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97話 両手剣

 一難去ってまた一難。

 最も会いたくない相手の登場に寒気がしたのだった。


「進……。よくも可愛い私のヨールとギュウを。ブロンズ騎士団ごときで斬ったのは褒めてやろう」


「あっどうもです……」


 この状況で褒めてもらっても嬉しくありませんが。

 トカチは全身鎧を身に着け顔もフルフェイスマスクで素顔は見えないのは変わりはなかった。

 このまま戦うようだが、両手には剣を持つ。


「鈴気をつけて両手剣よ」


「両手剣か。両方防がないと斬られるよな」


「片側だけ見ていてはダメね。両方見れる自信はあるの?」


「初めてだから何ともいえん……」


「……よし、頑張れ進!!」


「おい、他人事のように言うなよな」


 チユの言ったように両方に集中しないと危険だ。


「この両手剣にかかり生き残った者はいない。二人のかたきを打つ」


 トカチはもの凄い圧迫感で迫ってきた。

 幸いにもバジリスクはまだイケそうだ。

 サーチをしてみると。


 トカチ

 冒険者レベル50


 とあり、次元の違うレベルであった。

 ハッキリ言って見ないほうが良かったと思えるほどの差がある。


「我が両手剣を受けよ!」


「……」


 防御!!

 初めて受け止められたぞ。

 今までは必ず死んでいたのに。

 見切ったのか?


「なんだコレは……。この剣技。お前は何者だ? ヨールとギュウが斬られたのも納得する。そして手にした剣は……。見たこともない剣だが」


「願わくばこのひと斬りで死んで欲しかった」


 トカチはバジリスクを弾くと両手剣を振り切ってくる。

 恐ろしい程に速く、バジリスクで受けるのがやっとだ。

 受けても受けても次々と剣が現れる。

 俺が攻撃する間もない。

 

「防御しか出来ぬか、いや防御出来ただけ褒めてやる。それにしてもなぜ防御出来るのか」


「……」


 トカチが不思議に思ったのは俺も同じだった。

 たぶんバジリスクの能力だろうけど、攻撃だけでなく防御にも優れているようだ。

 ただし防御出来るとはいえ、これでは攻撃に移れない。

 そこでバジリスクを防御しつつ振り切った。


「なに!!!」


 トカチの両手剣は吹き飛んでしまい、地に落ちる。

 すると元の砂に変わってしまった。


「これで最後だっ!」


 俺は剣のないトカチに向かってバジリスクを上から振り下ろす。

 感触はあった。

 すると鎧は真っ二つに割れて地に転がった。

 そして顔にあるフルフェイスのマスクも真っ二つに切れて中から素顔が現れた。


「…………」


 その素顔は俺とチユ、周りの団員たちの前に晒された時に、がく然とした。

 誰も何も言えない。

 異様な雰囲気をトカチから感じざるを得ない。

 悪党ヅラしてるだろうと思っていたのに、現われたのはなんと女の子だった。

 それも魅惑的な可愛らしい顔をしてる。

 

「よくも……私の素顔を……」


「あんた女の子だったのかよ。しかも可愛いぞ。なぜ隠すようにしていたんだ?」


 こんなに可愛らしい顔なら隠す必要ないし、もったいない気がする。

 

「隠す必要性があったからよ。進にはわからないだろうけどな。色々とあるんだよ」


「可愛いから相手に甜められるとか?」


「そんな訳なかろう。本気で言ってるならもう一度戦うぞ」


「……それは」


「まだ気付かぬか。私から何か感じないか?」


 トカチから何かを?

 見た目は鎧を脱いで際どい巨乳がこぼれそうな服を着ているが、それ以外には特に気になる箇所はないのだが。

 すると周りの団員のひとりがひと言呟いた。


「この気は、ま、ま、魔族! 魔族の女だ!」


「えっ……魔族ですか」


「ふふふ、やっと気づいたか。私の正体は、その通り魔族。人と魔物の両方を持つゆえ、人には恐れられる存在。魔族の気が出てしまうので気を抑えるミスリル製の鎧を着ていたのだ。バレてしまったからには隠すことはなくなった」


「魔族てあの有名な魔王とか関係してんのかな」


 恐れられる存在。

 危険な種族なのはゲームでも有名だが、やはり同じだったようだ。


「魔王のことが知りたいのか、誰が教えてやるか。土下座してもお前には教えてやらない」


「魔族だったとは……」


「トカチ様が魔族だったなんて……」


 あちこちから溢れるセリフ。

 今まで信じてきた自分の団長が人族ではなく魔族だったけどことに相当なショックを受けていた。

 中には逃げ出す者も現れる始末に。

 

「ふん、逃げたくば逃げるが良い。もっと恐ろしい物を見せてやろう!」


 トカチの魔力量が増大するのがわかった。

 地割れするのではと錯覚する感覚に危険を感じた。


「やめろ。大人しくしてろトカチ!」


「魔族の私に命令するなんて1000年早いわ。裏切り逃げ出す奴には死の制裁を差し出してやろう」


「トカチが裏切る団員達を殺す気だ」

 ヤバイな、なんてったってバジリスクは消えてしまっていた。

 こんな時に魔力切れかよ! 

 

「魔力が信じられない上がり方してる。強さはレベルだけではなく魔力量に影響されるから。進……どうすんの?」


 実際俺の冒険者レベルなど低レベルだから。

 魔力量が大きければ大きい程、パラメータ能力も増大すると思っていい。

 でもトカチの魔力量は底がしれないぞ。

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