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神鋼のソウルスミス  作者: こぬさん
第一章  陸王の息吹は春の訪れと共に吹き荒ぶ
35/40

フレーバーテキスト

よろしくお願いいたします。

明日は所用のため更新お休みです。ご了承ください。

 <フレーバーテキスト>


 トレーディングカードゲーム等においてその世界を補強する説明や背景、世界観を表した文章のことを指す。そこには具体的な効力は書き示されない。全ては匂い(フレーバー)を仄かに嗅がせる程度の内容しか記述されていない。そこに有るのは短い文章で世界観を構築する優れた文章であり、己が心に鮮やかなに印象を植え付けていくのみである。


 そしてそれはVRMMORPG<ワールドゲート>においてもその文化は受け継がれていた。


 神鋼しんこうは自分が創り出した作品には全てこの<フレーバーテキスト>を添えていた。

 これは作者の好みによって添えつけられるかどうか別れるため全ての創造物に付いているとは限らない。


 だが、どの世界にも頂点に至る場所では独特の共通した癖というものがある。

 ここ、ワールドゲートでも同じように独特の共通した、それは儀式にも似た癖があった。



 樹界廻誕(じゅかいかいたん)


 種類:自然系魔法(木樹系統)

 効果:領域設定後、その範囲内に指定された魔法効果を発現させる。その場に居たプレイヤーは領域規則に則った効果を強制的に与えられる。


 <TIPS>

 人間界に突如として現れた魔界の領域に足を踏み入れたが最後。そこにいる生命体は人間界とは対極にある生態を持ち、魔に連なる賢くもあり、また獰猛でもある捕食体によってその身を喰われることになるのだ。



 効果からして見れば単純に操作系に属した自然系魔法で、召喚と領域の二種系統を掛け合わせた割とゲーム内で普通にある魔法だったが、その作成に相当の希少(レア)素材を利用して魔法化にこぎ着けた超一級品の大魔法に部類するものであった。


 ワールドゲート内では魔法を創生するには二つの手順を踏まなければならない。

 一つは見合った効果を魔導プログラムで定義付けるということ。

 そしてもう一つは効果に見合った魔法書と呼ばれる創生物を作成し、そこに魔導プログラムを記述するというものであった。


 低級の、それこそ低レベルな魔法であれば単純に魔法書としてそこら辺に安価で売ってある紙に落とし込めば良いだけである。


 だがそれはあくまでもゲーム内での話である。

 この転生先である現実世界において、ゲームの世界設定がごちゃ混ぜになったこの世界で神鋼しんこうが一番先に手を付けたことは、この世界がどこまでワールドゲートの世界設定と類似、若しくは絡み合っているのかであった。


 これまでに違う点は様々な発見されているが、魔法については半分程度しか反映されていないと現時点で神鋼しんこうは考えていた。


 その根拠の基にあるのが魔法術式を人の精神野へと植え付ける方法である。

 これはワールドゲート内では無く、基本的には魔法書として作成出来ればそれでOK、と言った具合だったのだがそこに新たな手法がこの世界では確立していた。


 となれば逆に神鋼しんこうは不安を覚えてしまう。

 ワールドゲート内で創り出した魔法がどの程度までワールドゲート内の効果と寄るのか、を。


 結局ワールドゲート内では相手に与えた影響を数字で表していたのだが、この世界ではそれは無い。あくまでも現実世界として起こったことが全てなのだ。そこに数字が具現化して介在する余地など無い。



 神鋼しんこうはワールドゲート内ですら禁魔法とされていた樹界廻誕(じゅかいかいたん)を実際に使って見た。これは己が好奇心からであるが、それともう一つ理由があった。


 神鋼しんこうは視線の先、魔獣の森の方向を見据えていた。

 そして神鋼しんこう手札(カード)を切った。


 何故か今、ここで不安要素を吐き出しておけ。そう言われている様な気がしたからだ。

 そしてその不安要素は的中する。


 効果発動後の領域をどう元に戻すのか。

 その方法を考えあぐねていた。


 当初は魔力切れで自然と消滅するのでは、そう思っていた。

 だが…神鋼しんこうはこの世界でどこまでワールドゲート内の規則に準じているのか疑問に思ってしまう。


 そう、ゲーム内でも一度出した木樹はそのまま残り続けるのだ。

 領域を破壊しない限りは永遠と。この魔法はフレーバーテキストにも書いてある通り、魔界という異世界から転移されてきたという設定であり、そのまま残り続けるのだ。


 ゲーム内では結果的に領域ごとまとめて破壊という措置が取られていた。

 存在させてしまうと天然の罠みたいな領域がそこに残り続けるからだ。


 (……このままの勢いで魔力が減り続けて行ったら後数分で僕のコントロール下から外れることになりますね。どうしましょうか)


 今回魔の氾濫というある意味、数の暴力で押し寄せた敵に対して、こちらも数の暴力、それもある意味極上の戦力を有した数を大量に揃えてこの危機を乗り切ったわけだが、一転してこの極上の数の暴力がこちらに牙を向いてきそうな状況に陥る状況になってしまった。


 (軒先借りれば母屋が乗っ取られる、的な話ですか。笑えないですね…)


 神鋼しんこうは木々を操作して眼下に自身が創り出した領域を見下ろしていた。

 そこに奇妙な視線を感じた。


 (誰だ…)


 その先、感じた先を目で追うとこの暗闇の中でも更に黒、漆黒にも似た何かを感じ取った。

 木々を操作してその場に向かう神鋼しんこうの後ろをショウマも追った。


 樹界廻誕(じゅかいかいたん)で構築された領域内は神鋼しんこうと精神的に繋がっており、領域内を完全に把握できる状態にあった。

 にも関わらず自身が感知していない何かが領域内に居ることに訝しむ神鋼しんこうは危険を顧みずこともなくその場へ急いだ。


 「何者だっ!」


 到着一番にショウマは不穏な気配を感じ取り、剣の柄に手をかけた。

 神鋼しんこうもその不審者を凝視していた。


 『キサマが…我を召喚せしめた器…か』


 「召喚…ですか」


 神鋼しんこうは『召喚』という言葉に片眉を僅かに上へと吊り上げた。


 「話を聞きましょうか。何か用があるから…わざわざ介入してきたのでしょう?」


 『くふふふふ…感の良い。良かろう。時間もあと僅かである故、早速話をしようか』


 黒いもやに包まれた不気味な存在は一枚の羊皮紙に似た紙を付き出した。


 『これは契約書。我とお主を縛る契約書…その原紙じゃ。どうじゃ? 我と…契約せぬか?』


 「何っ?! 我が主と契約だとっ!」


 「受けるわけないでしょう…そもそも貴方…何者ですか?」


 即答にショウマもこちらを見やる。それは黒い靄も同じであった。


 「僕の魔法で召喚、そう言いましたがあの魔法は召喚魔法じゃない。あの魔法は存在を顕現(・・)するのみです。それも木樹系統という縛りがある。それに紛れるなんてそもそもできっこない。であれば…貴方、こちらの世界にタダ乗りしようとしてますね?」


 神鋼しんこうの言葉に黒い靄は佇んだままだった。だが急に堰を切ったかのように笑い声がこだましていく。


 『くふふふふぅぅ…本当に感の良い。この契約は…取り下げるとしよう』


 そう言うと黒い靄が徐々に薄くなっていく。


 『だが…忘れるな…我はもう一度お主の前に…立つ。その時にもう一度問おう…忘れるな…このことを…忘れるな…』


 そして黒い靄は消え去ってしまった。


 「…っ! 制御がグンと楽になりました…あいつ…僕の魔力を使って維持していましたね」


 先程まで感じてた違和感が無くなり領域操作が一転してスムーズになっていく。


 「あいつ相当に高レベルの……悪魔ですね」


 周囲を見渡すショウマ。まだ潜んでいないかを確認しているようだ。


 「この領域はこの拠点防衛用として残しておきましょう。それよりもショウマ」


 神鋼しんこうはそう言うと魔獣の森、その更に北側に位置する王魔の森の方向へと身体を向けた。


 「原因の元へと向かいましょう。多分僕はそこに行かなければならない」


【※ここまで読んで頂いた皆様へ大事なお願いがあります※】


ここまで読んで頂きありがとうございます。

拙作ではありますが、少しでも「面白い!」や「続きが気になる!」等々


と心の中に少しでも抱いて頂けましたら


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ぜひこの拙作のモチベーションを維持して頂くためにも、何卒宜しくお願い致します。

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