまう。偽物を掴まされたことに落胆したのか、はたまたそんな自分が許せないのか。
「その答えについては否、いや現時点では否、とお答えすべきでしょう」
思いもがけない神鋼の言葉に剣士の男は『何言ってんだ?』と、分かりやすい表情を見せる。
「ここからは推測なのですが、この剣を作った者は実験がてらに作ったのでしょう。あなたの言うような詐欺的な意思はどうも作品からは感じられないんですよね」
「ぼ、坊主。なぜそう言い切れるんだ?」
「そうですね。まず最初の違和感はロングソードそのものの出来です。親父さんはメンテナンスに出された時、そのロングソードを鍛冶士として見た時どう思いましたか?」
神鋼の問いかけに少しだけ考える仕草を取った後、
「そうだな…いい剣、そう思ったな。丁寧な打ち鍛え方が印象に残ったし、鉄の純度も申し分ないと思う。これはいい仕事をしたな、そう評価したな」
「僕もそう思います。真摯に向き合う作り手の誇り(プライド)を感じさせる一品だと思います」
そう言い切った後、周囲に聞こえるか聞こえないかの音量で
『とはいえ取るに足らないゴミレベルの一品ではありますが』
と、気色の悪い笑みを一瞬だが見せるのだった。
そして神鋼は言葉を続ける。
「基本的な剣としての評価はそのような物でしたが、そこから何か技術的な挑戦を行うべくその第一弾として魔素のコーティングを行ったのではないのか、そう推測します」
「とするてぇと、この剣自体はそもそものオーダーとは違った物、そう言いいてぇのか?」
鍛冶屋の親父の問いかけに神鋼は首を捻った。
「どうなんでしょうねぇ。魔鋼製をオーダーしたのは間違いないんですよね?」
「あぁ! その通りだ! 魔鋼製は中々手に入らないし、そもそも熟練の鍛冶士かそれこそ魔導錬金士の資格持ちでないと作れないっていうしな。それだけの金も請求されたし」
「だがおめぇねずみのとこに頼んだんだろ? あそこは当たり外れが激しいからカモられた線も低くはねぇぞ」
鍛冶屋の親父の言葉に剣士の男は「うぐっ」と言葉を詰まらせてしまう。
「まぁ真相を紐解くにも限界がありますからね。あくまで可能性の範囲で捉えて下さい」
「くそっ!! あの野郎…戻ったら問い詰めて返金させないとっ!!」
「リフ、今は魔嵐の時期だし移動は難しいわよ」
急に後ろから女性の声がしたため神鋼は声の方向に顔を向けた。
「……あっ!」
神鋼の声に全員の耳目を集めてしまう。
「なぁに? 坊や?」
「い、いえ。……急に女性の声がしたのでびっくりしただけです」
「さっきから野太い声ばかりだったからね」
(昨日のブレイバー集団だ!!!)
そう、神鋼はようやくその事実に気付く。
目の前の4人組は前日に母親の邪魔が入ったせいで取り逃がしたあの4人組だった。
(俺としたことが気付かないとは。武器を目の前にすると何かスイッチが入る癖は直さないとですね)
「おいっ! 坊主!!」
「な、なんでしょう?」
「なんでしょうじゃねぇ! 詐欺られたかどうかは置いとくとして、俺のロングソードどうすんだよ!!」
剣士の男が指さした方向には薄い紫色のインゴットがたたずんでいた。
「あぁ」
「あぁ、じゃねぇ! 確かに魔鋼製じゃなかったとはいえ、ロングソードとしての機能は失われていなかったんだぞ!! どうすんだよっ!」
ロングソードから素材に戻された現状に対してお怒りの様子だが、神鋼は意に介さず驚くべき提案を行う。
「僕も試したいことがあるので、今回特別サービスで魔鋼製のロングソードをプレゼントするとしましょう」
「「「「「はぁ?」」」」
【※ここまで読んで頂いた皆様へ大事なお願いがあります※】
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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