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87話 

 決闘の発言はトカチにとっても意外だつたようだ。

 能力を計る方法はいくつかあるとは思うが、部下と対戦させる、トカチ自ら戦う、チユと戦わせるなど。

 最初に俺が言い出したのは、万が一部下が強力な使い手であった場合に下手したら殺されてしまう可能性があるからだ。

 先に俺が対戦すると切り出した。

 トカチも実のところ俺が何者なのかも知らないし、とある町の冒険者である。

 ブロンズ騎士団はつけているが、盗賊団のレベルからするとブロンズクラスの奴らはゴロゴロいるに違いない。

 俺とシュナリの能力を一度に計れるので話に乗ってくると思い言ってみたのだ。

 はたして何て言ってくるかだが。


「進とシュナリを戦わせるか。チユを捕らえてきた者の力も見てみたかったところだ。面白い戦いが見れるかやってみろ」


「はい。戦わせてもらいます」


 俺は頭を下げてお礼をした。

 シュナリをチラ見してみたら、困惑しているようでもあるが、すぐに俺の考えが伝わってくれたのかキリリと気を引き締めた顔に。

 どうやら理解してくれたようだ。

 手加減は通用しない戦いを。

 俺が大広間の中央の辺りにまで行く。

 

「よろしくお願いします」


 シュナリも同じく中央に。

 トカチの部下どもは周りには、戦いの邪魔にならないよう散っていった。

 さすがにトカチの言うことに反対する部下はいない。

 俺とシュナリが互いに見合う形に。

 まさかシュナリと戦う日が来るとは思ってもみなかった。

 迷宮での戦う姿が目の前のシュナリと重なる。

 

「では、戦うがいい。止めろと言うまで」


 トカチが戦いの始まりを宣言した。

 止めろと言うまでか。

 そこまでは戦いを続けなければならない。

 砂丸から剣を呼び出すことに。

 問題はどの剣を使うかだけど、直近だと大地の剣になる。

 だがこの剣は経験から言って対シュナリには向いてない。

 なにせ素早さが特徴の相手にはきっとカスリもしないし、振り回して終わるだろう。

 俺としてはある程度善戦して最終的にシュナリに勝ってもらい、トカチにシュナリの能力を認められたらベスト。

 もちろん俺が勝っても判断するのはトカチの裁量だから、どこが最低ラインかはわからないが。

 ただ拮抗した見応えのある戦闘じゃないとダメ出しされるのがオチだ。

 それに俺自身のレベルも上がっているのも知りたい。

 あらかじめ見合う前にサーチをしておいたのだった。

 俺のレベルは8から9に上がっていて、魔書で確認すると9に該当する剣は存在した。

 

 

 エアロード

 冒険者レベル9

 魔力量 300

 スキル 真空波


 真っ先にスキル欄に目が行った。

 新しいスキルは真空波とあり、名称からして剣から波動が生じ相手に当たるとダメージを与えるものと予想する。

 誰にもわからない様に砂丸に、読み込ませておく。

 そしてシュナリと見合ったのだった。

 まだ使用したことの無い剣を使うのは、リスクもあるが興味深い点が上回っていて、エアロードを呼び出してあった。

 対するシュナリはというと、以前見た短剣。

 ダンシングダガーを持ち込んだ。

 これには麻痺の効果があるので気をつけなければ痺れてしまい、そこで終わってしまう。

 しかし俺は本当にシュナリと戦えるのか。

 気持ちの整理は出来てんのかと悩んだ。

 きっとシュナリも同じ気持ちだろう。

 

「始めっ!」


 トカチの部下が掛け声をいうと同時にシュナリは距離をとっていたにも関わらず剣の届く距離まで来ていた。

 気持ちの整理を決めきれていなかった俺は一瞬出遅れた。

 新着の剣、エアロードで受け止めた。

 どうやらシュナリの心配など必要なかった。

 受け止めた時に初めてわかる事もある。

 やはり剣の重みは軽くて、これはシュナリが力がないのにも影響するが押し切られるような重圧感はない。

 剣の圧で逆に俺が押していく。

 力では勝てないとみたのか、さっと後方に身を引いた。

 その一連の動作の身のこなしを見た観衆は、黙ってまま見ていた。

 もちろん、トカチ盗賊団には俺とシュナリよりも能力が高い者が数多くいるだろうが、それでもシュナリの年齢と比較したら、一目置く潜在能力を持ってると感じたのかもしれない。

 我が軍に欲しいと思ってくれれば俺としてはオーケーなのだ。

 その後もシュナリと剣を合わせた。

 素早さは上がってるのではと思うほどに早く感じた。

 何度かかすり傷を負ってしまったのは、致したなかった。

 対して俺の剣は何度も空を切った。

 剣を縦に横に振るっては当たらずに、素振りとなり俺の剣技のレベルが伝わってしまった。

 冒険者レベルが俺の方が上なのでいく分有利なだけで、剣技ではシュナリが上をいっているのは明確である。

 周りの観衆の強者なら説明するまでもなくわかる。

 一回もダメージを与えるチャンスがないのでエアロードの強さを測るチャンスもない、シュナリの優勢といった形だ。

 観衆達もシュナリが優勢と見ているだろうし、トカチも同じとみて間違いない。

 短剣は短いが振りが速い分連続的に攻撃のように感じた。

 俺のひと振りに対して二回攻撃してきた。

 一度目は防御も対応する。

 しかし二度もすかさず攻撃されると防御も完全にはできなかった。

 傷を負ったが、かろうじて後方に逃げたので傷は浅い。

 時間とともにシュナリが押し込んできたな。

 なんとなくは予想していたが、このままでは俺の負けは確定的。

 まぁそこでトカチがストップをかけてくれるのがベストなのだが。

 シュナリは表情は変えずに戦いに集中していた。

 俺と違いまだ無傷のままだ。

 本気を出していないのかもと思ってしまった。

 俺を大事に思い手加減してくれている可能性もあり得る。

 こっちは完全に本気モードですけど。

 魔物も俺と同じように感じてたのと考えるとなんだか自分が魔物になった気分に。

 狩られるって嫌なものです。

 俺も主人として一方的にやられて終わりじゃ情けないという事で反撃の機会を伺う。

 ちらりとチユを覗くと俺とシュナリが戦う理由はないのにと悲しそうな顔が印象的だった。

 今にも泣きそうでいて、トカチに殺されるのを待つしかないといった面持ち。

 そんなチユをひとりにして、帰れるわけない。

 必ず救ってやるから。

 チユの気持ちを考えてもう一度だけ剣を構えた。

 俺の負けは決定的。

 ならば最後の一撃をと。

 エアロードを振り抜いた。

 シュナリは相変わらず余裕がある風に後方に避けてしまった。

 だが今回は違ったのは、剣は振り抜いた結果は同じ当たらなかった。

 ここまでは一緒であるが、剣先から衝撃波のような物が放たれたのだ。

 

「!!!」


 さすがのシュナリもこれには予想外だったらしく後手に回っていて、驚きの声を。


「これがスキルか」


 発動した後にわかった。

 真空波のスキルが初めて披露された。

 自分でもすっかり忘れていたので、シュナリよりも俺の方が驚いていた。

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