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悪魔リリスの復讐譚  作者: 猫みかん
第一章-海の悪魔
14/22

セイレーン





「兄さ〜ん!菜月さんが見当たらないの…何処にも居なかった」




姫咲さんを探しに行ってくれていた遥が帰ってきた。




人の多いこの場所で姫咲さんを探し出すのは難しいだろう。




「レヴィも何処か行ってしまったし…はぁ、どうすんだよ」




「すみません魔王様。私が責任を持って菜月さんとレヴィを探してきます」




「リリスが責任を負う必要はねぇよ。みんなで行こう。その方がいい。10分後にまたここに集合しよう」







三人で手分けして探そうとした、その時だった。






けたたましい音が海全体に鳴り響く。





『只今、遊泳エリア内に鮫の群れを確認致しました。直ちに遊泳を止め、陸に上がってください。繰り返しますーーー』







「嘘だろ!?鮫の群れってなんだよ!」




「兄さん早く探さないと!やばいよ!」




「いや、流石に泳いではないだろうけど……」




とても人を探せる状況ではない。皆、海から浜へと走り、人でごった返している。




そもそも、こんな所に鮫の群れが来る事なんてあるのだろうか?










「おい、あそこ誰かまだ海にいるぞ!」





皆が避難した。そう思っていた時、一人の男性が指を指し、言う









海の奥の方、確かに一人いた。バナナボートに乗っている




辺りにいた人々がざわつき始める。








「ま、魔王様、大変です!!」




「な、なんだよリリス…急にどうした!?」







「あの取り残されてる人、菜月さんです…」






「嘘だろ、なんで戻ってこないんだよ!」




「もしかして警報が聞こえてなかったのかも…どうするの?兄さん!」





ライフセーバーが助けに行ってくれるだろうが、そんな時間はなさそうだ。




「わ、私が飛んで行けば助けられます!」




「ダメだ!それだけはダメだ…そんな事をしたらまた迫害されるだけだぞ」




「しかし、菜月さんが…。それに、私は大丈夫です…迫害されても、何されても…魔王様さえ居てくれれば、私はそれだけで大丈夫です」




「いや!ダメだ。リリスが良くても俺が許さん。もう二度とリリスとレヴィに辛い思いはして欲しくない…。俺が泳いで行く!」




「そんな!ダメだよ兄さん!」


「それでは魔王様が危険です!」




二人して一斉に反対される。





それでも、海へ歩く足は止めなかった





「君!どこに行くんだ!危ないから下がってなさい!」




しかし、俺の足はライフセーバーの人に止められる




「どけぇ!俺の大事な人なんだ!俺が助けるんだ!」



怒鳴り声を上げ、必死に藻掻く




数名のライフセーバーに捕まり、何も出来なかった





「魔王様…。もう、私が行くしか」









ーー姫咲サイドーー





「はぁ…私ダメだなー。レヴィちゃんと仲良くなりたいのに…」




必死に作ったお弁当を投げ捨てられ、ショックだった。




その上、逃げちゃうなんて、私らしくないよね





氷上君にも、リリスちゃんにも気分悪くさせちゃったかな…後で謝らないと





「バナナボート、楽しいなー。みんなで乗ったらもっと楽しいんだろうな…。………あれ?」





なんだろう、この雰囲気。嫌な感じがする。






辺りに誰もいない。いつの間にか私、結構遠くまで来ちゃってたみたい




「も、戻らないと」





しかし、オールがなかった。





「な、なんで!?オールが…折れてる…」






何かいる!?私の下に何か…それも沢山





その何かにオールを折られた!?




「ど、どうしよ、戻れないよ…怖いよ……誰か…助けてぇ……!!」






その時、遠くから声が聞こえた








「どけぇ!俺の大事な人なんだ!俺が助けるんだ!」






「氷上君!?…大事な人って……と、友達として、だよね…私なんかが…ね。でも、そんな事したら氷上君が危ない…」




助けてほしい……けど、そんな事したら氷上君が危ない。たぶん、ライフセーバーの人が来てくれる。




「フフフフ……安心して、あんたは囮よ、あの男を殺るための」






「誰!?誰かいるの!?」





「居るだろうねぇ。この状況を作り出したのは私なんだから。私はセイレーン、聞いたことくらいあるよね?人間ちゃん」




「セイレーン…確か船乗り達を襲うっていう」




「せいかーい!けど、今回は違うよ。私の声は生物を自在に操れる…その力で、今あなたの下には数十匹のサメが遊泳してるわ」




「そんな……なんでそんな酷いことするの!?」





「え?そこ?普通セイレーンとかが居ることに疑問持たない?」




「私、大体わかってるもん!リリスちゃんもレヴィちゃんも…氷上君だって……人間じゃないんだよね?会話聞いてたら大体わかるよ」





「そ、そうなんだ…へ、へぇー。まぁいいや、とにかくここでじっとしててね?そしたら生かしてあげるから」









ーー氷上サイドーー






「リリスちゃん、ダメだよ。兄さんがダメだって言ったでしょ?」





「しかしハルカ様!それでは菜月さんが」





「大丈夫、ほら、今ライフセーバーの人達が動き出した。もう大丈夫だよ」









「離せぇ!俺が助けるんだ…」




姫咲さんを助けたい。その気持ちでいっぱいだった






もうライフセーバーの人が動いてるのはわかってる。けど、何か嫌な予感がする






その予感は的中した。





ライフセーバーの乗った船が沈んでいく







「そんな……どうして!?」





「誰かいるのかも知れません…ルシフェルの差し出した悪魔が」






「くそっ!なんなんだよ!」





船が沈んでいく。俺は何も出来ない






絶望的だった。もう打つ手がない。














「俺が俺がって……うるさいよ。何も出来ない癖に…。邪魔だから引っ込んでて」






「ちょっと!危ないから海に近づかないで!」





「うるさい黙って!ボクに指図するな!人間!…海でボクに逆らう事はできないよ!」












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