これ以上言わないで
もう一つの疑問。
それは"何故サタンは死んだのか"
リリスの話によると、魔王サタンは不死鳥の力を持っており、死ぬことのない身体だったはず。
それなのに、サタンは弟のルシフェルに殺されたという
この事についてリリスに問うと、リリスはこう言った。
「ルシフェルは何かしらの方法でサタン様の持つ不死鳥の力を封じて殺したのだと思います。そうでなければサタン様が亡くなるはず…」
………
「え?確証はないのか?」
「あります。私はこの目でサタン様を殺すルシフェルを見ました。……ですが、わからないのです。どうやってサタン様を殺したのか…」
「お姉様、一ついい?お姉様には悪い事を言うかも知れないけど、ルシフェル様はサタン様を殺さざるを得なかったんだ…」
その瞬間。物凄い形相で睨みつけながらレヴィの胸元を握るリリス
今にも止めを刺そうかと言わんばかりに
「レヴィ…これ以上言わないで…」
「ごめんなさい。…そんなつもりじゃ…」
やはりリリスはサタンを亡くした事に対して自分を深く恨んでいるのかも知れない。
リリスの為にもあまりサタンに関わる話はしないでおこう
「と、とりあえず落ち着けお前ら!明日も朝早いから俺は寝るけど、お前らも夜更かしすんなよ!」
「魔王様…おやすみなさいませ。それでは私はこれから魔王様の警護にあたります」
「いや、寝ろよ」
「いえ、レヴィがいる以上私は魔王様を必ず守らなくてはいけませんので…。魔王様、お気になさらず」
「横に居られたら気になるだろ!それと俺は死なないって事証明したんだからレヴィが何しようと関係なくないか?」
「その事なのですが、レヴィはルシフェル直属の眷属。もしかすれば何かしら不死鳥の力を封じる手立てがあるかもしれません…」
それを言われて返す言葉が出なかった。
しかし、リリスはここの所殆ど寝ていないと思う。
「魔王様…諦めてください。私は魔王様を守るためなら魔王様に逆らいます。どんな罰を受けても構いません。私が罰を受けるだけで魔王様が助かるのならそれで本望です」
「………あのさー」
俺とリリスの言い合いに痺れを切らしたのか、隣で聞いていたレヴィが割入ってくる。
「酷くない?ボクが寝込みを襲うみたいな感じで話が進んでるけど、ボクはそんなせこい事はしないよ。殺るなら正々堂々と殺るから安心して」
いや、安心はできない。
「レヴィ、それを私に信じろと?」
ボクがお姉様にこの人生で嘘をついたことある?」
「…………っく……それは…。ない…けど」
「そういう事。だから安心してお姉様は寝てください。ボクも眠くなってきたのでそろそろ寝るよ……ふわぁあ」
そういって、レヴィは遥の部屋に帰っていく。
レヴィはうちに泊まるようになってからは遥の部屋で過ごしている。
理由は知らない
「気が済んだか?リリス。俺も寝るから、さっさと寝ろよ。それとも命令した方がいいか?」
「……いえ、大丈夫です、魔王様。お騒がせ致しました。私も久々に睡眠を取らせていただきます」
ーーー翌日
「………ん?」
「あっ、おはようございます!魔王様!よく眠れましたか?」
「……あの、なにしてんの?リリス」
「いえ、これには別に深いわけはございません」
現状況を一言で説明すると、
"リリスに抱きつかれている"
それも軽くではなく、ギュッと抱きしめられている。
「いや、深いわけがない方が困るのだが!?」
朝目覚めたら女の子に抱きつかれてる事なんてあるだろうか?いや、ない。ありえない
しかし、それが今ありえてる。
正直嬉しい。
いい匂い…リリスってこんなに…
いやいや、まて、リリスは俺の眷属なんだし、そんな仲じゃないから変な事考えるな!
ん?待てよ?眷属だったら何でもしていいのか?
まてまて、朝から何を考えてんだ!
「と、とりあえず離してくれるか?リリス」
「わかりました。」
そっと離れていくリリス
「リリス?いったいどういう事なんだ?説明してもらおうじゃないか」
「そ、それはですね。魔王様に万が一の事があった場合を考えて私が盾にならなくてはと考えた結果、魔王様を私の体で包み込めば、少しは軽減されるのかな?と思いまして」
「何が軽減されんだよ!違う意味で危ないわ!」
「なんと!私もしかして魔王様を危険な状態にしていたのですか!?そ、それは申し訳ございません!なんなりと私に罰をお与えください。どのような内容でも私は飲み込みます」
その時だった。
ガチャンと勢いよくドアが開き
「兄さん!朝から何叫んでるの!?うるさいんだけど!……え?」
遥から注意を受けた。
その遥がその場で固まり、顔を赤らめていく
「ちょっ、ちょちょちょ!待って、リリスちゃん!な、何してるの!?」
「あ、ハルカ様!おはようございます!これより私は魔王様を危険に合わせてしまった罰を与えてもらうために服を脱いでいるのです」
「いーから!そんな事しなくていーから!早く服着て!みてるこっちが恥ずかしいよ!」
「リリス、頼む、脱ぐな…見れないから…」
「……わかりました。罰はよろしいのでしょうか?」
「そんなものどうでもいいよ!」
朝からとんでもない事が起き、どっと疲れが溜まった。
ーーー
朝食を食べ、いつも通り遥と学校に向かう。
「それじゃあ、行ってくる!リリス今日も留守番頼んだぞ!」
「かしこまりました!魔王様!」
「お姉様!行ってくるよ!へへへ」
「え?」
何故かニッコリと笑いながら言うレヴィ
「だって、お姉様は魔王様の命令で留守番を頼まれたんだから命令を守らないといけないからね、あいつを殺すなら今がチャンスじゃない?というわけで行ってきます!」
「お前学校来るのかよ!まじで?」
「行くよ?機会があれば何時でも襲えるからね」
「いや、俺は死なないからいいけど、周りに迷惑だけはかけんなよ?」
「なんでボクがお前の言う事聞かないといけないの?まっ、ボクもなるべく大事にはしたくないから、迷惑はかからないと思うけど」
「ま、魔王様!」
「ん?どうした?リリス」
「わ、私も……行ってもよろしいでしょうか?
学校に……」