宿題
リリスの作った朝食を食べ終え、皆で話をしたりして過ごす。
「あ、氷上君!今日なんだけどね?氷上君の家泊まってもいいかな?夏休みだし、もっとみんなと一緒にいたいなーって思ってさ」
衝撃を受けた。
俺の家に泊まる?それは夢の話ではなかったのか!?
「リリス!今すぐ俺の頬を殴ってくれ!」
「え!?嫌です!魔王様を傷つける事はできません!!」
「頼む!これは夢かもしれないんだ!」
「ゆ、夢でも…嫌です…」
その時だった。鈍い衝撃が頬を走る
「はぁ、主を殴れる眷属が何処にいるか…バカ。そんな命令死んでも断るわ!」
殴ってくれたのはレヴィだった。
いや、でもリリスは一応俺を一度殺してくれてるし…
「あ、ありがとうレヴィ……とても痛い一発だったよ」
確信した。これは現実。つまり姫咲さんが家に泊まりたいと言ったのは真実だ
「もちろんいいよ、姫咲さん。あ、俺の部屋空いてるけど?」
「いや、それはごめんなさい…」
即答だった。ちょっと思い切って言ってみたけど、恥ずかしかっただけだ
結果、遥とレヴィと姫咲さんで寝る事になった。
狭い部屋に三人も入るのだろうか…
「それでは私は魔王様と一緒に、ですね」
「それはダメだ。俺が寝れなくなる」
「ダメですか?…わかりました。今日も押し入れで寝ます…。」
悔しがるリリス。しかし、絶対に許さない。
リリスが横にいると緊張して寝れなくなる。
「あ、しかし魔王様!この前の事があります!ので、やはり今日は私が付き添います!」
こいつまだ諦めてなかった
さて、俺を怒らせるとどうなるか、身を持って味わってもらおうか
「リリス、ちょっと尻尾出せ」
「へっ!?な、何故でしょうか…」
体を震わせ、縮こまる。
「尻尾スリスリの刑だ。さぁ、出せ」
これはリリスにとって地獄の拷問とも言える刑
尻尾が弱いという事は最初に会った時に覚えた
リリスは少し涙目になりながら、スカートの中から尻尾を出した
「ま、魔王様…」
ピクピクと震えるリリスの尻尾を躊躇なく握りしめる
「んんんっ!!やっ、……らめ…。ま、まお、まおうさまぁ……。ゆ、ゆる、ゆるして、くだしゃい……」
足の力が抜け、床にへばりつくリリス。
しかし、尻尾から手は離さない。
少し楽しんでいる自分がいる。
姫咲さんはこの光景を直視できないのか、手で目を隠しながらも、やはり少し気になり、指の間からチラチラと覗いていた
「なぁ、リリス。俺を怒らせると、こうなるからな?大人しく押し入れで寝るって誓う?」
「ち、ちかいまふ……ら、らから、もうやめてくらはぃ……。ハァハァ……」
リリスの目は完全に逝っていた。
流石にやり過ぎた感はある。
「も、もう、だめ。……私、動けない…も、もし今ま、魔王様が襲われたら、助けられない…」
「ひ、氷上君ちょっとやり過ぎじゃない?リリスちゃんが可哀想だよ」
「姫咲さん、大丈夫。これ日常だから」
いや、違うけど。そういう事にしておく。
「さぁ、これからどうする?」
なんだか、女性陣の目付きが怖くなったので、話を変える事にした。
「私は宿題しようかな、宿題終わらせたら後は気にせず遊べるからね。あ、そうだ、菜月さん!教えてくれませんか?」
「あ、ボクもやろーっと。簡単だし、すぐ終わるだろうけど」
「うん、いいよ。じゃあ遥ちゃんの部屋に行こっか!」
相変わらず仲のいい三人で羨ましい。
「おーい、リリス。起きろー!」
リビングの床にぐったりとしているリリスの頭をポンポン叩き言う
「す、すみません。も、もう少し動けそうにありません…」
本当にやり過ぎたかも?ほんの少し、ちょっとだけ反省
「俺も部屋で宿題してくるからさ、復活したら教えてくれよな!」
「わ、わかりました……すぐ、行きます…」
しかし同じ家の中なのに、俺は一人寂しく、姫咲さん達は三人で楽しく
何がいけないのか?
あっ、そっか……男一人なのがいけないのか。
ーーー宿題を初めて、30分が経過。
俺にしては結構集中力が続いたものだと関心したい。いつもなら5分と持たないだろう
しかし、
「だーっ!もう無理、疲れた!……リリスはまだ来ないのか?もういいや、少し寝よ」
これ以上は無理だった。
宿題を放置し、ベッドに横になる。
そして、そのまま目を瞑るといつの間にか眠りに入っていた。
それとほぼ同時に、何者かが優理斗の部屋の中に入ってきた………