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悪魔リリスの復讐譚  作者: 猫みかん
第二章:純真無垢な夢魔の少女
18/22

弱点






ふと、何かの気配を感じ、目が覚める




「いつの間にか寝てしまったのか…」




「………!!……はぅ…」





俺が起きた事によって驚きの声を上げた





「……あの、氷上君…」





その人物は姫咲さんだった





「ちょ、えっ!?どうしたの?」




「………………」





という質問に黙り込む




何故か顔を赤く染め、俯く





「………?」





「も、もう…こうなったら…どうにでもなっちゃえっ!!」





何かの覚悟を決めた姫咲さんは、そのままの勢いでベッドに寝ていた俺の上に覆い被さる形に乗ってきた





「ちょちょちょ!待って待って!なに?急に!え?」




俺の腰の辺りに跨り、動けなくされた






そのまま、姫咲さんは上半身を屈めて、抱きついてきた





一体何が起きてるのか。




遥とレヴィと一緒に宿題をしているはずなのに、




こんな所見られたら絶対に殺される





微かに感じる姫咲さんの吐息。




そして、柔らかなふっくらとした何かが当たっている






「ひ、氷上君……今から…その……私と……しよ……」






姫咲さんからとんでもない発言をされた。




もう俺の頭の中は真っ白になり思考回路が完全に停止した。






「……えっと、その、一応聞くけど………何を?」






その問に対して、先程よりも濃く、はっきりとした赤に頬を染めて、さらには、胸から伝わる姫咲さんの鼓動が早くなっていた







「その、えっと……何をって……。わかってよ…今ここで、このポーズで………やる事ってあれしかない……でしょ!!」






完全にあれだった。





あれをする気だ。




なぜ?何で今?わけがわからない。






本音は嬉しい。好きな女の子とこんな事になるのは。



しかし、本当にこれでいいのか?





姫咲さんも俺も後悔しないのか?






「わ、わかったら…早く、やるよ……服……脱がせて…」






本気の本気だ





こうなったら俺も男だ。





ゆっくりと、手を姫咲さんの服に伸ばす。








嬉しい反面緊張が増してくる





心臓の音がうるさい。




廊下もうるさい





そしてドアが開く





「氷上君!!やめて!あれ私じゃないの!!」






部屋のドアが開き、物凄い剣幕で言う姫咲さんがいた。




もちろん俺に跨っているのも姫咲さん






どういう事だ?姫咲さんが二人?





「あなたは…誰?」





「………うぅ〜!ここまで頑張ったのにぃ〜!!なんでいつもいつも邪魔が入るの!」





俺に跨っている方の姫咲さんが悔しい表情で怒る





その姫咲さんの体や顔が段々と別の人に変わっていった






金髪のツインテールをしており、少し小柄で、それなのに胸が誰よりも大きい少女が現れた





「………誰だ?お前」






「………」




またしても黙り込む。





「サキュバス。…相手の好みの女性になりすまし、男性から精を奪い取る悪魔よ……まったく、ボク達全員が眠らされるとはね」




姫咲さんの後ろから現れたレヴィが解説をしてくれた。





「兄さん、もう夜だよ…。さっきまで朝だったのに〜」





遥に言われ初めて外を見る。外は既に暗く、月と街頭の明かりだけが照らしていた






「で?ボク達を眠らせて何をしようとしてたの?」




「……れ、練習」





ボソッと呟くサキュバスの女の子





「練習?何の練習か知らないけど、ボク達を全員眠らせ、悪い事をしようとしてたんだ…ただじゃ帰れないよ!特にお姉様が許さないと思うけど」






「魔王様!お怪我は!?」





丁度タイミング良くリリスも現れる






俺に跨るサキュバスの女の子を見るなりリリスはいつも通りになった





「貴様!私の魔王様に何をしている!さっさとそこをどけ!」





「まぁまぁ、そう怒るなリリス。別に何もされてないから」





そんなリリスを宥めるのも慣れてきた





「それにしても相手を眠らせる事ができるのか?」





「サキュバスは寝ている相手の夢の中に潜り込み、相手の好みの女性を探し出すのです。それ故に、相手を強制的に眠らせる術を持っています」





「だから俺急に眠くなったのか」






なんだか段々と繋がってきた





「えっとさ、そろそろどいてくれない?サキュバスの……」






「………サキ」




「え?」




「あたしの名前でしょ…サキって言うの」





「そ、そっか…じゃあサキそろそろどいてくれる?」






「………やだ。」





「貴様!いい加減に……」





怒るリリスを止めた。




「どうしても退かない?」





「……うん」






「そっか……わかった」





サキは頑なに離れようとしない。





覚悟を決めたからか、職務を全うするまで退くつもりはないのだろうか





「なぁ、リリス。悪魔ってさ、全員同じなのか?弱点」





「……え。あ、はい。殆どの悪魔には付いているので、それは弱点です。なので、基本は閉まっているのですが、本気を出したりする時は外に出しておいた方がいいんです……"シッポ"」







「殆どって事はレヴィも付いてたりする?」





「何?付いてるけど?もちろん触られたらお姉様の様に壊れちゃう程可笑しくなる」




「へぇー、今度試してみ」




「でも触ったら殺す」





「はい」





レヴィの壊れる所を見てみたい所だが、諦めよう






「じゃあ、もちろん、サキも弱点だよな?」





そう言って、少し見えていたサキの尻尾をギュッと握りしめ、擦りあげた







「んんんんっ!!?だ、だめぇ!やら…やめてぇ………んあっ……あっ……もう、むりぃ…たす、たすけてぇ……イッちゃう…」





バタバタと暴れだした。





やはり、弱かった







そして、勢い良くベッドから転げ落ちた









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