プロローグ.03
さぁさぁもうもういっちょう!!
(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!
*新作*
俺でなきゃ見逃しちゃうね ~圧倒的なモブ感満載な俺が異世界で旅団を作ろうとしたんだけど誰か助けてっ!~
ページ最下部にリンク張っておきますので皆様よろしくお願いいたします。
ソロで、そして自作した武装を率いて最難関ダンジョンを踏破するそのプレイヤーを、人々は注目し、公式にも何度も取り上げられ、結果として公式が認めた世界128神階位に名を連ねるまでに至る。4億人とも呼ばれるプレイヤーの、トップ128人である。
そうして世界でも神鋼しか作る事が出来ない武装の事をプレイヤー達は『神鋼装備』、そう呼ぶようになった。
現在ワールドゲートでは、神鋼の銘が入った装備品は数百億エルダーで取引がされる程に貴重な武器・防具として認知されていた。
依頼は一切受けていない神鋼陽が、過去の未熟な時期に作った神鋼製装備を持っていた場合、専用の武器・防具と交換するサービスのみ受け付けており、これを持つ者だけが依頼を受け付ける、そうゲーム内では認知されていた。
過去にあった数例としてゲーム内首都で定期的に行われるフリーマーケットでたまたま買った短剣が実は神鋼製という事が判明し、騒動になった事もあったようだ。それ程までに強力な装備品である神鋼装備は、世界最高の武器・防具として世界に認知されているのである。
そんな神鋼だが、過去に公式が取り上げたインタビューで、
「自身が作り上げた武器・防具の中で一番を挙げるのならどれを選びますか?」
と問われたことがあった。それに対して答えた内容は以下のような物であった。
「一番の意味をどう捉えるかによって返答内容は変わりますし、武器と防具で方向性が違いすぎるので回答が難しいのですが、思い出に残る装備、と言う事ならば親友へ送った武器『黒の剣』を迷う事無く選ぶと思います。あれは作成した自分が言うのもなんですが、本人の能力に相当合致した反則級の武器でしょう」
まだ名も無い時に素材集めの依頼を快く受けてくれたプレイヤー、リンドウは剣士スタイルの冒険者であった。
当時はお互いに名も知れず、切磋琢磨していた時期だったが、リンドウは一つだけ特殊なスキルを所持していた。それは『断剣』というスキルで、効果は切るという効果を強化すると言う物であった。
習得するにはそこそこ大変なスキルだが、そこそこ苦労すれば誰にでも習得出来るスキルであり、リンドウはどんな敵でも一刀のもとに断ち切るという信条に合致したこのスキルを大層気に入って使っていた。後にこのスキルを大成させ、『斬神剣』と呼ばれる専用スキルを習得するに至るのである。
そして世界一位、即ち筆頭の地位にリンドウは着くのだが、その当時大いに悩ます事態に陥っていた。それは専用スキルの『斬神剣』の反作用に悩まされていたのだ。
絶対防御無視というとんでもない能力を備えているこのスキルなのだが、相応にリスクもあった。それは武器の耐久力を強制的に下げさせる、という事だった。
これを解消する武器の作成を依頼された神鋼は大いに悩んだ。
色んな武器を作っては試してもらったのだが、破損させる時間を伸ばすことが精一杯で、大量に剣を持ち込んで使い捨てる戦法を覆す武器を作る事が出来ないでいたのだ。
当初は自動修復機能を持たせた剣を作ってみたが、このスキルの代償は修復不可という特性をもっており、途中から耐久性を伸ばす方向へ試してみたり試行錯誤を繰り返していた。
世界有数の名だたる鍛冶士がこの依頼を受け、匙を投げる。
そんな難問な依頼を神鋼は投げることなく、むしろこの問題を取り組むことがまるで生き甲斐のごとく取り組んでいた。
このような困難な依頼を持ち込んだ親友を神鋼はむしろ待ってましたとばかりに取り組んで数週間、とある解決方法を導き出すに至った。それはスキルの代償を肩代わりする方法である。
この解決方法は世界の鍛冶士、錬金術士、素材士、その他生産職にとって技術のブレイクスルーと認知されるほどに画期的であった。
一つは今までスキルや魔法が行使された『結果』に対して新たな『転嫁』という技術である。
これまで結果に対して対応する因果応報でこの世界は成り立っていた。そのうち今回はいわゆる対処に絞った処置であったが、それを対処するのではなく別の何かに丸ごと結果を移すという新たな概念を技術化したのだ。
そして二つ目こそが世界に神鋼陽という名を知らしめるきっかけとなった技術、『魂魄封印』である。
そもそも論としてまず魂魄という概念自体が無いゲーム世界で、初めて魂魄という新たな概念を定義付け、この世界に実証してみせたのだ。
この技術が世界にお目見えした時は誰も魂魄という概念を信じようとしなかった。公式も世に出て数週間は沈黙を保ったのが一因だったのだが、その後沈黙を破るかのようにリリースされた情報はワールドゲート内では衝撃ニュースとして世界に流れた。
『世界初のプレイヤーによるゲーム内概念の新規開発を公式として認めます』
ゲームリソースに予定の無かった新たな概念をユーザーが作り上げるという偉業に対して、「そんなことがそもそも出来るのか?」「これでこそワールドゲートだ!」と賛否両論が渦巻くも公式が認めるのだから是も非もない、そう思われるのも時間の問題であった。
神鋼は武器に新たな二つの技術、『代償転嫁と魂魄封印』機能を取り込み、その転嫁先を内蔵した魂魄に代償を肩代わりさせたのである。
そうして完成した『黒の剣』は抜剣と同時に覚醒状態となる仕様で、フィールドには黒い棺が出現し、その黒い棺が代償を肩代わりし砕けていく仕様をとっており、その異様さに公式ニュースでも取り上げられ、徐々にその全貌が明らかになっていく。
そしてこれを納品し、実際に使ってみた時のリンドウの感想は、
「随分と悪趣味…だな。だが…気に入った」
だった。
だがこの程度なら神鋼陽が武器の能力として一番と選ぶ事は無かった。
そう、黒の剣には先があった。
実はこの黒い棺に代償を肩代わりさせる事を逆手に取り、中々に面白いイベントを組み入れる事を思いつくに至っていた。
それはこの『黒の剣』には魔王級の魂魄を封じ込めており、かなり強固な封印を施していたが、それを解く鍵としてスキルの代償を利用したのだ。
敵が困難で、黒の剣を用いた戦いが長引けば長引く程、フィールドに現れた黒い棺は削られていき、結果として封印していた魔王を解き放ってしまう仕様になっており、過去に数回、リンドウは解き放っていたのだが、どれも大災害級と呼べる惨事をゲーム内で引き起こしており、結果としてリンドウに戦いを挑む者は少なくなっていったのは皮肉な結果だろう。
リンドウは初めて魔王を解き放った時、同道していた神鋼に放った言葉があった。
「やり過ぎだ。…だが気に入った」
魔王剣リンドウ。この名は黒の剣と共に刻み込まれた世界最高の剣士の名であり、この大災害とも呼べる『黒の剣』を作成した神鋼も同じように世界へと知られていくのであった。ちなみにこの時に使用した技術を基に神鋼陽専用武装の12武装は作られている。
取り囲んでいたメンバー達は、覚醒したルシフェルをスクショで撮ったりと楽しんでいた。中には涙エフェクトを駆使してこの出会いに感謝している姿も見せており、神鋼を大いに困惑させていた。そんな中、ふるふる大佐が気になることを口にした。
「そう言えば明日だったな。アップデートプログラム<New Gate>が更新されるのって」
その言葉に神鋼は同意するかのように頷く。
「今回は魔導式について大幅なアップデートが施されるって公式が告知していたよね。明日は朝からずっとアップデートのため、イン出来ない代わりにもう少し今日は頑張ろうかな」
「俺らもこうしては居られんな。さっさとボス狩って明日に備えないと」
お互い頷き、後ろ髪を引かれながらメンバー達はその場を後にした。
そして誰も居なくなったこの魔人墳墓最下層で、「もうひと踏ん張り!」と抽出に没頭するのであった。
そしてアップデート当日、神鋼は仕事を終えて帰宅し、ご飯やお風呂を済ませ専用機器のバイザーを手に取りアップデートが無事済んだ事を確認し装着した。そしていつものようにゲーム内へとインする。
前日は魔人墳墓内でログアウトしたため、同じ場所で現れた神鋼は周囲を見回した。すると、見慣れない扉を発見した。
「はて…あんな所に扉なんてあったっけ?」
そもそもこの一帯は扉はなく、唯一あるのは最下層行き止まりのボス部屋だけだった。だが神鋼は「アップデートプログラム名がNewGateだもんな。そう言う事か」と呟くと、そのドアに手をかけて勢いよく開くのだった。
開けた直後、扉の中から光が溢れ周囲を照らした。
その強烈な光に思わず目を細めた。そして意識を失った。
【※ここまで読んで頂いた皆様へ大事なお願いがあります※】
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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