第4話 幼女は彼に気持ちを示す
「じゃあ、まずはウィアさんのところにいかないといけないのだけど……」
ウィアさんは、とある霊峰の中腹に建てられて砦で暮らしているらしい。旦那さんのアルおじさんも同様。
……子供が霊峰を登るのは、どう考えても無茶、よね……。
うーん、うーん。
私が悩んでいると、ナートがちょいちょい、と私の気を引いて。
「あの……えっと、あ、そういえば僕は貴方の名前を聞いてない気がするんですけど……」
「あ……たしかに」
とんだ失態だわ……。すっかり忘れていた。
「わたしは、るか。みすみるかというわ」
「ルカ……さん?」
「ええ。さんはいらないけど」
ちょっと発音が変だけど、それは追い追い……恋人になれた時にでも訂正しましょう。
「えっと、ルカ。どうして、僕を連れてきてくれた、の?」
「すきだからよ?」
「す!?」
ふふ、真っ赤になっちゃって可愛い。
「つめたいめのヒトがおおかったあのさとで、しんぱいしてくれたあなたに、わたしはこいにおちたの」
「ええと、あの、その、」
「あわてなくてもいいわ」
もう少し、せめて中学生か……高校生までは育たないと、勝負もできないでしょうし、ね。
「わたしはあなたのみかただって、しってくれていればいまはそれでいいの」
私は貴方の味方。
それは、最初に貴方を見つけて、その心配そうな顔を見た時に――私が貴方に一目惚れした時に、決めたこと。
言質はとったし、離れることは許さないから……覚悟してね、未来の旦那様。
補足コーナー
・空澄瑠華
弱冠3歳にして将来の旦那様を捕まえた空澄家の長女。
風の魔法が得意だが、他にも水と光の属性が使える。成長しても適性の都合で強力な魔法は使えないのだが、それを補ってあまりある頭の良さが武器。
実は転生者で、大人びた性格や頭の良さは前世由来のもの。本人的には前世の記憶は「知識」であり、感情を伴うものではないし、今生の親兄弟は大好き。