条約違反
ーーー黒船艦内ーーー
手枷を付けられて艦内を連れられるリリスとレヴィ。
その前には多数の女性が同じように手枷を付けられて歩かされていた。
リリス達の後ろには三人の海賊。
「お姉様、ボク達何されるの?」
「わからない…。けど、今はルシフェル様が来てくれるのを待つしか…。私達では何故か太刀打ちできない……あいつら人間じゃないの?」
ルシフェル様に頼ってしまう。これから眷属になろう者が主の手を煩わせるなど言語道断
そしてリリス達が連れられたのはキッチンだった。
何を言っているか理解はできなかったが、どうやら料理を作れと言っている様だった。
数多くの女性を連れてきたのはこれが理由なのだろうか。
そこに一人、他の海賊とは違う男性が現れる。
「いやいや、急な襲撃をしてすみません。私は黒船海賊団船長のクロウと申します。もちろん本名じゃありませんよ?」
彼の言葉は理解できた。やっと話の通じる人が現れた
「ボク達をどうする気なの!?ボク達が何をしたって言うの!?」
「これはこれは、威勢のいい子供まで捕らえてきたのかな?まぁいい。子供でも使える者は使うまでさ。とりあえず暴れそうだから捕らえてて」
クロウはレヴィを子供のように、まるで相手にしなかった。
「それでは本題に入ろうか、君たちがこの黒船艦内に連れられてきた理由は二つ。一つはここ、キッチンで我々約5000人を超える野郎共の飯を作り続ける事。………そしてもう一つは」
「いい加減にして!私達がそんな事するわけーーー」
クロウに対して反論をするリリス
そのリリスを引っ張り上げるクロウ
そして
「うるさい女だなぁ。まぁいい、お前が見せしめになれ。もう一つの理由はこれだ」
そう言ってクロウはリリスの胸を触った
「ちょっ…やめっ」
「もう一つの理由はこの飢えた野郎共の奴隷になる事。死ぬまで、いや、死なせはさせねぇが、永遠と奴隷人生を送ってもらう!!」
「抵抗するリリス。しかし、何故か力で負けていた」
「ほう、お前…人間ではないな?その力……悪魔か!?」
ーーー!?
何故バレた!?
力の強さでわかった!?
いや、クロウ自体そもそも人間ではないのかもしれない
「くくくっ、まさか悪魔が紛れ込んでいたとはなぁ……いいだろう楽しくなってきた」
「お姉様ぁ!!このぉ、離せぇ!ボクのお姉様に触るなぁぁぁぁ!!」
レヴィは手枷を無理やり壊し、レヴィを捕らえていた海賊を殴り飛ばして、クロウに向かって走り込む
「お前も悪魔か……。残念だが、私には勝てんよ」
レヴィの渾身のストレートは謎の結界の前に弾かれる
「うわぁぁぁぁ!!い、痛い…なに、これ」
「どうやらお前達は悪魔でもまだまだガキか?手枷は壊せても力では人間である海賊に負けている。そんな程度では私に傷一つ付けられるわけないだろう」
「この二人は私が貰っていく。後の女は適当に料理担当を決め、後はお前らの好きにしろ!クハハハハ」
高らかに笑うクロウ
彼は一体何者なのか。私を一瞬で悪魔だと見破った。
それに、レヴィに放ったのは結界の様に見えた。
早くここから逃げ出さないと。
しかし手段がない。私とレヴィだけじゃクロウに勝てない
ーーー船長室ーーー
一際大きな部屋に連れてこられた。
私とレヴィは首に枷を付けられた。
「まぁまぁ、そう睨まないでくれよ。少し落ち着こう」
「許さない…。私の身体を触ったお前を私は許さない!」
「まだ触っただけじゃないか、それだけで怒っていたらこの先どうなる?」
しかし、何故手枷はしないのか。
首に枷をされたが、手は自由だった。
「ねぇ、ボク達をバカにしてるの?こんな枷、直ぐに壊してーーー」
「やめとけ…」
「う"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!」
「枷を外そうとすれば高電圧が流れる。人間だったら即死だろうが、お前達は悪魔だからな…死にはしないと思ってな」
「レヴィ!?大丈夫!?」
「……くそぉ、お姉様…」
「子供の身体に興味はない。…娘、お前が私の奴隷だ…」
「次、私に触れてみろ!ぶち殺してやる!主様以外に触られるなど屈辱でしかない!」
「私を殺せるものなら、殺してみろ…私には勝てない」
そう言いながらリリスに近寄る
「お姉様に近づくな!」
リリスに近づくクロウの腕に噛み付くレヴィ
「…っ……このガキィ!よくも私に傷を…いいだろう…お前の身体には興味ないが、お前から味合わせてやる」
傷を付けられたクロウは怒りだし、レヴィの服を破く
「いやっ!やめて!」
抵抗するレヴィに力でねじ伏せる
「ふふふっ…誰がやめるかぁ!悪魔如きが私に傷つけた!これは罰だ」
クロウに襲われるレヴィを助ける事ができなかった。悔しい…こんな屑に私は…
「俺の可愛い可愛い眷属ちゃんに……テメェ、何してんだ?」
その時だった。
「……!?。誰だ!?何処から湧いてきた!」
声に驚くクロウ
「普通に艦内突破だ。たかだか人間の屑共を連れただけでいい気になってる退魔師がよぉ…。ふざけやがって!条約など知った事か!テメェは死刑確定だクソ野郎!」
怒り狂うルシフェルが、間一髪の所で現れた
「ルシフェル様ぁ!」
「ルシフェル!?へへへ、大物じゃねぇか!退魔師としてやり甲斐がある…お前を殺して私は神になる!」
「……殺れるものならなぁ!俺はそこらの悪魔とひと味もふた味も違うぞ?」
「知るか!私は退魔師だ!どんな悪魔だって消してみせる!」
「海賊やってたんだ…退魔師の落ちこぼれだろうがよぉ!」
ルシフェルは鋭く尖った右手をクロウに向けて突き出した
しかし、レヴィにやったようにクロウは結界を貼った
ルシフェルの手が弾かれる
「無駄だぁ!この結界の前に悪魔は何も出来まい!」
「………ふぅ、俺がサタンの弟でよかったよ。この右手、お前にくれてやる!」
ルシフェルはもう一度結界に向けて右手を突き出す
結界と衝突し、轟音と共にルシフェルの右腕が焼かれてだんだんと消滅していく
「ハハハッ!死ね死ね死ねぇ!」
「……っく、なんて力…退魔師の落ちこぼれではないのか!?」
ルシフェルでさえクロウになす術もなくやられていく
「……はぁはぁ…。よくも…よくも私とレヴィに恥をかかせ、挙句にルシフェル様に向かって無礼な行為……私を舐めるな…私だって悪魔だ…」
「リリス……やめろ…お前じゃ勝てん」
立ち上がるリリスを必死に止めるルシフェル
ルシフェルに限界が近づく
その時だった。
リリスとレヴィがクロウに噛み付いた。
「……痛っ!?離せぇ!」
噛み付いたまま離れない
クロウの気が一瞬リリスとレヴィに向いた
「今だ!よくやったリリス!レヴィ!さぁ、闇に屠ってやる退魔師!」
消滅した右手と反対の手、左手に黒い球体を作り出す。
その球体はルシフェルの意思で、黒き禍々しい剣へと変化していく
「や、やめっ!悪かった!私が悪かった!許してくれぇ!」
「地獄で許してやるよ」
退魔師クロウの首と体が離れていく
そして、その場に倒れ込む三人
少しの間、気を失った。
その時、部屋の中に白い空間が生まれる
そこから現れた一人の女性
「うふふ…やってしまったのね…人間を。これは条約違反…。ねぇ、神様…いいよね?魔界に攻めても」