親戚
なんだかんだで結局全員で登校する事になった。
「今日は兄さんだけじゃなくてリリスちゃんとレヴィちゃんもいるんだね」
遥はウキウキとした気分ではしゃいでいる。
一方、俺はというと…鬱だ。
何故か?
そりゃ、あの二人が何をするかわからないからに決まっている。
大暴れはしないだろうけど、不安だけはある。
不安が残ったまま学校へと着いた。
遥を先に中に行かせて、俺は悪魔二人を連れて裏口から入る。
「何?なんでハルカと一緒に普通に入らないの?」
「レヴィ、学校ってのはな部外者が入れないんだ。だから校長から理事長に話を通してもらうってわけ」
「部外者が入れないのは知ってるよ。だからってなんで裏口から?」
「……私は部外者じゃなくて眷属ですから…」
リリス、そういう問題じゃないんだけど…
「裏口から入る理由?そんなもん一つに決まってるだろ!お前ら目立ちすぎるからだ!」
「ただでさえ名前が日本人じゃないし、見た目も派手だし、レヴィに関しては高校生に見えないし!」
リリスとレヴィは今一度自分の姿を確認する
「……確かに」
理解してくれた。
裏口からなんとか校長室まで来れた。少しの生徒には見られたけど、それでも正面から入るよりましだろう
校長室に入ると、校長がいる。当たり前だ。
「校長先生!少しお話が」
「なんだい?…君は……確か二年生の氷上君だね?…それと後ろにいる可愛い女の子二人は誰だい?」
少しニヤケ顔の校長先生。やはりこのおっさんは若い女の子が大好きみたいだ
「こ、この二人は……えっと、し、親戚です!…と、遠い。で、訳あって同棲する事になったので新しく入学手続きをしたくて」
「構わんよ!これよりこの娘達を我が黒鉄高校の生徒にする!異論は認めん!」
こうなると思った。この変態校長ならな
「名前は赤い髪の方がリリスと言います」
「魔王様を守るため何時でも傍にいます!」
「ちょっ、ここで魔王様とか言うのやめろ!普通に呼び捨てで名前で呼べ!不審がられる」
余計な一言が多いリリスに小さく耳打ちする
「そして、こっちの青い髪の方がレヴィと言います」
「とりあえずこのキモイおっさん殺していい?それとなんでボクがお前の親戚になるわけ?」
「そういう設定だから!気にすんな!それと校長先生に変な事言うな!」
「なるほどー!リリスたんとレヴィたんだね!いいよいいよ!うひょおぁぁあっ!!」
あれ?校長先生ってこんなに狂っていたっけ?
「たん付けで呼ぶな!気持ち悪い!ハゲ!死ね!」
「んなっ!今なんと…レヴィたん」
やはり俺の言うことは聞かない。
「だから何度も言わせるな!ボクはそもそも人間が大嫌いなんだ!それなのに気持ち悪いおっさんに気持ち悪い呼び方されて、マジで殺すぞ」
かなり怒ってらっしゃる。それにしても人間が大嫌いというのは初耳だった。
人間だらけの学校でやっていけるのだろうか?
「ンハー!もっと!もっと罵ってぇぇぇ!レヴィたぁぁあん!」
両手を広げてダッシュでレヴィの元に駆け寄る校長
「キャアァァァァァァアッッッ!!!」
レヴィからおよそ聞けないであろう高音の悲鳴が聞こえた
余程キモかったのだろうか
さっきまでの威勢が全くない。
そんな校長の顔面を鷲掴むリリス
「………レヴィに近寄るな…それと魔王様にも…わかったな?」
少し頭からミシミシと聞こえるけど、リリス大丈夫か?
「………はぃい…以後気をつけます。のでリリスたんのおっぱいを触ら……」
ーーーーーー
「よーし、お前ら席に着けー!今日はいきなりだけど新入生紹介するぞー!氷上の遠い親戚らしい。よし、入ってこい」
教室のドアが開くと、制服姿のリリスが現れた。
黒板に名前を書き、自己紹介をする
自己紹介は事前に打ち合わせしたから大丈夫なはず
「ひ、氷上リリス……です。こ、これ…から……その、よ、よろしくお願いします…」
赤面するリリス。人前で話すのは苦手なのだろうか
みんなはしゃいでいる
「めちゃくちゃ可愛いじゃんか!」
「マジで氷上の親戚?ありえねー!」
「おっぱいでかくね?」
「ちょっと男子キモイ事言うのやめてよ〜」
やはりリリスは人気出るだろうと思った。
レヴィはどうしてるだろうか?ちゃんと自己紹介できてるだろうか?
レヴィは一つ下の学年になった。つまり遥と同じ
朝のホームルームが終わるとリリスの元に駆け寄るクラスメイト達
各々質問を投げ掛ける
頭が混乱したリリスは俺の元へ駆け寄ってくる
「ま、魔王様ぁ〜!ど、どうすればよろしいのですか?」
「ははは、時期に慣れてくるさ、一つずつ質問返してやりな。それと魔王様って呼ぶなって言っただろ?」
「すみませ……あっ……ごめん。」
謝るリリス。謝り方も途中で思い出し言い換えた。
そして、再びクラスメイトが集まる自分の机にリリスは戻っていった。