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神鋼のソウルスミス  作者: こぬさん
第一章  陸王の息吹は春の訪れと共に吹き荒ぶ
21/40

魔法障壁魔道具<イージス> 4

よろしくお願いいたします。


(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!


*新作*

俺でなきゃ見逃しちゃうね ~圧倒的なモブ感満載な俺が異世界で旅団を作ろうとしたんだけど誰か助けてっ!~


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 「……これがイージスシステム、ですか」


 神鋼しんこう達は目の前には第126拠点の最重要施設でもある魔法障壁発生魔道具<イージス>が設置してある地下へと来ていた。


 「ほへぇ…これ全てが魔道具、なのか?」


 鍛冶屋の親父が感嘆の声を上げるのも無理は無い。この地下は小学校の体育館位の大きさがあり、そこに隙間なく機器が組み上げられているのだ。時折魔導線と思われる光のラインが縦横無尽に走り回ったりする様に全員が雰囲気に飲まれていたのだ。


 「…しかし、大きいですね」


 「師匠、あれだけの規模の魔法障壁を発生させる魔道具なのですからむしろ良くここまで小さく纏めたと思いますが」


 ハイムの言葉に別の意味で「そうですね」と答える神鋼しんこう


 「これはコウマ式の最新型か」


 「コウマ式?」


 「そうじゃ。拠点に強度や障壁の規模によって種類は様々あるが、これは大規模拠点用でそれも最新型のコウマ式じゃな。儂もこの型は初めて見る」


 「コウマと言えばあの天才魔道具創造士アイテムクリエーターである方ですね? 小さい頃会ったことがあります」


 「コウマ、ですか」


 天才、ねぇ。


 神鋼(神鋼)は魔導錬金モードを立ち上げて部分解析を始めていたが、確かにここにある魔道具は今まで見たどの魔道具よりも洗練されていた。意図がとてもハッキリとしており、全体を繋げるための設計もしっかりとしていそうだ、そう感じた。だがそれと同時に違和感も感じ取っていた。


 「随分とこの世界の考え方と違ってますね…」


 「考え方、ですか? コウマ殿が作成する魔道具はどれも独創性がありますからね」


 「うむ。魔乱状態に対抗するための特殊型魔法障壁を作れるなんてあ奴以外無理であろう。しかし…まいったのぅ。一見して分かるが、これは普通ではない」


 確かに普通ではない、それは同意する部分であった。

 何せ作り方がワールドゲート内の魔道具作成常識に酷似していたのだ。それ故に神鋼しんこうは戸惑いを覚えてしまう。


 (まだ詳しくは調べてはいませんが、セオリーがあまりに酷似している)


 「まぁそれはそれで有難いんですけどね」


 そう言うとまずは詳しい調査へと乗り出していった。


 「あれが…お主の言って居った小僧か。随分と派手にやってるそうだが」


 軍服を身に纏った央軍司令官、ロロノマ・ショウクンが隣にいるブレイバー協会支部長セルジア・メルカッツェへと語り掛ける。


 「えぇ。癖の強い小僧でありますが。数年前から妙な噂だけは聞き及んでいました」


 「妙な噂…あれか? 神童を通り越して中身が違うアレとか、と言う話か? 辺境地である故そう言う風聞は事欠かない地域ではあるがな」


 「あの小僧は少し桁が外れているように思います。あの年で小型魔法障壁の魔道具を作るなぞ思っても見ませんでした」


 「だがそれでこうしてイージスの前に立っているなぞ、どこぞの物語でも成し得ぬよな」


 「確かに。下手な三文小説以下ですな」


 「しかし…この危機は乗り越えられそうか?」


 「それは…わかりませぬ。ハイバルの槌先代当主であるデリンデム師が逗留していた時に起こったことが不幸中の幸い、でしょうか」


 「そうだな。それに魔嵐も本来であれば既に終わっている時期なのだが今年は少し長引いておる。その間だけでも保てば僥倖よ」


 「魔嵐を数日の間だけ、そうその数日の時間を稼ぎだせば…」


 二人は視線を神鋼しんこうに向け、そしてその場を離れるのであった。



 それぞれが魔法障壁型魔道具<イージス>の解析に取り組んで早小一時間程経過していた。


 「しかし…想像以上に完成度が高い…」


 感嘆の言葉と同時に少しだけ悔しさを言葉に滲ませながらハイムは呟いた。

 その言葉は祖父であるデリンデムも同じで、改めてあの天才魔道具創造士に感嘆の念を抱いていた。


 「これは現時点における魔導工学の最先端を走っているといってもいいのぅ。ここまでの物になると数日かそこらではとても解析なぞ…」


 一流は一流を知る。

 それは同じ物作りを生き甲斐にしている者、それも頂点に近しい者同士共通した何かを知るときがある。


 それは作り出した『価値』である。

 

 『価値』とは個人的な価値観から作り上げるものもあれば、公共的な価値観から生み出されるものもある。その中でも同じ居場所にいる者同士が共感し、そしてその物の共通的な価値を見出すこともある。


 今目の前にしたその『価値』はお金には代えられない、そう唯一無二の作品物としてその存在を知らしめていた。


 だからこそ畏敬の念を込め、そして悔しさを滲ませる。


 この魔道具分野では圧倒的なまでのその才能に嫉妬さえ感じる程に。


 それを理解したからこそ孫と祖父はある一点を同時に視界へと映した。


 その視線の先にいるのは座り込んで中空を見つめながら、そして手を、指をせわしなく動かしている子供だった。


 そして子供はおもむろに立ち上がった。


 「ふむ。中々良く出来ている玩具おもちゃですね」


 「「お、玩具おもちゃ?!」」


 神鋼しんこうの言葉にハイムとデリンデムは示し合わせることのなくお互いの視線を合わせた。


 「し、師匠?」


 「ん? あぁ、しっかり辻褄を合わせた一品だと思います。だからこそ残念にならない。この世界でここまで真実に迫れたのだからこそ、そこで足を止めて欲しくは無かった。非常に残念です」


 神鋼しんこうはその言葉に悔しさを滲ませていた。二人とは違う意味を込めて。


 「さて、何をすれば良いのかはわかりました。協会からのオーダーは原因の特定、ということでしたが、それ自体はさして難しくないオーダーです。とりあえずですが…お偉いさん呼んでもらっても良いでしょうか。そこで説明しましょう」


 神鋼しんこうが周囲にいる錬士資格を持った施設保守員に声をかけて呼んでもらい、主たる面子が揃った段階で説明を始めた。


 「結果だけ簡単に言いますと、<イージス>のシステムが一時的にダウンして不調になった原因は出力不足、ですね」


 「出力不足だとっ?!」


 央軍司令官であるロロノマは周囲に飛沫を飛ばす勢いで大仰に驚きの表情を見せる。


 「想定していた魔素の力、即ち魔力ですが、これがこの周辺一帯に瞬間的ではありますがかなり濃くまき散らされた結果、想定限界を超えた出力を要求され、この<イージス>の安全装置が作動してシャットダウンしてしまった、そう言うことです」


 「……魔素が濃くなる…だと?」


 ロロノマは思案顔で視線を地面に落とす。


 「魔素が急激に濃くなった原因はわかりません。何かしらの自然現象なのか、はたまた…魔物がまき散らしたか」


 魔物がまき散らした、この言葉に周囲は緊張を帯びた。


 「……対策は可能なのか?」


 この言葉に神鋼しんこうは少しだけ口の端を吊り上げる。


 「出来なくは無いですね。条件が揃えば、ですが」


 この時神鋼しんこうはいつもの気味の悪いニチャついた笑顔を見せ、その表情に経験のある者は「まさかこいつ…」という表情を見せる。


 「条件?」


 「えぇ。現実的に考えて取り得る対抗策は数少ないのですが、その中でも最も実現可能性が高い策、といえばシステムの増強、これ一択となります」


 「システムの増強、だと? お、お前はそんなことが本当に出来るのか?!」


 「だから先程言ったではないですが。条件次第、だと」


 「……条件を聞こう」


 「そんなに構えなくても結構ですよ。簡単なことです。増強するためにも素材等々が必要になってしまいます。なのでこの拠点で集められるだけの素材を提供いただくことと、あとはアレを私の方でいじってもいい許可、ですかね」


 この子供、いや子供の皮を被った怪物が何を要求するのか、そう内心構えてはいたのだが言われてみればシステムの増強をするためには避けては通れない正当な要求である、そう判断したロロノマは早速周囲の部下へと伝令を動かした。


 「いいだろう。デリンデム殿、あなたがここの指揮を執って頂き、システムの増強を是非ともお願いしたい。おいっ! 今の聞いていたな? 早速素材のリストアップをしろっ!」


 「話が早くて何よりです」


 ニコニコと、それは雲一つない晴れ空の如く晴れ晴れしい笑顔を見せる神鋼しんこう

 その様子に「また何かやらかすのではないのか」そう恐れを抱くいつもの三人であった。


【※ここまで読んで頂いた皆様へ大事なお願いがあります※】


ここまで読んで頂きありがとうございます。

拙作ではありますが、少しでも「面白い!」や「続きが気になる!」等々


と心の中に少しでも抱いて頂けましたら


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ぜひこの拙作のモチベーションを維持して頂くためにも、何卒宜しくお願い致します。


(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!


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