73話 大広間の泉が
目指す目的が決まり急いだ。
もちろん3階では、たっぷりとお尻を触らせてもらいました。
そして5階に到着した。
「ハァハァ……」
3人とも息がきれている。
急いで来たのだから、こうなる。
問題の大広間に来る。
誰も居ないし、目の前は巨大な泉が待っていた。
振り返ると壁画があるはず……。
えっと、あれれっ!
「ご主人様、見てください!あったはずの泉が、水が」
シュナリが慌てる様子で泉まで走って行く。
「危ないぞっ」
「水がありませんよ!」
「……」
俺は信じられない物を見た。
シュナリの言うように、あれだけあった水が無くなっているのだから。
「水は消えてしまったな。しかもこれは通り道まであるぞい」
チユも驚いている。
そして道があると言った。
「道だ! 水がある時は見えなかったけども、実は道があった」
「3メートルくらい下にあります。これなら歩いて向こう側に渡れそう」
シュナリはポッカリと穴が開いているのを覗き言った。
階段があって下に降りれる。
「水があった時は見えなかったんだ。俺たちの謎解きは間違ってなかったってことだな」
「進がエビのシマ模様の数に気付いたのが大きいな」
「チユだって5階に行けばと教えてくれたし、シュナリにはダイヤルの件もあるし、みんなの協力があって生まれた道だよ」
「渡ってみましょうか」
「水が突然戻って来ないかな」
チユが道に降りる前に踏み止まって言う。
それはあり得ない話ではない。
「時間制限的なものかな。だったら早く渡ってしまおう」
「じゃあ降りますよ。チユも早く来ないと置いてくわよっ」
「置いてくぞっ」
「ち、ちょっと、待ってよ〜」
道幅は広くはない。人ひとりが通る幅であり、気をつけないと落っこち手しまう。 落ちたらどうなるか。
「落ちたらどうなるかな」
「底はさらに数メートルはありますので死ぬことは無くても上がって来れなくなります」
「それって死ぬって言うのだけど」
「あわわ!!」
「大丈夫かチユ。足もとが揺らいでるけど」
「落ちそう〜〜」
チユが危なげな感じで渡りきった。
反対側に到着。
待望の扉が待っていた。
ここが最深部の部屋だろうことは、見た目にもわかる。
扉は大きく幻想的な造りでできていて、冒険者がここまで来る目的地。
「ボスの部屋だよな」
「ここが……」
シュナリは初めてのボス部屋に引き締まった顔に。
「進よ勝てる見込みは?」
「魔剣を使うさ」
「魔剣を? それは見てみたいもんだな」
チユには初披露となるのだったな。
砂丸にバジリスクを読み込ませた。
もちろん、バジリスクを使用します。
そのために、ここまで温存してきましたので。
どんなボスなのかが気になるのは、前回はアシナガクモであって、一撃で倒せたのが今回も通用するのかという点である。
確証はない。
でもそれしか対策はないです。
入ってみればハッキリするだろう。
「ご主人様、ちょっとお待ちをっ」
「どうした?」
扉を開けようとした際にシュナリが止めてきた。
怖いのか?
「中から声が聞こえました。それも悲鳴に近い声が」
「悲鳴?」
誰か居るのだろうか。
そんなはずはない。
俺たちが最初に謎を解明したんだから。
「はい。確実に悲鳴が。それも複数人の物でした」
「私も聞こえたな。きっと先にボス戦をしているのだろうな」
チユにも聞こえたのなら間違いない。
「つまり、先を越されたってことか?」
「そのようですね。残念です」
「待つか。それとも入るかだな?」
「入ってもいいのか」
他に冒険者らが入ってる最中に入れるものなのか。
「扉が開けば入れるな。恐らくは私達の後をつけてきて、スキを見てボス部屋に入った可能性もある。たまたま何も知らずに水が無くなっていた可能性だってあるが、本人達にきいてみるのが早いかな」
冒険者が中に居る。
知らない冒険者だろう。
とにかく、バジリスクの準備だけはしておこう。
「バジリスク!」
大地の刃よりも遥かに軽い。
「これが魔剣か。見るからに怪しいな」
「入るぞ。シュナリとチユは危ないから遠目に待機していてくれ」
「そうします」
「そうさせてもらう」
扉に手をかけると簡単に開いた。
俺に続いてシュナリとチユもボス部屋に。
見た瞬間に絶句しました。
「なんだこれは?」
「ひどい……」
そこには多くの冒険者が倒れて死んでいるようだった。




