はいばるのつち 4
本当はお昼に投稿しようと思っていたのですが
ジャにのちゃんねる見始めてしまい夜更新になってしまいました…汗
(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!
*新作*
俺でなきゃ見逃しちゃうね ~圧倒的なモブ感満載な俺が異世界で旅団を作ろうとしたんだけど誰か助けてっ!~
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「えっ?!」
その疑問と驚きが入り混じった感嘆符は赤髪の青年から発せられた。
そんな赤髪の青年の驚いた顔を見て神鋼は――
「そんな子供騙しの悪戯なんて真なる鍛冶士に通じるわけがないでしょう」
と発し、そのまま剣身をジッと見て一言呟いた。
「小賢しいですね。全てが薄っぺらい」
自分の身長ほどはあろう剣を全身を器用に使って一振りする。
すると剣身からは炎が巻き起こり、それが剣身を中心に纏わり付いていた。
「生成される炎のグレードが低いですね。力の収束が良く無いから無理に出力だけは上げて見せかけの火力を出そうと苦心されている様ですが、それが結果として魔力経路に随分と負担をかけているのでこれ以上の出力は難しいですか。下処理の杜撰さが目に付きます」
巻き起こる炎に照らされる大人3人は只々唖然としていた。
炎を仕舞うと再度剣身へと目を凝らせて溜息を吐いた。
「 中央部分に僅かですが鬆が入っていますね。どうやら自ら出す炎に耐えきれなかったようです。となると根本的な構造体の不備でしょうね。鍛え不足はもちろんでしょうが、材質が非常に怪しいのかも」
全身を使ってもう一度全身を使って剣を振るうと更に神鋼の顔が曇っていく。
「重心の位置が甘いですね。違和感しかこの手には残りません。研ぎも甘いですし、この分じゃあ魔法珠に入力されている基幹魔導プログラムもお察し状態でしょうか。まぁ一応確かめますか」
ステイタスUIから魔導錬金モードを立ち上げると同時に擬似魔剣は積層型魔法陣に囲まれ、そして回転しながら宙へと上昇していった。
「な、なんなんだ…これは…」
「なんと…」
「坊主の悪い癖が出ちまった…」
三者三様の想いを口に出すもお構いなしに調査は続行される。
「………」
神鋼は魔石を核に作られている魔法珠の中身を強制的に魔導プログラムだけを引っこ抜いて見たが、余りの酷さに何も言うことが出来なかった。開いた口が塞がらないとはこういう状況なのか? と自問自答する程である。
「赤髪の…これは貴方が魔導プログラムを構築したのですか?」
「ま、魔導プログラム? あ、あぁ魔公式のことか? カスタマイズはもちろん俺がやったが…」
魔公式という新たな単語が出て来たがそれは一先ず置いておき、全体の構成に対して質問を続ける。
「……それでなぜ魔力を感知したときの受力部分がこのような式を組んでいるですか?」
「そ、それは…マドロフ理論に則った…」
「チッ…先程も同じ回答を頂きましたが」
かれこれ数十分も神鋼は疑問箇所を指摘しては赤髪の青年は狼狽えながら答えに窮する時間が続いていた。答えを聞く度に隠すことのない舌打ちが響き、イラつき気味の神鋼は言葉に棘や語気が無意識に強まって行った。
「……もう良いです。これ以上聞いても何も得ることは無いのでしょう」
魔導錬金モードを解除すると神鋼は明らかのテンションの落ちた表情をしていた。
初めて鍛治士っぽい職業の人が作った制作物を解析する喜びは何処に行ったのか、そう思う程に意気消沈していた。そしてこの世界のレベルについて考えが夢想していた。
「そうですか、そうですか。これがこの世界の現実ということですか。ですが…」
考えようによっては未開の世界に俺は居る、そう強く感じてもいた。
最先端の魔導理論に裏打ちされた武器防具制作を夢みてはいたが、自らが開拓者となって現実の道を切り開いていくという魅力も感じていた。
「少なくともやることは多いと言うことだけは今日ハッキリとわかりました。わかりましたとも」
一人呟く神鋼とは対照的に赤髪の青年は顔面真っ青状態のままであった。
「き、きみは…なんなんだ? 子供の形をしているが…エルフ種? いやまた別の超命種なのか…?」
「わ、童よ…お主は一体…」
赤髪の青年は自身の最高傑作と言うべき愛剣を差し出した時と表情、雰囲気全てが真逆であった。
今目の前に起こっていることは真実なのかさえも疑う程に。
「はぁ。みっともない顔していますねぇ」
そう言うと神鋼は魔導錬金モードを立ち上げた。
「一から見本を、と言うわけにも行かないのでプログラム調律だけ手解きしましょう」
そう言うと神鋼は魔導エディターを立ち上げ、そしてそれを周囲に見えるように可視化する。
「なっ! こ、これは!!」
「なんぞこの文字は…魔文字か?!」
「なんでぇこれは…」
周囲の反応を無視して先ずは出力の調整部分から調律を開始する。
「いいですか? 本来は効率の観点から言えば作り直しが妥当である訳ですが、これは貴方の勉強のためにあえてその非効率なやり方で弄っていきます」
神鋼の洗練された指使いが魔導操作空手動に即応し、凄まじい勢いで魔導プログラムが記述されている箇所を上書きしていく。
「よいですか? なんとか屑理論はさておき、ここらへんの記述は無駄です。恐らく魔力路を潤滑に流れさせるための制御系を意図して組んでいるのでしょうが、式がそもそも間違っていますし、書き方も規則に反した書き方です。これじゃあ引数が返ってきても意味を成さない」
一つ一つ丁寧に間違った箇所を指摘し、こう書き直すべきだ、と神鋼はお手本を上書きしていく。その言葉に赤髪の青年は「だがそうなると…」「この場合はどのように組んだらよいのか」とまるで先生に質問する生徒のようなやり取りがおよそ2時間続いた。
「これを書き直して取り敢えずはこの関数は終了です。さっきの制御系プログラムと比べても倍どころでは済まないレベルでの効率化が図られているはずです」
神鋼はそう言うと先程と同じように剣身に炎を纏わせる。
「あっ…?!」
赤髪の青年は先程とは違う炎の出方、いやキレの良さに目を見開き若干震えていた。
「先程の制御系は上手く魔力路が制御出来ていませんでしたからね。それをただ整えただけですが、それでも先程とは比べ物にならない程に燃焼力が違うのです。使用する魔力の変換効率をちゃんと組み直せばもっと多彩なことが出来る様になるでしょう」
「ま、纏い方があ、明らかに違うぞい。熱量も比べ物にならぬ…」
「こ、これが本来の魔剣ってやつか」
「本来の? 何を言っているんですか親父さん。魔剣というのは本来能力ならば環境を一変する程の影響力があるから魔剣というのですよ。これはただの炎を纏うだけの…強いて言えば魔法剣、そんな所でしょうか」
そう言うと炎を消し、鞘にしまう。
「お、オメェがこれを仕立て直したらその本来の魔剣を作ることが出来るのか?!」
鍛冶屋の親父の言葉に全員黙り込む。
「それは無理でしょう。魔剣はそもそも構造からして物理剣とは一線を画す作りなのですよ。根本設計もそうですが、必要な材料がこれだと到底満たさないですね」
そう言うと神鋼は神鋼装備第三位【至言滅火】のことを思い出す。
魔剣の枠を越える武器を頑張って作ってみたら、枠どころか世界まで超える程の性能を構築してしまった結果、別名【至言滅火】という渾名が付いてしまうことが鮮明に記憶の底から甦り、思わず苦笑を浮かべた。
「し、師匠!!! 今日から、いや、いまこの瞬間から我が師匠と呼ばせてくださいっ!!!」
神鋼の前に額に床が擦り付けるほど立派な土下座をした赤髪の青年がそこには居た。
「な、なにを言うておるんじゃ、ハイムよっ!」
「お祖父様こそ何を言っているですかっ! この神技を見て頭を垂れるは必定でありましょう!!」
「ありましょうと、お、お前は…」
「ぼ、坊主…どうするってんだぁ?」
三者三様の困惑っぷりに神鋼は大仰に天を仰いだ。
【※ここまで読んで頂いた皆様へ大事なお願いがあります※】
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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