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63話 風呂での戦い

 扉を開けた時の声には感情が大いに込められていて、楽しい声ではなく、怒りにも近い感情に聞こえた。

 怒ってますよね、これは?

 願わくば、ここはお互いに仲良くしてもらいたいとせつに思うも、果たしてそうなってくれるかわからないので、俺が説得するしかないだろう。


「何してんのよって。見ればわかるでしょ? 進の体を洗ってあげてるの」


「洗ってあげてるですって、それがおせっかいなのよ。今すぐ風呂場から出て行きなさい!」


「いや〜よ」


「出て行きなよ生意気ね」


「いや〜よ。シュナリこそ出て行きなよ」


「チユが出て行けば、出てくわよ」


「まぁまぁ落ち着いて話そうか……お二人さん」


「ご主人様は黙っていて!!」


「はい……」


 この場を仕切り両者を説得させる予定が、あっさりと却下。

 かなり厳しいのです。

 シュナリはチユの身勝手ともいえる行動に腹を立てて、風呂場にやって来たようだ。

 そした風呂場を覗くとこのあり様に怒りが爆裂した模様で、もはや俺には止めようが無いです。


「チユ……ご主人様の体を洗ったの?」


「そうよ。体だけじゃない」


「体だけじゃない? まさか」


「頭よ」


「ううう。体だけに留まらす、頭までも。私がしっかりと見張っておくべきだった。私のミスだわ」


「シュナリは私が進のことを洗ったのを気に食わない、そう言いたいの?」


「その通り」


「私が進を取ってしまうと心配してのことよね?」


「べ、別に心配というわけではないっ」


「心配だから来たのでしょ?」


「ち、違う! チユに取られる心配などないっ!!」


「そうかしら、だったらシュナリにきくけど、何であなたも服を着ていないの?」


「えっ…。そ、それは……」


 服を着ていないたいというチユの発言には、さすがに俺も驚きを隠せなかった。

 チユはタオル1枚。

 そこへシュナリも服を着てない!

 てことは、ここにいる全員が裸ですか?

 そう考えたら興奮してきました。


「シュナリさん、あなただって進の気を引こうとして脱いだのでは?」


「ち、違うから。ちょっと暑くて脱いだだけよ!」


「ちょっと暑くてそこまで脱ぐ必要あるのかな。私に進を取られたくなくてあせって来たのが本音ですよね?」


「……うるさーい!」


 そこでシュナリがチユに飛びついて両者がガッツリ組み合い、押し合いの相撲の様な形に。

 チユも負けじと押す。

 シュナリも負けてられるかと押す。

 湯けむりで大事なところは見えないのが残念ではあるが。

 そしてシュナリがチユの頭にお湯をぶっかけて髪の毛をびしょ濡れにしたら、お返しとばかりに、今度はチユがシュナリの足を持って持ち上げると、シュナリはひっくり返ってしまった。


「あいたっ!」


「今だ!」


「もう、その辺で止めるんだ!」


 俺はここら辺で止めさせようとして、お湯をシュナリとチユにぶっかけた。


「きゃあああああ。ご主人様」


「んああああ〜」


「わかったか?」


「はい。止めます」


「止めます〜」


「そしたらみんなで風呂を楽しむんだ。いいか風呂ってのは気持ちが和むものなんだ。争うとこじゃない。いいか!」


「和むですか」


「なご〜む」


「そうだ。お湯に浸かって今日迷宮に行って疲れを体からとる。それを和むというんだぞ」


「はい。勉強になりました」


「は〜い」


「よし、わかったらお湯に浸かるぞ」


 俺がまず湯に入るとシュナリとチユも続けて入り、俺の言った意味を理解してくれたのか、気持ち良さそうな表情を作った。

 本来、風呂はこういう物。

 3人でゆったりと時間を過ごした後に俺は湯から出ることにした。

 なぜなら、すでに長いこと湯に入っていて十分温まりのほせてしまうからだ。

 

「じゃあ俺は先に上がって部屋に帰ってるからな」


「はい」


「は〜い」


 湯から出て歩いて仕切られた扉に向かい、脱衣場へ行った。

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