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64話 ベッドに侵入

 脱衣場を出てまた来たとおりに2階に行くと、俺の部屋のベッドにダイブした。

 ふうー、ひと息ついて明日はまたエハロ迷宮に行く予定で、5階までの道のりは判明してマップに記してあるが、いかんせん水溜まりの先にある扉までが、どうしても行き方がわからない。

 大部屋の壁にあった絵には、エビと扉が描かれてあり、なんの繋がりがあるのか今のところ不明と言わざるを得ないが、迷宮に入っても結局うろちょろして終わるような気もするし、そうはいってもこの屋敷に一日中居るのはどうかと思う。

 謎が解明するまでは、迷宮に行かずに町で買い物にでも行くのもありで、家具があれば見ておきたいのもあるし気分転換になるなとベッドで横になって考えにふけっていると、扉を叩く音がした。


「進、入るけど……」


「どうぞ」


 声からしてチユだ。

 何かな。

 扉を開けると、今度は服を着ていたのを見るや何を期待してんだ俺はと恥ずかしくなってしまう。

 

「あの〜ベッドがないのよ私の部屋に。だから、進のベッドで寝たいとおもったんだ」


「えっ俺のベッド! そうだったな。ベッドがなかったか、気が回らなかったよ。ゴメンな」


「いいのかな」


 俺としてはもちろん問題はありませんし、むしろチユの体に触れるチャンスでもあるわけで、断わる理由などないのだが、そこはシュナリがまたも怒鳴り込んでくるだろう。

 そうなると、厄介な話になるし、かといって床に寝させるわけにもいかんし、俺が床に寝ることになる。

 シュナリの部屋には小さなベッドがあったから、そこに2人で寝てもらうのが1番助かるのだけど、シュナリが了解するかは微妙なとこだ。

 なにせ、チユに対抗心が芽生えているくらいだから難しいだろうか。


「シュナリと一緒に寝るのはどうかな?」


「こっちがいい」


「そうですか。じゃあ俺が床に寝るからチユはベッドに寝な」


「うう〜ん。一緒でいいよ」


「それは……色々と不味いよね」


「どうして。ベッドがないのだから一緒に寝るのは優しさだと思う。避難されるなんて考えられない」


 俺がベッドに居るのにも関わらず、チユはベッドインしてきて、ここをシュナリに見られたら大変なことにと思い、すぐに出ようとした。


「ご主人様、入ります」


 そこへタイミングが悪くシュナリが扉を開けたのだ。

 もう終わったな。

 そう確信してシュナリに怒られるのを覚悟していたら、部屋に入ってきても怒る様子はなかった。


「シュナリ……これはだな理由があるんだ」


「チユはベッドが無いのですよね。さっき知りました」


「怒ったのか」


「いいえ。さすがにベッドが無いのは可哀想ですし、ここで寝るように私が言ってあげたの」


「シュナリがここへ来るようにか?」


「いけませんでしたか」


「優しいじゃない。俺はシュナリとチユが仲良くしてくれたらと思ってるさ。じゃあチユは今夜ここで寝るんだ」


「ここで寝る。大きい」


「俺と一緒に寝れるほどの大きさはあるからな」


 シュナリ本人がチユをここに泊めていいと言うとは意外であり、思ってもみないことで俺はホッとした。

 シュナリは自分の部屋に泊まり、俺とチユはこのベッドで寝ることで決まり。

 

「1つ条件があります」


「条件?」


 この話はここで終わったんじゃ?

 まだ何か言いたそうなのはなぜかなと、予想しても特に言われるようなことも無いのに。

 

「条件ていうかその……」


 もじもじと体をねじりながら、ハッキリとは言わない。

 じれったい感じで。


「その、なんだい?」


「えっと私もここに泊まる……」


「えっシュナリもかい?」


 聞き間違いだと思ってみたが本気の顔であり、そんな有り得ない言葉を聞き正直動揺していた。


「はい。ご主人様の横にいかせて欲しいの……ダメですかぁ?」


 恥ずかしさをグッと堪えて言ってくるのを見せられて、断るなんてとても出来ないが、やや大胆過ぎやしないか心配になった。


「ダ、ダメなわけないさ。俺の横においで、一緒に寝よう」


 ダメてことはないくむしろ大歓迎だが、そこのところを知られたくない、知られないように心がけて言わせてもらいました。

 決して俺がシュナリとチユと3人で練るのを夢のようだ〜なんてバレないように。


「いいのですね。じゃあ横に行きます」


 そっとベッドに入り、俺の横に来ると反対側にはチユが寝そべってベッドの弾力を楽しんでいる。


「チユはベッドで寝てたのかな?」


「ううん。初めて。盗賊団にいた時は地面に寝させられてたんだ。だから……」


 辛い過去を話さしてしまったかなと頭をヨシヨシと撫でてあげて、なぐさめてあげた。


「だから……だから……明日も美味いもの食わせてくれな!!」


「なっ! 全然っ落ち込んでないな、お前っ!」


 落ち込んでいても、飯の方が大事なチユに心配と安心の両面をみた。

 

「へへ」


「食い意地が強ぃのね。でも私もわかる気がするの。私も人狼の村にいた時は、食べたくても食べれないときがあったから。チユほど苦しくはなかったけど」


「そうか、チユは明日もいっぱい食べていいからな。全部食べていいぞ」


「何か食べ物の話をしてたら、ホントに腹減ってきちゃった」


「食い意地あり過ぎですね」


 シュナリはチユの食い意地の過去にあった理由に共感していたのに、さすがにあきれていたようだが、そこがチユの可愛いのだけど。 

 そのまま両手に女の子を抱えて寝ると思っていたが、まだまだ寝かせてくれなかったのだが、それは……。

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