出会い 4
よろしくお願いします!
(追記10/4)前に前書きで報告した気分転換の新作を先程投稿しました!
*新作*
俺でなきゃ見逃しちゃうね ~圧倒的なモブ感満載な俺が異世界で旅団を作ろうとしたんだけど誰か助けてっ!~
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その場にいた全員が呆れた様子で神鋼を見る。
しかし神鋼はお構いなしに魔導錬金モードを展開していった。
「ぼ、坊主! お、おめぇいった……い?」
鍛冶屋の親父は目の前に起こっている出来事を目の当たりにして程なく言葉を無くした。
それはまさしく神の御業、そう思えるほどに神々しいまでに洗練された所作だけが鍛冶屋の親父の心に深く刻み込まれていく。
「さて組成状態をスキャンしますか…ほうほう…この辺りは前と変わっていないみたいですね」
神鋼の目の前に複数のウィンドウが表示されており、様々な数値が規則正しく並んでいた。鉄のインゴットのスキャンを終えた後、その結果がウィンドウに表示される。それを見た神鋼は忙しく手を動かし始めた。
「組成変更、魔素組み込み開始……終了。反応はどんなもんだ? 計算上この配合が最適解と思われるんだけど…やっぱり調整は必要か。仮想世界と現実は違うってことなのかな」
再度液体と化した魔鉄のインゴットは光の触手によってその組成状況を変えていく。
「素材の調整はこんなものでしょう。あとは魔法因子を組み込みますか」
そういうと神鋼はカスタマイズされた魔法因子を選び組み込んでいく。
「剛性と粘りのバランスを安定させるための魔法因子を素材に結合…成功。続いて魔素伝導率を向上させましょうか。……魔法因子結合成功…」
久しぶりにチューニングを施すこの喜びに神鋼はその身を喜びの時雨に晒されている心地だった。だが至福の時も終わりを告げようとしていた。
< こちらの配合でよろしければ YES を押してください >
システムメッセージが表示され、そのままYESボタンを押すと即座に積層型魔法陣が反応を始めた。
「おおぉぉ……」
鉄のインゴットが光り輝きながらも徐々に剣の形を見せ始めると、周囲のギャラリーたちはそれに応じるかのように感嘆の声を上げ始める。
「ふむ。こんなもんだろうか。この世で初めて作ったにしては……まぁいいか」
目の前には先程の両刃ロングソードとは見まがう程に形状を変えた剣へと変更されていた。幅広い剣身が特徴の、どちらかというとブロードソードに近い形状だったいじる前の剣も半分ほどまでにスリム化されていた。だがそこに湛えるのは薄紫色の剣面と、鮮やかに表れる波紋のような組成痕がまるで美術品かのように新たなる美を顕現させていた。
神鋼は宙に浮いてある剣を無造作に掴み取った。
「持った感じはやっぱりゲームとは違うもんだなぁ。これが本物の剣、か」
何回か剣を試し振りする神鋼に周囲は咄嗟に距離を取る。
自分の身体とほぼ同じくらいの長さの剣であるにも関わらず、巧みに振る様に一同は「はぁ?」と疑問一色の目の色を伺わせていた。
「間に合わせとは言え、あなたレベルであれば使える物に仕上げました。微調整したいのでバランスを見てもらっても良いですか?」
差し出す剣にびっくりするも、恐る恐る受け取るとすぐに驚きの表情を見せた。
「……軽い。異常なまでに…軽い…まるで綿毛のようだ」
剣を目の前に掲げた剣士の男はまじまじと剣身を見入る。
「美しい…なんて美しいんだ…鮮やかな薄紫色が見事に鉄と調和している」
そしてゆっくりとした動作で一振り、二振り、と重ねていく。
「前の剣は随分と幅広に作られていましたが、半分以下に調整しました。密度調整を行い、自重の軽減もしましたので前に比べると振りぬき感が向上しているはずです」
神鋼の言葉に剣士の男は深く頷いた。
「俺の癖をあの剣から見抜いたのか? 坊主」
その言葉に神鋼は白い歯を少しだけ見せた。
「ええ。刃の擦り減り方や当て方の部分を見ると剣の重みで断ち切っていたのだと思いまして。まぁ本来幅広に拵えたロングソードと言う物はそのように作られているので見抜いたと言うほどでも無いですが」
その言葉に鍛冶屋の親父は疑問の色を浮かべた。
「おいおい。それだと軽量化したらダメなんじゃねぇのか?」
鍛冶屋の親父はよくあるパターン、即ち剣の威力を上げる方法として重さを加えて振り回すことで発生する遠心力を利用した剣術に合致した剣であるべき、そう言っているのだろう。
事実幅広のロングソードを所有しているのだからそれが王道と鍛冶屋の親父は意見するも、それに神鋼は首を横に振りながら答える。
「だからこそダメなんですよ。それって要するに剣の切れ味が劣っているからでしょう? そんな攻撃力の低い物を作っても先がどん詰まりですよ」
その言葉に剣士の男は同調するかのように頷いた。
「坊主が伝えたいことはこの剣を振るってみて痛いほど分かった。要するにお前は小生意気なことに俺に対して先に進め、そう言っているんだろう?」
神鋼は口の端を僅かに吊り上げ、ニチャアと気色の悪い笑みを浮かべた。
「メッセージが伝わって何よりです。その剣はまぁそこそこの出来ですが、魔鋼に仕立て直したので前と比べて切れ味を向上させつつも剛性を失わず、さらに自重の低減を達成しました。あなたレベルでは十分な一品でしょう。せいぜい使いこなしてください」
神鋼の物言いに剣士の男は盛大に笑い声をあげた。
「こりゃあいいっ!! そうだとも!! 俺はこの剣を立派に使いこなして見せる!!」
先程とは打って変わってご機嫌な剣士の男とは対象的な表情を浮かべる鍛冶屋の親父。
「……しかし、おめぇ…それ本物の魔鋼…か? 俺にはなんていうか…それ以上の物に見えるんだが…」
高く掲げられた剣を見据えて何とも言えない表情を見せる鍛冶屋の親父に対して神鋼は、
「内部組成を完璧な比率に仕立て直しましたからね。鍛冶屋の親父さんはおそらく本物を見たことが無いのでしょう。不純物が入り混じった魔鉄をちゃんと処理して魔鋼に仕上げた素材を扱ったことがないだけです」
あっさりと言い切る神鋼に対して鍛冶屋の親父は苦笑を浮かべると、頭をゴシゴシとかきむしる。
「こんな年端も行かねぇ子供にそんなこと言われるたぁ…世の中ってのは広れぇもんだなぁ。ところでよ、次の疑問なんだが…」
「どうやって鉄から魔鉄に作り替えたんだ、ですか?」
「そうだ! 俺はそんな技法初めて知ったし、本当にそんなことできるのならこれは世界がひっくり返る革新的な技術だぞ!」
その言葉に全員が頷いた。
「私もそんな技術があるって聞いたことないわ」
「俺も聞いたことないな」
口々に出てくる否定的な言葉に神鋼はいつものニチャついた笑みを浮かべた。
「初めて知ったのならこの世界にはどんだけボンクラが努力もせずに仕事をしていたってことでしょうねぇ。はぁ…とりあえず説明しましょうか。親父さん、粗鉄はありますか? 精製していないものです」
「あぁ、待ってろ。すぐ持ってくらぁ!」
店奥に引っ込むとすぐに戻ってくる。
「スクラップ状態の粗鉄だ。これでいいか?」
「十分です。これを使って魔鉄を一つ作って見せましょう」
そういうと神鋼は魔導錬金モードであっさりと魔鉄へ作り替えていった。
「おぉぉ…魔鉄、これは魔鉄だが…こんな濃い色をしているのは初めて見るなぁおい」
「これは組成を変えただけですからね。未調整だとこんなにも濃い色をしているものなんですねぇ」
鍛冶屋の親父はインゴットに成型された魔鋼を手に取ると、指で硬度を確認する。
「硬度も異常なまでにあるな。鉄とは比較にならんぞ」
「そりゃあ魔鉄っていうくらいですから。複雑に魔素が素材と絡み合うことで鉄の強度を底上げしてるのでこれ位は当然ですよ」
「魔素が鉄の強度を…?」
「えぇ。ネタ晴らしをしますと、そもそも魔鉄って鉄を付加した状態のことを指すんですよ」
「「「はぁ???」」」
全員が一斉に声を上げると神鋼は「皆さんいい反応ですねぇ」とニチャついた笑みを零した。
「別に変なことは言ってないですよ? そもそもですけど皆さん魔法やスキルで自分自身を状態変化、通常だと向上させたりしますよね? それと同じで鉄や素材に対して錬金術的に根源へ働きかけた結果がこの場合だとここにある魔鉄、と言うことになります」
「ちょっと待て! そりゃあ人間は、という前提があるだろう?」
剣士の男が反論するも、後ろにいた女性、探索者のレイサが、
「いやリフ、そうとも限らない。バフなどの付加は武器にも一時的にだけど付けられるわ」
「まぁやり方については通常の付加とはかけ離れているので、錬金術における考え方として受け止めて頂ければ結構です。方法については秘密ですが、要するに素材に、根源に対して永続的な錬金術的技法を施すことによって魔鉄を生み出しているというわけですね」
神鋼の答えに対して一同は全員が押し黙ってしまう。
「坊主…おめぇ…何者だ?」
「その歳で何故そこまで卓越した知識を持ち合わせてるんだ…?」
「本当に子供? あなたエルフですでに1000歳とかそういうオチがあるんじゃないの?」
全員が懐疑的な視線を浴びせるが神鋼は意に介す様子はない。むしろ更に気色の悪い笑みを浮かべるのだ。
「くっくっく…先程説明したじゃないですか」
神鋼は鍛冶屋にいる全員を見やる。そして―――
「世界最高の鍛冶士になる者、です」
【※ここまで読んで頂いた皆様へ大事なお願いがあります※】
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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