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転生したら神様代理にさせられた  作者: 海老の味噌汁
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とりあえず信者が来たので加護ってみた 

目が覚めると、なにかの建物の中の一室にいた。

古ぼけた、ところどころくもの巣がはり、長らく人がいなかったのような

4畳半ぐらいの部屋。廃墟、というほどではないが、まず手は入れられてないような

汚れが目立つ。


ここがどこかはわからないが、なんとなくわかっている気がした。


「そういや、地界の知識は与えるって言ってたな・・・」


体は・・・どうやら生前とは違うようだ。

部屋にあった汚れた鏡を手でふくと、そこそこイケメンな男が映る。

まぁ、メタボ系オタク顔じゃ布教しようにも怪しい男に見えるから

それなりに作り変えてくれたんだろう。歳も20歳前後のように見える。


体を起こし、古ぼけたドアを開けると、そこは古ぼけた教会だった。

しかし、誰も居ない。いわゆる神父さんのような人とか、信者の人どころか

おそらく長い間放置されているかのような埃があちこちに見え

汚れた窓からは外は見えず、淡く日の光が差し込む程度。

奥にある台座には、ゼウス様と思われる銅像が建っている。


外に出てみると、どうやら小さな町の片隅にある教会のような建物だった。


「さて、何をどうするか・・・・」


この教会を見る限り、信仰なんてものは皆無なんだろうなと思った。

何をどうして神様への信仰を取り戻すか、考えなければいけないが

そもそも何かしら問題が起こらなければ何ができるわけでもない。

与えられた知識のおかげで、この世界のことは大体わかるが・・・

まぁ、布教してくれとは言われたが、とりあえずこの世界をめぐって

色々見聞してからでもいいか。まずは生活・・・と


「てか加護あげるとも言ってたよな・・・何をくれたんだろう?」


特別SUGEEEE力は感じない。

大した力もないっていってたから、加護も大してもらえなかったのかな・・・


ギリシア神話には様々な神がいる。

創成の神であるウラノスとガイア。

その息子(末弟)であるクロノスを主神とする

ティターン十二神。

オリュンポス十二神と呼ばれるゼウスを始めとする神々。

またそれらに連なる子神達。

話の流れではゼウスが神王みたいなので、オリュンポスなんだろうな。

俺が知ってる神話の通りであれば。。だが。


仮にオリュンポス十二神の加護だとしたら

まんべんなく色んな能力に関係してくるんだろうが・・・

特別な力を感じられないあたり、今現在は加護もほぼないようなレベルなんだろう。


つまり、俺がこの世界で生きていく上でひゃっほーいしたければ

加護を強力にする=信仰を厚くさせる ってことだ。


まぁここであれやこれや考えても仕方ない。

まず、家もなにもないのでひとまずこの教会で過ごすことになるだろうから

住みやすいように掃除をすることにした。


「さて、とりあえず拭き掃除するか・・・」


キレイにしよう と思ったその時。

右手が淡く光り、その光が部屋中に飛び回り、その光が触れたところがキレイになった。


「うわ・・・なにこれ、魔法?掃除魔法?」


魔法が存在することはわかっていたが、まさかここで出てくるとは思っていなかった。

しかし、ある程度明確に「思う」ことで発動することがわかった。

そしてこれが生活魔法と呼ばれる簡易魔法であることも。

ただ、欠けた部分があるものも修復され、新品同様になり

壁ですら新築のように変化していた。これは加護の力かな?


「しっかし楽だな。強く思うだけでどんどんキレイになる。」


掃除がメンドクサイ俺にとっては僥倖である。

部屋があっというまにきれいになり、ついでに小さな教会の内部も

キレイにした。


色々試した結果、どうやら物を修復し、新品同様にできる魔法みたいだ。

掃除中、壊れたイスの突起に引っ掛けた腕の傷も治せたので

物にも効くヒールみたいな魔法だと理解した。

ただし、「思う」程度で効果に幅があることがわかった。

とりあえず修復魔法と思っておこう。


と、その時、誰かが教会に入ってきた。


「わぁ。。。きれいな教会~。あ、あの人が神父さんかな?

すいませ~ん!」


15,6歳くらい?のなかなかかわいい女の子だ。

服装は整っており、後ろには従者なのか、二人の男性が

付き従っていた。貴族みたいな感じだ。

彼女は足が悪いのか、車椅子に乗っていた。


「あ、いえ、神父ではないんですが・・・ある意味神に仕えてはいますが。」


「あ、そうなんですね。でも、外から見た感じと違って、中はすっごくキレイなんですね。」


今掃除したばっかりです。と思ったが言わないでおいた。


「私、見ての通り足が悪くて・・・・治療のための十二神の加護を受けに教会を巡っているんです。

ここが最後の主神様になるんですが、祈りを捧げても大丈夫ですか?」


どうやら数少ない信者のようだ。加護・・・か。

俺はちょっと閃いた。せっかくの信者だ、ちょっと神父様やってみよう。


「はい、大丈夫ですよ。では、主神様に祈りを捧げてください。」


と言うと、少女が祈り始めたときに「修復魔法」をかけてみた。

いくつもの光が放たれ、彼女の体に降りかかり、包み込む。

もしかしたら・・・と思い、足が治るように強く思ってみた。


「これは・・・ヒール?」


少女の両脇で祈っていた従者が彼女を守るように囲み

俺を見上げる。


「なんか、足が軽くて・・・暖かい。

あ・・・・足が、足が動くよ・・・・?」


どうやら魔法は成功したようだ。なんにも起きなかったらそれはそれで

ごまかすつもりだったが、まさかそこまで治るとは思ってなかった。

が、そこは結果オーライということで。


兵士は何が起きたのか理解しきれていないのか、唖然と少女を見ている。


「もしかして、これはエクスヒール・・・?」


驚きと感動、二つの感情が入り混じったような表情で俺に問いかけてきた。

エクスヒール?よくわからないが、どうやら名前からして

すごい回復魔法っぽい。修復魔法のつもりだったんだが。


少女は立ち上がり、おぼつかない足取りでふらふらと歩き始めた。

奇跡だ・・・と言わんばかりの顔で従者は固まっている。


「もしかして、高位の神官様だったんですか?」


従者の一人が尋ねた。


「はは・・、たぶんそうかもしれません。」


「動かなくなったお嬢様の足を治せるとは、高位の神官でなければ

使えないエクスヒールのはずですが、詠唱もなしに

そんな難しい魔法を使えるとは・・・。」


「いやいや、そんな大層なものじゃないですよ。」


と苦笑いしながら答えた。

だって、もとは掃除に使ってた魔法だもん・・・

すると、二人の従者が目をキラキラさせて俺に詰め寄る。


「ありがとうございます。まさか、主神様の教会に

これだけの治療魔法を使える神官様がおられるとは思いませんでした。」


「しかしこれだけの治療魔法。普通であれば金貨100枚は

お支払いしなければなりません・・・が

私どもはそれだけのお金を持ち合わせておりません。」


「あ、いえいえ、お代は結構ですよ。」


「なんと・・・無料で施しをしてくださると?

しかし・・・いえ、さすが主神様の神官様。慈悲深さに感服いたします。」


なんかめちゃくちゃ持ち上げられて困った。

どう返して迷っていると、少女が俺の手を握り

喜びで潤んだ目で俺に迫った。


「私はランザール伯爵家第2子、リディアと申します。

王家の分家筋とはいえ、一地方領主。多くはありませんが

せめて、この教会への寄付をさせて頂きたいと思います。」


結構なお嬢様だったのか・・・まぁ、今の俺は金もないし・・・

一先ずの収入としてありがたいから貰うことにした。

渡された袋には金貨が5枚入っていた。

神様から貰った知識では


金貨1枚=1万円

銀貨1枚=千円

銅貨1枚=100円

ぐらいみたいだ。


これでしばらくの生活費になるな。。。

この世界の服も買わなきゃいけないし、初期費用GETだ。


布教活動第一歩、とりあえずうまくいった。

もともと信者だったみたいだが、一層信仰が強くなったみたいだし

良家のお嬢様だけあって世間への影響力もあるだろう。

今後もちょくちょく祈りに来るそうだ。

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