表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

第3話 幼女は魔術師と逃げる

前半は三人称、後半は瑠華視点になります。

エルフが厭い、蔑んでいたハーフエルフ……ジークナートの手を取り、召喚された子供は微笑む。

今まで、エルフの説明を受けていた時には見せなかった笑顔を、よりによって「混ぜもの」なんかに!

そういきりたったエルフは――直後、冷ややかな子供の目に睥睨され、押し黙ることになった。


「では、おささま?」

「……なんだ、異世界の小娘よ」


渋々、という様子で子供に応えた集落の長は、自分のいとこに当たる青年の手を取った彼女の、心底楽しそうな笑顔に息を呑んだ。


「ジークナートをさらって、にげさせていただきますね!」


その言葉に、は? とエルフたちが疑問を漏らす前に。


――ぶわり、と強く風が吹いて。

その風はみるみるうちに強くなって、突風としてエルフたちを襲い。

子供――瑠華を中心として、台風のように吹き荒れる。


そして、その風が収まった時には、瑠華とジークナートの姿は、既に里のどこにもなかった。






「……っ!」

「……ここっ!」


ぽふん、と。

私たちの落下地点に出現した風のクッションに受け止められ、私とジークナートは無傷で空の旅を終えた。


ふっふっふ。

今頃、闇エルフたちは私たちが転移したと思って必死に探して居るでしょう……単純に強い風を吹かせて、その風に乗って森を飛び出しただけとは思わずに!


「……びっっっくりしました!!」

「わっ。えーっと、ごめんなさい」


あ、声も出せずに硬直していたジークナートが復活した。うん、驚かせてごめんなさい。


「とりあえず、ジークナートさん……」

「ナートでいいですよ。母にはそう呼ばれていたんです」

「わかりました。じゃあ、ナート」

「はい」

「わたし、おうちに――もとのせかいにかえりたいのだけど……。その、わたしについてきてくれる?」


ぱち、と彼は目を瞬かせて。


「もちろん!」


嬉しそうに、笑ってくれた。


補足コーナー

・瑠華の魔法レベル

基本的に簡単な魔法しか使えない。そこはまだ子供なので。

が、風を吹かせるだけの魔法を出力をあげて使って「転移した」というハッタリに使ったり、頭の回転の速さで子供の魔法も武器にしてしまうのが彼女の特徴。

ちなみにエアクッションを作った魔法は、母親である風香が「高いところから落ちた時はこれで安全に着地しなさい」と教えたものです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ