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72話 四階のエビ

 4階に到着後に即座にエビの調査を開始、結果は直ぐに出た。


「5本ありました。これで結果が揃ったのでしょうか」


「揃ったよな。5階には魔物はいなかったはずだから謎を解く鍵は揃った」


 魔物にはいっさい遭遇しなかった。

 フロアーを抜けると大広間に出たのだから。

 とすると、結果は出揃った?


「後は、この数を5階の水溜りで叩くとか?」


「うん、それはいいかもな」


「ありえへん。そんなのはない」


「なら、他にあるの?」


 シュナリがきき返す。


「う〜〜〜ん。ない」


「なっ! 無いなら偉そうに言うなっ」


「偉そうに言ってないっ」


「言ったっ!」


「おいおい……」


 あきれて、謎の解読に集中できません。


「もう怒ったわよっ。こうしてやるっ!」


「きゃあっ!!」


「な、何してるっ?」


 チユはシュナリの肩を捕まえて、クルクルと回し始めた。

 シュナリは不意をつかれたのか、その場で回り出していき、悲鳴を上げている。

 まるで遊んでいるようにしか見えませんが。

 

「どうだっ。まいったかっ。まいったと言えば止めてやるぅ〜」


「うーーうーー。ご主人様、助けてーー」


「早く言うのだ〜〜」


「まいっ………あっ……回す……」


 シュナリが止めてと言いかけて、途中で何かを言いかけたようだけど。

 回す…とか言ってたな。


「ちょっとチユ、回すのを止めてくれっ」


「止めるの?」


 止めてと言うとシュナリを回すのを止めた。

 シュナリは体をクルクル回されて、目がクルクル回っている。

 大丈夫かな。

 こりゃ平然とはしてられない。


「今さ、言いかけたことがあっただろ。気が付いたのか、数の謎に?」


「そ、さ、さ、そ……」


「ゆっくりでいいからな」


 完全に目が回り、言葉にならない言葉を話しだす。

 ダメかな、少し時間を置くことに。

 ひと休憩してから、シュナリに話してもらう。


「数の謎に解りかけたんです。体を回されてる時になんてすけど、回されている、回されてる、と思っていたらそう言えばフロアーにはダイヤルのような物がありましたよね。ダイヤルは回せましてから、もしかしてエビの数が関係してると……単純に思っただけですけど……」


「いや、それは面白いよ。試してみる価値はありそうだぜ」


 確かにダイヤルのことを忘れていたのは事実で、回せる構造になっていた。

 数の分だけ回して数字を合わせたら変化が起きる仕掛けかもしれない。

 そうとわかれば、直ちに実行したい。


「まずは、この4階のダイヤルから行ってみよう」


「シュナリは歩けなさそうですが?」


「あんたが回し過ぎたんでしょーー!」


 シュナリは何とか歩けたのでダイヤルまでマップを見ながら行き着いた。

 

「よし回してみよう」


「では私が。5本だから5に合わせてみます」


 シュナリがダイヤルを回していき5のメモリに合わせた。

 その後は特別変ったことは無いようです。


「何もおこらん」


 チユは考え込むようにした。


「そうですね」


「全部の階のダイヤルを合わせてから考えてみよう」


 変化は無かったけど確実に解明に近づいている気がする。


「次は3階に行きましょうか」


 来た道を戻る形で3階に着くと、ダイヤルへと。


「えっと3階は2本なので2に」


 シュナリが2に合わせた。

 またも変化は無かった。

 同じようにして2階へ。


「2階は4本なので4にしますよ」


 そして1階まで来た。

 1階の数字は3である。

 これが最期の数字。

 果たして、吉と出るか。


「じゃあ回します」


 シュナリが深呼吸してから、回して3に合わせた。

 最期のダイヤルなのに何も変化はなし。

 

「変化ないね」


「無駄な努力だったのか」


 そうは思いたくない。

 けど現実には無駄な努力になった。

 人は良い方に考えをしたいと思うもの。

 このケースでもダイヤルとエビの数を無理矢理結びつけて、解明した気でいたのだろう。

 考えが甘かったといえば甘かった。

 そんなに迷宮は甘くないってか。

 期待してただけにガックリとしてしまう。


「まだ諦める必要ない」


「ダメだろ」


「進よ、諦めるのが早すぎるのが欠点だ」


 チユは俺の欠点を指摘してきた。

 諦めが早いか、言えてるな。

 いつでもそうだった。

 でも今回くらい諦めずにいてみたい。

 なぜか、そう思った。


「教えてくれチユ。他にあるのか、いい考えがさ」


「5階に行ってみる。大広間にある壁画に描いてあったのだから、行くしかない」


「そうね、チユの言うとおり5階の大広間の壁画まで行くのは無駄ではないですね」


「わかった。5階に行ってみよう。そこでハッキリするっ」


 1階まで来てもう一度下の階を見ざすことに。

 目指すは最深部。

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