拷問
ーーー魔界ーーー
「で?帰ってきたと。レヴィは確かにそう言ったんだな?セイレーン」
「はい、ルシフェル様。必ずルシフェル様の元に連れ帰ると」
ここは、魔王ルシフェルが座る王座の間
王座に座るルシフェルの横には腹心の眷属が立っていた。
「そうか、それなら問題ないな。レヴィは昔からの仲だ。俺との信頼は誰よりも厚い。よく知らせてくれた、セイレーン」
「ありがとうございます!ルシフェル様」
「しかし、お前は俺の命令に対しての結果を残してない」
「…………申し訳ございません。如何なる罰も受ける所存です」
やっぱり、私殺されるんだなぁ…
まぁ、ルシフェル様に殺されるなら、本望だよ。
あの人に言われた言葉が蘇る
"自分の眷属は大切にしろ!それも出来ねぇ奴が魔王になる資格はない"か。半悪魔の癖にいい事言ってさ
「本当なら殺していたが、伝言を伝えてくれたからな。今回は免除だ」
「ありがたき幸せでございます!」
「とでも言うと思ったか?」
不敵に笑うルシフェルは、そのままセイレーンの腹を突き刺した
「ーーーぐふぉっ……ルシ……フェル……様?」
「俺はそこまで甘くない。それくらい俺の眷属なら知ってるよな?サタンとは違う。失敗して帰ってくるなら、そのまま死ね…。」
ははは…。やっぱりダメだった。
もう、意識が遠のいてくる。
今になって思う
やっぱり、死にたくない
「ルシフェル様……すみませんでした。さ、最後ですが、もう一つ、半悪魔からの伝言があります…」
「あぁ?サタンの子供か?なんだ?言ってみろ」
「……はぁはぁ、………じ、自分の眷属は大切に……しろ……。そ、それも出来ねぇ奴が……魔王になる資格はない……と」
「ははははっ!笑わせてくれる。人間との間に生まれた半悪魔の分際で、この俺に指図するだと?…気を悪くした。最悪だ。セイレーン、お前のせいだ」
「す、すみません」
セイレーンの腹に突き刺さったルシフェルの腕からはセイレーンの血がドクドクと垂れてくる
「おい、ベヒモス…。こいつの両腕を削ぎ落とせ、絶対に殺すな?」
「ルシフェル様、相当お怒りのようで?」
低い男性の声をした悪魔がセイレーンの両腕を斧でぶった斬る
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!……い、いだいっ」
「あまり拷問は好きじゃないんだ、早く死んでくれよセイレーン」
ニヤニヤと笑うルシフェル
ルシフェルもまた過去に受けた迫害により、人格を変えてしまった。
「次は何処を斬られたい?」
両腕と腹、もう死んでもいいはずの重症。
しかし、セイレーンはまだ、死なないようにと踏ん張っていた
ルシフェル様はこれを楽しんでおられる。私はそれの玩具にならなくては、
その思いがセイレーンを生かした
「………あー。でももういいや、首を飛ばせ、もう飽きた」
これで、全て終わり。
最後にルシフェル様の玩具になれて幸せ者だった。
もし、もし来世があるなら、今度はあの人の眷属になってみたいなぁ
セイレーンの首が飛んだ。
ーーー優理斗サイドーーー
海で姫咲さんと遊んでから一週間が経った。
学生にとっては待ちに待った夏休み。
リリスとレヴィのおかげで、時々姫咲さんが家に遊びに来る幸せもあり、最高の毎日だ。
「魔王様、おはようございます。朝食の用意は出来ております」
朝はリリスが起こしに来てくれる。
「おはよ、リリス。毎日ありがとな!」
「いえ、これも眷属としての役目ですから!」
ニッコリと笑うリリスの笑顔。その笑顔が可愛いと感じる
リリスと一緒にリビングに向かう
「あ、氷上君!お邪魔してます」
「ひ、姫咲さぁん!?」
驚き過ぎて声が裏返る
「うふふ、変なの。レヴィちゃんと遊ぼうと思って来ちゃった」
「ナツキ、早くご飯食べてよ!」
レヴィもだいぶ仲良くなったみたいで、今まで見たこともない笑顔をする様になった。