68話 ネズミ違い
大地の刃を構えて対面しスノーシュリンプも俺の手前で足をとめると、にらみ合いの体勢になり、そこで重要なのがシマ模様の数であり、よく見るとシマ模様はあった。
本当にあるのだな。
シマ模様の数を確認したら、後は逃げて模いいし、一匹なので倒してもいいし余裕があるのでシュナリに数を確認してもらい、こいつは俺が倒す作戦に決める。
「数の本数を見てくれ」
「横にまわって数えますっ」
「気をつけるのだぞ」
チユがエールを送る。
「サンキュー」
シュナリは片手をかざして返事を。
「頼むぜ」
敵の注意を俺にひかせておけば、まわり込みやすく間合いを短くするため、なるべく近くにこさせると俺のことが視界に入ったようで敵はグッと俺を睨んできやがった。
よく見ると怖い目ね、エビさん。
ハサミを振ってきやがって危ないから、ステップして避けるも大地の刃が重たいのか、当たりそうになった後に地面にハサミを叩きつけた時に、シュナリが真横にまわった。
「どう?」
「三本ですっ」
「ありがとな、こいつは俺が倒しますっ!」
三本と数は判明して、もう用済みなので大地の刃ならヒットすれば確実に倒せるはずが、またも不用意にハサミを振り回してくるので、大地の刃で当ててみたら、ハサミと刃がぶつかり合い、グッと手に圧力がかかるも、負けてない。
重量感なら負けてないぞっ!
ハサミを弾き飛ばして、反動で刃は後ろの方へ持っていかれたが、その勢いで後方にのけ反ってしまうも、そこで堪えて力を溜めると刃は背中で止まり、後はここから振り上げて叩きつけてやる。
大地の刃を頭上から振り下ろすや、反撃を察知したのか両手のハサミを前に出して防御の体勢になりハサミが二枚。
斬れるか?
斬るしかないよな!
刃が炸裂したその時に張り裂けるような音がして、音ともにハサミは二枚とも吹き飛んだと同時にそのまま、大地の刃が頭に炸裂。
「斬れるな、これ」
「やりましたね」
「やっしゃ〜」
よくわからないが、強烈なのがちょっと驚いたけど。
「今のは強烈でしたが破壊力がありました」
「うん。俺にもわからん」
本当のことで特に何かした覚えはないのだけど、この剣の威力といえば威力なのかな。
「……う〜ん、それはスキルでは? 進の剣はスキル持ちでないのか」
「スキルか。そうだったな、確か、クリティカルヒットとあったぞ」
「それだ! クリティカルヒットで与えるダメージが増大したのだ」
「スキルだったか。今まで発動しなかったのは確率が低いのもあるのだろうな」
「出る割合が低いですけど、その分破壊力は相当ありそう」
シュナリも初めて見るような感じだ。
「これでエビの模様の数は、一階は三本とわかった。次は二階に行こう」
「そうですね」
「またクリティカルヒットをだすのだ〜進!」
「そう簡単に言わないの!」
「だって〜」
シュナリに言われて、反省するチユ。
一階を一気に通り抜けて二階を目指して行くと、階段に辿り着く。
なるべく魔物と遭遇しないように逃げて来ているのもあって早いペースで二階に。
「よし二階だな。一階と同じ要領でいくぞ!」
「一匹のスノーシュリンプが居ればラッキーですね」
「それが早いな」
下の階に行くほど魔物の数も増える傾向があるので、そうもいかないよな。
「他の魔物の場合もありますし」
「その場合はスルーできそうならスルーしよう」
「遠目で判断がつけば避けられます」
「そうしてくれ」
ここはシュナリの視力が役に立ちそうで、チユは視力はどうなのか、まだ知らないので確かめてみたいとは思っていたが、同じ人狼の血をひいてるのだし、悪くはないとは予想している。
「チユは視力は自信があるかい?」
「普通かな」
「普通ですか……」
シュナリが良いだけに、普通てのが、分かりにくいですけど俺よりも上ではあって欲しい。
フロアー内部は先が長いフロアーもあるので視力が良いと断然有利ですので。
「じゃあ、次の魔物はチユが判断してみてくれ?」
「ご主人様! それはどうかと」
「一回試してみたいんだ」
「それならば、仕方ないですが」
「スノーシュリンプならわかるっ」
「正確にね」
「はいっ!」
チユは任せろとシュナリと交代。
シュナリは俺のことを心配しているのだろうが、まぁ二階の魔物なら問題はないはずで、チユを先頭に向かわせる陣形にし、シュナリは最後尾にいく。
しばらく歩くとチユは魔物を見つけたようで、歩きを遅める。
「いますっ」
「マジか!」
遂に来たか!
「ネズミっ!」
「サンドネズミねっ!」
「嫌っ! ここにほら!」
「………」
チユの指差したのは俺の足元。
ちょろちょろと走り抜けて行きました。
あの〜これって……。
言葉に成らず無言になった。
「本物のネズミじゃないの……」
シュナリも見つけると怒りを通り越して、あきれている。
「だから、言ったでしょ?」
「あのね、ここはキッチンじゃないのっ!」
「すみません〜」
謝るようにして照れ笑いを作ったにしても、まったく驚かせてくれた。




