魔法障壁魔道具<イージス> 5
なんだかんだでいつの間にか20話超えてました。
読んで頂いている皆様に感謝を。
そして近々気分転換に書いた新作投下します。
暇つぶしにどうぞ!(まだ投下してないですけど)
(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!
*新作*
俺でなきゃ見逃しちゃうね ~圧倒的なモブ感満載な俺が異世界で旅団を作ろうとしたんだけど誰か助けてっ!~
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「ふむふむ。結構知らない素材がたくさんですねぇ」
そう言うと神鋼はリスト化された素材表片手に素材を吟味していく。一つ一つ丁寧に魔導解析を行い、素材の特徴を調べ上げ、そして自身の魔導ライブラリへと登録していく。
目の前には素材のサンプルが並べられている。
金属のインゴットであったり、過去の演習だったり哨戒活動の中で得た素材や央軍から共有されている素材が所狭しと陳列され、神鋼はいつものニチャついた笑顔で調べていった。
「これは…ミスリル…ですか。ゲート内とは随分と外見が違いますが、この反応値は恐らくそうでしょう。……そしてこの結晶化された素材は超硬金属アダマンタイトでしょうか。結晶化された状態では初めてみますが…」
神鋼はうんうん、しきりに頭を上下に動かし、そして呟く。
この様を三人はただただ傍観していた。
「お祖父様。さすがに地方拠点とは言え、軍事施設の備蓄素材は群を抜いていますね。まさかこんな場所にアダマンタイトがあるとは思っていませんでした」
「そうだの。量は少量じゃが何かあった時の備蓄用として保管しておるのじゃろう。なにせ央都ロドまでは中央魔崖を迂回せねばならぬおかげで片道4 週間はかかるからの。補給もままならぬ土地故にそれが逆に功を奏したと言えるじゃろな」
第126拠点と央都ロドまでは直線距離で言えば馬車で片道1~2週間、その程度の距離なのだが途中に行く手を遮る大きなクレバスが走っており、多数の空系魔物が跋扈している影響で橋はかかっておらず迂回するルートを通らざるを得ない。そのため約1か月も央都ロドまでかかってしまうのだ。
そんなことは知りません、とばかりに素材の鑑定に夢中になっている神鋼の手がパタリと止まってしまう。
「これは…」
見かけはただの魔石に見える。
魔石を纏めて入れていた箱の中から取り出したそれは妙に存在感を醸し出していた。
「魔石…では無い?」
手に取ってまじまじと見る神鋼は通常の魔石とは違った力の波動を感じ取ってしまう。
魔導解析にかけて見るも今までに無い波動パターンに神鋼は思案顔を見せる。
「魔力波ではない。かと言って自然環境にある力の波動パターンとも合致しない…」
雑音が混ざっているのかも知れない。
そう思った神鋼は波動解析に入った。
そして数分後。
「……まさか…これは…」
神鋼は素材の解析を終え、既にイージスシステムの増強計画着手に乗り出していた。
「この作成者が将来的な拡張を考えてシステムに冗長性を組みこんで作ってくれたのは助かりました。でなければ時間はもっとかかっていたでしょう」
システムの方向性を決める概要図を作成し終わると、それに群がる大人達。
「……これでまともに動くのか…?」
「こことここのシステムをバイパスを作成して繋ぎ直そうってのか? それは無理過ぎる」
「そもそもこの出力を出す装置が半ばブラックボックス化されているのにどうやって手を付けるんだ?」
ほぼほぼ疑問しか出ない概要図に群がる常駐技術者達大人を無視するかのようにその場へ置いていき、自身はイージスシステムの最奥にあたる一室へと迷う事無く進んで行く。その後ろをピッタリとハイムが着いて行き、その後にデリンデム、鍛冶屋の親父と続く。
「すげぇな…こんな大規模魔道具、それも軍事用の一点物を間近で見れるなんてぇ…」
後ろを着いて来た鍛冶屋の親父はただただ感嘆の言葉しか出ない。
それもそうだろう。純粋な武器防具職人が一生お目にかかれない最重要施設の最重要地域に足を踏み入れているのだ。
「し、師匠…ここは動力部分で…どうやら厳重な鍵が掛けられているようなのですが」
最重要区画であるため恐らく特定の技術者のみが出入り出来るようになっているのだろう。
そう言う状況も相まってハイムの目からは「ここは不味いのではないか?」と訴えの視線を感じ取るも神鋼は短く「ええ」とだけ告げて迷いない足取りで動力部分の心臓部へと通る扉の前へと向かい、足を止めた。
「ハイム、どんなに難関な鍵を掛けても、そこが扉であるのなら必ず開いてしまう魔法の言葉を知っていますか?」
奇妙なことを口走る師匠に対して思わず顔色が曇ってしまうハイム。
「ま、魔法の言葉、ですか? ということは魔法、ということになりますが…」
全く思い当たらない弟子に対して神鋼は少しだけ口の端を吊り上げながら言葉を発した。
「答えはこれです。『 開けっ! ゴマっ!!! 』」
何を言っているのだろうか、神鋼を除いた三人はそう思ったに違いないだろう。だが現実は三人とは違った方向で現実を映し出していった。
厳重に魔法的な封印が施された扉の表面に光の波紋が走っていった。
すると構成されていた魔法プログラムであろう魔文字が浮かびだし、それがまるでホロホロと文字が分解され、落ちていく。そして全ての魔文字が落ちて行くと、大きな音が鳴り響くのであった。
「解錠成功、ですね」
「嘘でしょ?」
「そんな…馬鹿な…」
「………」
「僕の道を阻むことは誰にも出来ません。さぁ行きますよ」
半ばあきれ顔の三人を尻目に最重要区画の最奥である心臓部へと到達した。
「これが心臓部ですか。出力には設計通り人口魔石を使っていますが…随分と不純物が混じっているみたいですねぇ」
まじまじと見やり、そしておもむろに魔導解析へと入る。
「アールハイデ法、ですか。魔石を一度錬金術によって液体に変え、そして再結晶化する技術」
ゲーム内には無かった人工魔石技術である【 アールハイデ法 】とは時の魔術師『アールハイデ』によって生み出された技術であり、ここから魔導工学は生まれ、そして今日の魔道具作りには欠かせない技術として認知されていた。魔道具創造士からは『魔導工学の父』そう呼ばれていると神鋼はハイムから聞いていた。
「ゲーム内では魔石を人工的に作る必要がそもそも無かったですからねぇ。質の高い魔石を使いたいのなら高ランクの魔物からドロップさせれば事足りますし、そもそも広く一般的に市場へと流通していましたからここで悩むことはありませんでした」
とは言え、自身の最高傑作である【 神鋼装備 】を作るうえで不可欠な素材【魂魄石】、――人工鉱石上の分類でゲーム内では創造することにより作り出すことが出来た―― を思い出し、神鋼しか作ることの出来ない人工鉱物を使用した神位素材、心格<マナス>の作成する膨大な手間に苦笑する。
「ですがこれはこの現実世界では大いに有効な手段です。やり方次第では大きな伸びしろを与えてくれますからね。ここは先人に感謝、といった所でしょうか」
ある程度心臓部へ使用されていた人工魔石の解析が終わった神鋼はどの程度出力を上げれば良いのか計算に入る。
「このタイプは基本的に外部からエネルギーを供給するように作られているんですね」
「あぁ、そうじゃ。大気から集めるタイプはその収集効率から十分な量の魔素を集めきれんからのぅ。どうしても魔石を追加で投入する必要があるのじゃ」
「であればハイブリット式と行きますか」
「ハイブリット式??」
神鋼達は一度この<イージス>を管理している魔工技術者の元へと戻り、今後のアップデート計画の概要を説明した。
「……というのが今回の計画概要となります。そこで今言ったように大規模工事は間逃れないので拡張工事及び、出来た部品を組み上げてくれる班を至急編成してください。そしてそこは…お爺さん、あなたが鍛冶屋の親父さんを扱き使いながら進めて下さい」
「わかった。まかせるのじゃ」
「お、俺を扱き使う? …まぁしょうがねぇか。まぁそっちの方しか役に立たなさそうだからなぁ」
二人はそう言いながら頷いた。
「そして、ハイム。あなたは僕の助手です。僕の手足となって働くのです」
「は、はい! この身命にかけて全うします!」
「では早速始めましょう。まずは大枠の工事図面の作成に入ります」
急ピッチで進むこと半日が経過した。
神鋼はまず手に付ける箇所とそうでない箇所の当りを付け、その周辺の物理的な空間の確保をデリンデムにお願いし、その間に今回使用する部品を作り上げていった。
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(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!
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