69話
気を取り直して2階のエビの数は4本であった。
「進の思った通り、エビのシマ模様の数は違っていた。鋭い感してるのかも」
「チユは鈍感だけどね。1階は3本、2階は4本でした」
「3階も違えば、謎の解明に近づいているともいえる。3階も引き続きシマ模様の数を収集したい」
「1つ確かめたいことがあります」
シュナリが疑問に思ったようだ。
「なんだい?」
「この先の3階と4階でも数を確認したとします。そうすると、4つの数が何を意味してるのかという、新しい問題になると思ったのですが?」
「数を確認したたけでは、意味ないということだな。それと5階の水溜りの扉が繋がらない限り、迷宮をさ迷うだけだもんな」
それは俺も感じていたことであり数を集めればどうにかなると。
浅はかだったかな。
「ガッカリするのはよくない。エビの数が突破口になるやもしれん。ここで止めたらそれこそ意味ない」
チユが不安な気持ちを消えてくれるようにしむけた。
「それもそうですね。数を全て数えてからでもガッカリするのは遅くありません。まずは、数えてから考えましょう。チユもたまには、良いこと言うわね」
「そうですともっ」
「その調子で探索をしよう」
3階に来てからもスノーシュリンプの調査を第一に考えて探索した。
スノーシュリンプと遭遇するのを期待してフロアーを歩き続ける。
魔物を期待するというのも変な気がするのだが結果は2本であった。
これで3階の調査は良しとしよう。
次は4階だがここで俺は思った。
アレが待っている。
この階には、アレがありマップを確認しつつその場所へ到着した。
来てしまった。
アレです。
「ご主人様、4階に行くにはここを通らないと行けません。またお願いします」
シュナリが足を止めると、俺の方へ振り向く。
覚悟したかのように言った。
「私も可能な限り協力します」
続いてチユの目にも覚悟が浮かんでるのがわかった。
「よしっ。やろうっ! じゃあシュナリ、チユはレバーを持ってくれっ」
支持をすると左右に別れてレバーを持った。
ここからが重要だ。
「よしっ。2人とも俺にお尻を向けるんだっ」
言っていて、恥ずかしくならないわけがない。
しかしここは、恥ずかしがってる場合ではない。
「向けました」
「向けたぞ」
お尻がクイッと上に突きつけられた形で俺の方に向けられる。
準備は整った。
後は、成功を祈るのみ。
「では、押すぞっ!」
「はいっ」
「はい」
手の平をお尻にピッタリと当てて、両腕を左右に押す。
むにゅっとした感触が手の平を伝わり、頭を貫通した。
「さぁ押してるぞっ」
「押してもっと」
「そんなんじゃダメ」
「これならどうだぅ」
腕に力を込めてお尻を押した。
お尻が手の平で押されて形が変わっていった。
「動いたかっ」
「まだご主人様、もっと強く押して……」
なんてことを言うのだシュナリ。
「まだまだ食い込むくらいじゃなきゃダメ」
チユも自分で何を言ってるのかわかってるのか。
今回はケンカはないようだ。
前回はシュナリがチユに触られるな的な事を言い出して大変な目にあった。
そんな状況ではないと、理解してくれたと感謝する。
「最大限のフルパワーを使うぞっ」
「やりましたっ」
「やった〜」
「レバーが動いたようだな。これで扉が開くのだったな」
扉が開くと階段が現れた。
「次は4階だ。急ごうっ」
「はいご主人様」
「どうしたよ」
「ききづらいことなんですが、どうしてもききたいことがあります」
シュナリは扉が開いても向かわずに言ってきた。
何だろうか。
とても重要な事案としか思えないよな、このケースでは。
「言ってみな」
「はい。私のお尻を押しましたよね」
「押したけど、それしか方法は無かったんだ」
「それはわかってます。そうではなくてチユのも押しましたよね」
「押したぞ」
「ききますけど……どちらのお尻が感触が良かったのかな」
「はぁ!!!」
重要な話だとばかり思っていたところに、どうでもいいような内容に思わず言ってしまう。
いや、シュナリにはどうでもいいような内容ではない。
チユの方が感触が良かったなら、ショックを受けるだろう。
そしたら今後の探索にも影響してしまう。
ハッキリ言おう。
どちらのお尻も最高でした。
これは断言できます。
だがこのケースではシュナリをたてておくのがいいような気がする。
「シュナリのお尻の方が感触がいいぞ」
「そ、そうですか。嬉しいです」
シュナリは下を向いて、恥ずかしがる。
こう言っておけば、大事には至らないからだ。
「そうかな、進は私のお尻の方を強く押してたな。シュナリの尻より良かったからだろっ」
そこでチユが余計なことを言い出して、俺の気づかいをぶち壊してしまった。
何でそんのことを言うのだお前はっ!!
しかしもう遅かった。
「あんたのお尻が良いですって! 勘違いにも程があります!」
「シュナリこそ、お尻で進を誘惑して、恥ずかしくなるわよっメス狼っ」
「おいおい……」
ケンカはないようだと思っていたのに、やはりこうなったか。
こうなったら、もう俺には止められなかった。




