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占い店主と怪奇備忘録  作者: パル猫
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一話『始まり』

初めましての方は初めまして!私の事を知っている方はおはこんばんにちは!パル猫です!

遂に新作投稿です!月一、二程度で更新しようと思っております。今後ともよろしくお願いします。それでは本編どうぞ!……あ、今作品には多少のグロテスク表現などがございますのでお気お付けください!

『かごめかごめ かごのなかのとりは

 いついつでやう よあけのばんに

 つるとかめがすべった

 うしろのしょうめん だれ?』


 誰が歌い始めたか。夕暮れ時に公園に響く幼い声。声の主は小さい女の子、見た目は4歳か5歳程で栗色の髪に淡い緑かかった目。囲んでいるのは7歳か8歳程の男の子と女の子の二人。二人とも黒色の髪に黒目だ。


『お姉ちゃん!』


『ぶぶーお兄ちゃんだよ!』


『あーあお姉ちゃんだと思ったのになぁ』


『じゃあチカがまた中ね!』


『ううー次はあてるもん!』


 仲良く遊んでいる三人。一見兄弟には見えないが女の子は二人のことを"お兄ちゃん""お姉ちゃん"と呼んでいる。周りで遊んでいる子供達がどんどん帰っても三人はずっとかごめ歌で遊んでいる。


 時間が過ぎていくが誰もその子達がいないかのように声も掛けない、普通ならこんな時間に子供だけでいたら誰か大人が声を掛けるようなものだが。


『かごめかごめ かごのなかのとりは

 いついつでやう よあけのばんに

 つるとかめがすべった

 うしろのしょうめん だれ?』


 "お兄ちゃん"と呼ばれる男の子と"お姉ちゃん"と呼ばれる女の子の声が重なる歌が終わる。次の後ろを当てるために女の子は必死で考える。

 そうだ!お姉ちゃんは歌の最後を「だーれー?」と伸ばすのでお兄ちゃんよりは少し遅れて聞こえる、それが後ろから聞こえたから後ろは!


『お姉ちゃん!』


『正解っ!』


『次はチカが歌う番だな!姉ちゃんが中な!』


『うん!頑張って歌う!』


『歌うだけじゃだめだよ?ぐるぐる回らなきゃ!』


『うん!分かった!』


 そう言ってチカと呼ばれた女の子はお兄ちゃんと手を繋ぎながらお姉ちゃんの周りをぐるぐると回り始める、そして聞きなれたその歌をお兄ちゃんに合わせながら歌い始める。


かごめ(加護め!)かごめ(檻の目)

 かごのなかのとりは(籠の中の姫は)いつ(何時)いつでやう(丑三つ時逢う)

 よあけのばんに(丑の刻夜に)つるとかめがすべった(姉と兄の首切った)

 うしろのしょうめん(次の生け贄)だれ?(誰?)


『『え?』』


『チカ?歌が違うよ?』


『ふぇ?チカ今まで通りに歌ったよ?』


 チカと言う女の子は今まで聞いてきたこの聞き慣れた歌を歌ったはずだった。いつも歌う(うた)(うた)(うた)………呪詛(うた)。まるで自分以外の誰かが自分に合わせて歌った呪詛(うた)、でも合わせた声は自分の声にそっくり、いや変わらないまるで自分の声のよう。


『チカ?怖いよ?まっ…きゃっ!?』


『ち、チカ?なんでそんな物を…がふっ!?』


『お兄ちゃん!?お姉ちゃん!?』


 おかしい自分は先程から動いていないのにお兄ちゃんとお姉ちゃんが何かに襲われている。でも動こうとしても動かないというよりまるで何かに縛られているかのように動けない。

 その間にもお兄ちゃんは空中を何かに引っ張られる様に飛ばされているがとうに気を失っており脱力しているが一向に止まる気配はない。お姉ちゃんは最初に飛ばされた影響で気を失っていた。


『おに…い…ちゃ……お…ね…ちゃ……』


  どんどん声が出なくなっていく、別に首を絞められている訳ではがそれでも何故か声が出なくなって周りの空気もどんどん寒くなっていく。

 しかしおかしいのだこれから暑くなっていく時期の筈だ。それはもうすぐ運動会の予行練習があるからだ、毎年運動会は暑い時期にあるのをチカと呼ばれる少女は知っている。


『お…に…ちゃ……ね……ちゃ』


 さらにどんどん声が出なくなっていく。その間にもお兄ちゃんは空中をぶんぶんと飛び回されている。大分無理に飛ばされているのだろう引っ張られている右腕が変な方向に向いている。完全に折れてはいるだろう。


『や!やめて!』


 急に誰もいなくなった公園にお姉ちゃんの方を向いた…いや向かされた。体がお姉ちゃんの声がした方に向いたのだ、動かしてはいないだって動かそうにも動けないからだ。


『い、痛い!痛い痛い痛い!やめて!痛い!』


 お姉ちゃんも体がいうことを効かないみたいだがそれより………お姉ちゃんの首が右方向に捻れていっているもう大体120度位まで回っている。無理矢理にされているようだ必死に"やめて!"と声を出そうとするが一向に出る気配がない。


 その間にもどんどんお姉ちゃんの首は捻れていっているゆっくりゆっくりとまるで痛がるのを楽しんでいるかの様にそのお姉ちゃんを襲っているやつはまるで笑っているかの様に。


『お…ね…が………た…す……て………………………………くぴゃっ』


 お姉ちゃんの口から変な音が出てお姉ちゃんの首が完全に折れた…。首の折れるパキャンという音と共に。

 それでもお姉ちゃんの首が捻れるゆっくりゆっくりと、顔は苦痛の顔をしているもう涙などでぐちゃぐちゃになっているがそれでもお姉ちゃんの首が捻れるのは止まらないゆっくりゆっくりと捻れていく。


 しかしチカと呼ばれる少女はその光景を見ても気を失わなかった、いや失えなかったのだ。人はあまりに衝撃的な場面や痛みに耐えかねると自己防衛の為に気を失うがチカと呼ばれている少女は何故か気を失えなかった、失う直前に強制的に引き戻されるのだ。


  だからお姉ちゃんの首が折れるのを一部始終みた、いや()()()()()()


『うぷっ……』


 吐き気が襲ってくるがやはり押し戻される様にして吐けない。目の前の光景に目を背けようとしても身体が動かない。泣きたくても泣けない。自分のしようとする全てことが否定される。


 一瞬身体の拘束が解ける。その瞬間逃げれば良かったのだろう。チカと呼ばれる少女はそれまでの光景を思い出してその場にうずくまってしまった。すると…


『『かごめェェ…かごめェェ…かごのなかのとりはァァ…

 いついつでやうゥゥ…よあけのばんにィィ…

 つるとかめがすべったァァ…うしろのしょうめん……

 だぁれェェ…?』』


 おぞましい声がする。「聞いたことのない……?あれ…この声は…」と呟く。しかしよく聞くと姉と兄の声も聞こえる。もしかしたらさっきまでの光景は嘘かもしれない。そう思って顔を上げる。


『あ、あれ…?』


  先程までの凄惨な現場は跡形もなくいつもの公園だった。日も落ちかけて夕日に真っ赤に染まる公園がただそこにあった。


『きゃははははははははっきゃははははははははっ』


 不意に背後から笑い声が聞こえた。恐る恐るという風に身体が勝手に後ろを向いていく。『止まって!見たくない!』と必死に叫ぶが身体は聞いてくれてはいない。


『お…ねぇ……ちゃ……?…………………!?』


 目の前に姉の顔があった。先程首をねじ切られた姉の顔が。

 その証拠に首から下はない…いや、ないと言うのは語弊がある。あるにはあるのだ血にまみれた背骨が。今もポタポタと血が地面に垂れて染みを作っている。


『ねぇ…遊…ぼう…?』


  姉はそう問いかける。


『あ…あ………あぅ……』


  声にならない。


『チカ…遊…ぼう?』


 兄の声が後ろから聞こえる。兄は気絶して……いやもう兄も姉のような状態なのかもしれない。そんな事を思いながらチカと呼ばれる少女は意識を手離した。




「がはっ!はぁ…はぁ…はぁ…けほっけほっ…はぁ」


  まだ朝日の昇る前一人の少女は飛び起きた。荒い呼吸を必死に押さえようとしている。


「また…はぁ…あの夢……はぁ…」


  そう言って少女は片手で頭を押さえる。頭痛を紛らわそうとしているようだ。最近毎日見るあの鮮明な夢。自分には()()()()の姉と兄の最後の夢。あの後自分は病院のベッドの上で起きた。


 しかし誰も兄と姉の事を覚えていない。自分自身でも姉と兄が居たことは覚えているのに名前も顔も思い出せない。父も母も自分しか産んでないと言う。そんな両親が怖くなり別々に暮らし始めたが2年前に母が亡くなってからは父とも連絡を取っていない。


「今日は早めに…学校行こうかな…?」


 そう言って朝支度を始めようとテレビを付ける。気を紛らわせるというのもあるが丁度朝一のニュースがやっているようだ。


  『昨日未明、N市で暮らす10歳の女の子が遺体で発見されました。母親が帰宅すると家が血にまみれており。人の臓器などが放置されている状態だったと言う事です。DNA鑑定の結果女の子本人と一致しており警察は殺人事件として捜査している模様です。

 最近似たような事件が立て続けに起こっていますよね?この凄惨な事件について心理学研究家の戌上(いぬがみ)さんはどう思いますか?』


『これは犯人の猟奇的な殺人だね。立て続けに8回もこんなに近くで…』


 そこで少女はテレビを切った。朝からなんという事件の事を聞かせてくれるんだと憤慨しつつ、朝食を食べる気が無くなったようで着替え始めた。




  何時もより早い登校。もう秋も終わり頃の為、朝は薄暗いし何より寒い。今日はマフラーでもしてくるんだったと思いながら歩いていると。


「チ~カっ!」


「ん!?んぐっ!?」


 この茶髪でボーイイッシュな娘は嶋田(しまだ) (あや)、私、小遊鳥(たかなし) 千佳(ちか)の親友と言っても過言ではない娘なのだ…が


「まっ…アヤッ!首っ!」


 綾は大体身長150センチほど対して私は165センチなので両足を上げて首に飛び付いた綾の両腕は完全に決まっている。ギブギブっ!と完全に決まっている綾の腕を叩くが全く反応してくれない。


「あれ?チカ?おーい?…!?し、死んでる!?」


 そう驚いた風にみせて両腕をパッと放して綾は降り立つ。


「死んでないよ!でも死にそうだったよ!亡くなったお母さんが見えたよ!」


 ムキー!という音が聞こえて来そうなほど千佳はキーキー言っている。綾はそれを茶化すようにけれどもちゃんと謝っている。端から見ても凄く仲の良い二人に見える。


「けど今日は早めに出たんだけど。よく分かったね?……も、もしかしてストーカーしてる?」


「そ、そんなわけないでしょ!なんかこうキュピーンと来たんだよ。チカにはなんか発動するんだよ。」


 私の親友は私に対する第六感を身に付けたらしい。綾の背後には"綾は第六感を身に付けた(千佳限定)"という字幕が出てそうだ。


「ふーん?」


「そ、それよりあの駅前のコンビニ潰れたでしょ?あの後に美味しいクレープを出すカフェが出来たんだよ!放課後行ってみない?」


「そうなの!?行こ行こ!」


 今日もそんな他愛のない話をしながら学校へ向かい歩く。




「おはよ~う。多分誰もいないけ…ってうおっ!?」


  そこには文学少女がいた。その本を読む姿は大和撫子を感じさせつつ完成された二つの果実がその美景を……んっ!んんっ!とまぁ話がそれてしまったが彼女は天ヶ崎(あまがさき) 愛那(あいな)このクラスの委員長兼、生徒会長兼、会長の娘というお嬢様属性過多な女の子である。


「あら?小遊鳥さんと嶋田さん?今日は随分と早いのね?」


「あ、天ヶ崎さんおはようっ!まさかこんなに早く来てるとは思わなかったよ。」


「うう…ここまで早くても負けるのかぁ」


 一体綾はどこを張り合っているのか。


「というかアヤあなた、いつも私と登校してるからそんなに早くないでしょ?」


「それもそうだね?」


「貴女達朝から元気ね?」


 愛那は呆れ半分といった感じを醸し出しながら読んでいた本に目を落とす。やっぱり綺麗な人は行動も綺麗らしい。


 朝早く登校するのも悪くないなぁと思っていると次々とクラスメイトが登校してくる。そしてその日の授業も難なく終わった。




「よーし!アヤ、クレープ食べに行こっ!」


「チカ…その贅肉…」


「何か言ったかしら?ふふっ?」


「い、いえ!今日も素敵ですね!」


  チカの後ろには刀を構えた般若さんが見えている事だろう。それに最近少しお腹が気になって来たのだ…気を付けて食事等しているというのに…解せぬ


「それにしても駅の方、変わったよね?」


「そうだね~?最近行ってなかったもんね~?」


 数ヶ月前までは廃れたような商店街だったのに今ではカラオケ店やファミレス、電化製品店などが建ち並んでいる。変わるのが早いなぁと思いながら進んでいると…


 不思議な空気を纏うお店を見つけた。いや正確には不思議な空気が漏れだす地下への階段だ。


「あれ?アヤ…ここにこんなお店あったっけ?」


「ん?あ、ここ!占いで有名な所だよ!地図で検索しても分かんなかったんだけど、ここにあったんだ?」


「へぇ?占い?有名なんだ?」


「うん!芸能人とかも足を運ぶ位有名なんだって!この辺りにあるってのは知ってたんだけどねぇ」


 いわゆる隠れ名店みたいなやつなのだろうか?でも今まで感じたことのないくらい不思議な…包み込むような…名状しがたい空気が漂っている。


「ねぇチカ!行ってみようよ!」


「えぇ…行くの?」


 正直あんまり近寄りたくはない。というのも何故か引き寄せられているみたいで嫌なのだ。


「やっぱりやめない?」


「チカ怖がり過ぎだよ!ほら行こっ!」


 そう言って地下へと続く階段の手前まで行く。そこには黒い黒い西洋風の扉があった。

 でもどうしてだろうか?こんなに近くにあると言うのにまるで()()()()()()()()不安感が漂ってくる。


「チカ?……顔色悪いよ?やっぱり止めとく?」


「うん……ごめんねアヤ……」


「ううん。大丈夫だよ。こっちこそ無理やり連れていこうとしてごめんね?」


「うん」


 今は何故か入る気になれない。アヤには悪いが…


「……じゃぁ気を取り直してクレープでも食べに行こっかっ!」


 場の空気を変えるためにアヤが提案する。やっぱり出来る親友だ。


「うん!そうだね!」


 空元気で返事をする。アヤは気付いているのかも知れない…苦笑いだがそれでもその提案に乗ったのが嬉しいのかチカの手を引いて駅の方へと向かう。

 チカも一瞬扉の方へと視線を向けてからアヤに手を引かれて行く。しかし何処か楽しげに二人は駅の方へと消えていった。




「またのご来店を。」


 二人が過ぎ去った後、夜も遅い時間誰も通らない商店街にその一声が響く。しかしどのお店からも一向に人は出てこない。

 ――ただ一迅の風が吹くのみだった。



どうだったでしょうか?男は出ないのかって?えっと次回かな?……うん……ま、またね!?(逃)


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