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神鋼のソウルスミス  作者: こぬさん
第一章  陸王の息吹は春の訪れと共に吹き荒ぶ
18/40

魔法障壁魔道具<イージス> 1

第一章後半部分へと突入していきます。

もうしばらくお付き合いください。


(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!


*新作*

俺でなきゃ見逃しちゃうね ~圧倒的なモブ感満載な俺が異世界で旅団を作ろうとしたんだけど誰か助けてっ!~


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 「師匠、この関数? はどういった意味を成すのでしょうか」


 「これは分岐関数ですね。例えばこの場合のルートは…」


 鍛冶屋の親父の狭い居間スペースでは魔導式を書き殴った用紙が至る所に散乱しており、「良い加減片付けろっ!」と怒鳴り声が聞こえてようやく重い腰を上げた神鋼しんこうとハイムは纏めて、そしてまた散らかしを繰り返していた。


 「しかし…今までの魔文字辞典スペルブックは何を一体説いていたのかと言わざるを得ないですね」


 「それには激しく同意ですね。僕なんて魔導教本を読んで失神しそうになりましたよ」


 「しかし…師匠はその御歳でその知識量、考え方はどこで身に付けられたのですか」


 「それこそ正しく天が僕を遣わしたのですよ。僕自身が世界の贈りギフトとして…(ニチャア」


 そんなやり取りを横目で見ている二人の男が大仰に溜息を吐いた。


 「しっかし…まさかアンタ達があの『ハイバルの槌』血盟クラン員、それも先代と当代の御子息だ ったとは…」


 「まぁワシもこんなことになるとは思わなかったがのぅ」


 「ギルド経由で来るという話は聞いていたんですが、そのなんでまたこんな辺境の街へ?」


 「そのことなんじゃがな。簡単に言えば素材探しよの」


 「てぇと、王魔の森、ですか?」


 「左様。この時期にしか採れない凛響石りんきょうせきを取りに来たんじゃがまだ魔乱状態が激しいようでの。足止めを食らっていた所にここへたまたま寄ったんじゃ。そしたらこの有様じゃて」


 「凛響石ですか。ですが最近は…」


 「めっきり取れなくなった、じゃろ? それでわざわざ自らが取りに来たって言うわけなんじゃが…肝心の同行ブレイバーも到着が遅れておるしの」


 「同行するブレイバーはどこの血盟クランなんです?」


 「大地のとこに頼んでおる」


 「大地アースですか?!」


 世界最強と名高い血盟クランの名前が出るや鍛冶屋の親父の慌てぶりに白髪の老人は「ほっほっほ」と笑声を上げた。


 「ガランとは古い付き合いでのぅ。それで派遣してもらったんじゃ」


 その言葉に鍛冶屋の親父は得心を得た。確かに世界最高の鍛治士血盟スミスクランで顧客に大地アースが居てもおかしくはない、むしろその先代当主の護衛任務なら適当と言えるだろう。


 「王魔の森は魔物のレベルこそ普通でさぁ、環境が酷ぇもんです。特に今の時期はその最たる時期だと言えるでしょう」


 そう言うと鍛冶屋の親父は顔を顰めさせながら手元へマグカップを引き寄せた。


 「人類が唯一生存出来るこの第一域と呼ばれるこの地域で、自然環境だけなら第二域に匹敵するとまで言われている王魔の森の厳しい環境の中でしか産出しない希少鉱物、凛響石りんきょうせきがどうしても必要になってのぅ。それも急ぎの依頼じゃからしょうがなく赴いてはみたが…とんでもない環境よのぅ。魔嵐の切れ間を狙ってこの村に着いたはいいものの、一転しての激しい魔嵐が吹き荒ぶと共に缶詰状態ときたものじゃ」


 「急ぎの依頼かぁ…この分じゃまだ当分は出ることは難しいでさぁ」


 鍛冶屋の親父は先ほど淹れたばかりの赤茶あかちゃに口をつけて溜息を吐く。


 「ここ数年は満足な大きさの凛響石りんきょうせきは持ち込まれては無いですぜ。よくても数キロってとこでさぁ」


 「数キロ…ふむ。量はそれほど要らんのじゃが形や純度はいかほどなのじゃ?」


 「うーん…いいとこB級…ってとこでさぁ。大半は形が育ちきって無くジャンク等級なんですがモノがモノだけにそれでも多くの需要と共にあっという間に市場から姿を消しまさぁ」


 その言葉に今度は先代の顔に深い皺が寄った。


 「中々に厳しい状況よのぅ」


 お互いの顔を見合わせて深い溜息を吐いた。

 そんな高齢者2人を横目に神鋼しんこうは見ながら「辛気臭い話ですねぇ」と呟いた。


 「師匠はその、凛響石りんきょうせきについて何か入手ルートとかご存知だったりはしないのでしょうか?」


 「うーん。そもそも僕もその凛響石って言うんですか? 聞いたことも見たことも無いんですよねぇ。どんな鉱石なんですか?」


 「流石のおめぇも知らないってか」


 鍛冶屋の親父は少しだけニヤついた笑顔を見せ、その笑顔にイラつき気味の神鋼しんこうへ概要を言って聞かせた。


 「魔力を増幅させる鉱石、ですか」


 「魔力自体を増幅させる鉱石だったり魔物由来の魔力増幅素材だったり、それこそ魔石でもそういった効果はあるものは多いんだが、凛響石は増幅の桁が違げぇ! グレードが高く、純度が高い物はそれこそ桁違いの増幅効果を見せるんだぁ! 」


 興奮気味の鍛冶屋の親父を他所に、神鋼しんこうはおやっ? と首を少しだけ傾げる仕草を取る。


 「……それってもしかするとあの――こと…」


 神鋼しんこうはとある事象を思い出した。

 少しだけ考えた神鋼しんこうは「まさかそれはないでしょう」と頭を振り魔力が増幅するという点のみに興味を移していった。


 「魔力を増幅する素材が必要とのことですが、何に使うので?」


 「央都の防衛施設が最近、と言っても数ヶ月前のことじゃが魔物の襲撃で一部破損してしまってのぅ。その一部をハイバルの槌に修復依頼が舞い込んできたのじゃ」


 「鍛冶屋が防衛施設の修復依頼を受けるのですか?」


 神鋼しんこうは不思議そうな顔を見せる。


 「お主はハイバルの槌を鍛冶屋と捉えているようじゃが、その考え方は旧来の認識よの。その認識は数百年前の認識であり、今では大手の鍛治士血盟クランは魔導工学必須であり、総合的にブレイバーの装備品だったり、魔導工学で造られた魔導兵器を作り上げるのじゃ」


 魔導工学という言葉に思わず神鋼は「ほぅ」と呟いた。


 「この村にも魔導工学の概要を示す書物はありましたが、詳しく知る機会はありませんでした。とは言えある程度は予想がつくのですが」


 「まぁ坊主のことじゃ。その卓越した知識、技術があれば察しはつくじゃろうが。簡単に言えば魔法を利用した高度な魔道具を作成する学問の一つじゃ。この辺境の地にある拠点ももちろんその恩恵に預かっているわけじゃが…例えばこの厳しい環境から人々を守る盾のような技術、とかな」


 「村をぐるりと囲んでいる結界のことですか?」


 「ほっほっほ! その歳で魔法障壁を感じ取っておるとは末恐ろしくもあるのぅ。そうじゃ。環境魔道具の一種で名は『イージス』。規模は様々あるが、ここの村はこの魔嵐環境がある故に相当高度なシステムを組んでおる」


 イージス…随分と前の世界と名前の意味に近しいことに神鋼しんこうは黙り込んだ。


 (イージスと来ましたか。ゲームの中でもイージスシステムを作り上げた者はいましたが、何処まで共通点があることなのか調べたほうがよさそうですね)


 「お爺さん、そのイージスという魔道具なのですが僕がそれを見ることは可能なのでしょうか」


 その言葉に鍛治屋の親父がギョッとした顔を見せた。


 「お、おめぇ何言ってんた! それはダメだぞ! さすがにまじぃっ!!」


 恐らくはまた何かやらかすつもりだろう、そう言った意味を含めた反応に神鋼しんこうは少しだけ解せぬ、そういう表情を見せた。


 「何か僕がやらかす前提で捉えてることに大変に憤りを感じます」


 「……オメェの言ってることに俺は憤りを感じるわ」


 お互いにムムッとした表情で火花を散らす2人を見てお爺さんは「ホッホッ」と笑い声をあげる。


 「流石に村防衛の要とも言える魔道具においそれと部外者が近づけるものじゃないのぅ。まぁ依頼があれば別なのじゃがのぅ」


 「試しに言ってみただけですよ。流石にそう都合よく依頼がくるなんて訳がありませんし」


 そう言った直後、外から途轍もない音が鳴り響く。

 それはとても重く、重厚な音で何か異変があったと思わすには十分な音量であった。

【※ここまで読んで頂いた皆様へ大事なお願いがあります※】


ここまで読んで頂きありがとうございます。

拙作ではありますが、少しでも「面白い!」や「続きが気になる!」等々


と心の中に少しでも抱いて頂けましたら


広告下↓の【☆☆☆☆☆】からポイントを入れて応援やブックマークして下さるととても、それはとても嬉しいです。

ぜひこの拙作のモチベーションを維持して頂くためにも、何卒宜しくお願い致します。


(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!


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