66話 チャーハン
「チユは大丈夫でしょうか。とても不安なんです。あんな感じだから、パンナオの邪魔しているのでは」
それは俺も思ってはいるが静観するのも主の役目と信じることにした。
「その可能性はあるけどね。でもチユが作りたいと言うからには否定はしたくなかったのさ。まぁパンナオは料理の腕があるからな。予想以上に。そこまで酷くはならないことを祈る」
「パンナオ頼みですね。はぁ……」
あからさまに、ガッカリとして肩を落とすと、気を落とす俺まで気にしてしまうってもんで、それよりもシュナリを着替えさせなきゃならない。
「下着の上に着るものはあるよね」
「そうでしたね、着てきます」
自分の部屋に着替えに行ったので俺もついでというか、せっかくなので着替えを見せてもらおう。
シュナリの部屋。
ブラジャーにパンツのみのスタイルも見ていて興奮しますが、着替えているところを見るのも別の楽しみがある。
服は軽い絹の服を折りたたんであったのを取るので、いったんしゃがんだ。
しゃがむと、お尻はパンツのラインがクッキリとしてコチラ向きで、とてもいい眺めで背中はくびれていて、これまた美しい曲線を描いており、見てるだけでも価値はある。
服を着てしまい肌の露出は少なくなってしまうと残念に。
「あらっ! ご主人様見ていたの……」
恥ずかしそうに髪をかき上げる。
「あ、ゴメンな。見えちゃったんだ」
大嘘。
「着替えって恥ずかしいです、なぜか」
「可愛かったよ」
「……うん」
俺の部屋ではモロに露出していたのに、着替えの方が恥ずかしとは、女の子の気持ちは複雑なのだとあらためて勉強になり、褒めてあげると、頷いてホッペを赤くした。
「さぁ朝食に行こうか」
「はい」
下に行くとまだテーブルには並べられてなく嫌な予感がしたけど、信じよう。
信じることも大切ですから。
「あ〜〜」
「ダダダ!!」
キッチンから聞こえる声。
最初の声はチユのもので完全に、やっちゃったーていう風に俺には聞こえ、そして後からパンナオが絶叫したようだが。
「大丈夫でしょうか。叫び声が聞こえましたよ」
「……大切な仲間だよなチユは」
「ええ。仲間です」
「信じよう」
「はぁ……」
そこへキッチンから皿を持ちチユが登場。
「お待たせ〜〜」
「おお待ったぞ!」
皿に全てを期待した。
待ってました……。
「………」
シュナリは無言でテーブルに並べられていく皿を見ると、お米を炒めたような物が。
「これは……もしかしてチャーハンですか」
「チャーハンは私が作りました。得意料理なのです」
「食べてみないことには……」
「シュナリっ! そう心配せずにひと口食べればわかる」
「そのひと口が怖いのよっ!」
シュナリはまだ置かれたスプーンには手をつけないのは、不安が大きいからだ。
「でも……待てよ……。このチャーハンいい匂いがするぞ」
「うん。食べてみなさいっ」
チユはエラく自信満々に言うが、この自信満々はどこから来るのだと疑うも、匂いにつられてスプーンをさすと、ひと口思いきって、口の中に入れてみたら、舌の上に米粒を感じた時に、スパークした。
「なんだこれはっっ!!」
美味い!!
美味いですよ、これは中華料理店にも負けないくらいに、米粒はパラパラとしていて、普通はベッタリしてしまうのは全くない、塩味も丁度いい。
「直ぐに吐き出してください! ご主人様っ」
シュナリは俺を心配して背中を叩いて吐き出させようとするが、違うのだよシュナリさん、吐き出す必要なんかないです。
「違う、食べればわかる。お前も食べてみな」
「まだ死にたくない……」
「ちょっとそれは言い過ぎだぞ〜」
「騙されたと思って食ってみな」
「ご主人様がそこまで言うのなら……」
シュナリもスプーンを持ちチャーハンをほおばった、その瞬間にスプーンを手から落とした。
「なにこれ……チャーハンてこんなに美味いものなの……」
まるで奇跡を見たかのような様子にチユは満足していた。
「そうだろ〜そうだろ〜。私は料理の天才なのだな〜」
「具にはエビを入れたのね。このエビがアクセントになっていて、米粒と玉子を引き立てているのだわ」
「俺もエビは大好きだよ。とても美味いぞ!」
「うん。うん。わかればいい」
チユは首を縦に振り大変に納得したご様子で、そこへキッチンからパンナオが現れて驚いていた。
「チユさんは料理の腕前は本物です。私も趣味で料理をしていましたのでわかるのです。わたしよりも上ですよ、はい」
「でもね、さっき悲鳴と絶叫する声がしてて……」
「あれね……クスッ」
チユが何がおかしいのか、クスッと笑った。
「何がおかしいのよっ!」
「ネズミが出たのでビックリしたんだ」
「はぁ……人騒がせなんだからっ!」




