61話 チユの部屋を
食事を終えて腹も満たされたら少し椅子に座って小休憩をとり、シュナリとチユも喋らなくなるほどに腹いっぱいになった。
胃の中で消化されてる間、チユの部屋を用意しないとと思いついて、まだ空いてる部屋があるので、そこをチユの個室にしてあげようかなと考えていた。
シュナリが持ってるのだし、チユも個室欲しいだろう。
「そういえば、チユの部屋がまだ決まってないんだ。欲しいだろ」
「個室っ……。欲しい」
「そう言うと思った。見に行って見るか?」
「見たいっ」
「それなら、早速だが2階に行こう。空き部屋は2階だから。シュナリも来るか?」
「行きますとも」
「酒を飲んだ後でも、動けそうか?」
「飲み過ぎ、食べ過ぎましたけど、2階くらいなら歩けますよ」
「シュナリは私が支えてあげる」
シュナリは飲み過ぎたせいか、顔が赤く染まってきていて、それも可愛いところで、チユは部屋を貰えるとなったら、喜んで手を上げた。
シュナリにだけ部屋を与えるとなると、またもケンカのネタになる可能性があるので、部屋を与えておいた方が平和になり、俺の負担も減ると思った。
いったん居間を出て階段に向い2階に上がると、通路に沿って部屋はあるので、扉を開けてチユに見てもらうと、汚い部屋はあからさまに嫌がる。
どれもパンナオの部下であり男部屋の後だけに、掃除すれば良かったが、まだ掃除を頼んでいなかった為、散らかっていた。
ある部屋の扉を開けたら、チユは今までにない反応を示して、部屋に入っていった。
「ここの部屋は綺麗な部屋だ。ここがいい!」
「残念でした。ここは私の部屋なの。チユは使えませんので!」
「え〜え〜」
「そうだったな。ここはシュナリの部屋だったな。忘れてた。チユごめんな。他の部屋にしよう」
俺が開けた部屋はシュナリの部屋で、悪気はなく本当に空き部屋だと思っていたのだが、シュナリが意地悪く言うものだから、チユは納得しない様子になり、機嫌を悪くしてしまう結果に。
失敗でした。
今度から確認します。
とは言え、俺には女の子と暮らした経験が無いのだから、間違えたとしてもそれは多目にみてもらいたいものであって、2人の女の子と同居生活することに、未だ照れがあるのも事実です。
日がたてば、慣れていくでしょう。
「う~ん。もう進の意地悪! どれにしたらいい」
「この部屋はどうでしょう。比較的に綺麗ですし、少し掃除すれば使えそうですよ」
「どれどれ。確かに、綺麗だし、良さそうだな。チユ、この部屋にしなよ」
「う~ん。良いかもな。ちょっと散らかってるけど。この部屋にする」
「よし、決まりだ。ここは今日からチユの部屋に決定!」
「決まり!」
「良かったわね」
やや機嫌を悪くしたチユに代わって、シュナリが空き部屋の中から、いい部屋をチョイスしてくれて、チユは喜んでくれた。
これでオーケーとしよう。
シュナリの部屋は掃除したのか、綺麗に片付いてあって、十分住める環境なのだが、チユのはまだ不十分な感じは否めないし、家具の購入も検討する必要がありそうです。
女の子ってお金掛かるものです。
「時間がある時にでも家具を見に行こう。ベッドやクローゼットとか欲しいだろ」
「ぜひとも、見に行きたい。服をしまえるクローゼットは欲しいかな」
「家具は全部欲しい」
「全部かよ。それは贅沢だなチユは」
「だって欲しいだもん」
「チユはご主人様に甘え過ぎよ」
「いいじゃんか。買ってくれるていったのは進だし」
「そうだけど、少しは遠慮をしなさいよ」
「シュナリだってクローゼットとか高そうな物欲しがってる。ズルい」
「それは……そうだけど」
「まぁまぁ。2人とも欲しい物を買ってやるから心配しないで」
「嬉しいです!」
「やった〜!!」
家具の購入の話をしてみると、テンションが上がるのがわかるほどに、シュナリは女の子なのか服に興味があるようで、クローゼットを、チユはよくわからん。
買い物に行けば、家具屋くらいはあるだろうし、そこで気に入ってくれたのを購入すれば、喜んでくれるはずで、肝心のお金の方は迷宮で集めた魔石をトパーズに両替すれば、購入代金にはなるよな。
新品の家具でもいいが、中古品で安いのがあれば、中古も選択肢にしておきたいのは、チユから聞いたテントの購入も考えてのことであり、もし足らなくなれば、パンナオに払ってもらうという裏技もある。
買うにせよ、買わないにせよ、女の子の趣味はわからないので、好きなのを選んでもらえば失敗はないと思うけど、1つの物を2人で取り合いになった時に、またも取り合いケンカが勃発するのではという懸念が俺の頭をかすめた。
昨日はシュナリが俺の部屋のベッドで寝たいと言い出したので、2人でベッドインし、シュナリの体を楽しませてもらい、非常にいい夜であったが、今日はもう一人チユもいて、あわよくばチユの体に触れるチャンスもなくはない。
そう考えたら家具の1つや2つなど安い物ではないかと、ふしだらな事を考えてしまわなくもない。
いや、考えない方がおかしいというもので、背は低いけど迫力満点の体を持つチユを我が物にしたいと思うのは、ごくごく自然な流れであり、楽しみでもある。
欲には勝てません。
部屋が決まったので、自分の部屋でゆっくりと、くつろごうかとしたら、パンナオが2階にやって来た。
「お風呂の用意は出来てますので。どうされますか」
「風呂か。それはいい! 直ぐに入る」
「はい、お入りください。では私はこれでもう寝ますので」
「ご苦労さん」
パンナオはそう言って、自分の部屋に入っていき、寝にはいったようだ。
よく働くので良しとしよう。
今日も迷宮で動いた分の汗をかいたわけだから、風呂には入りたいとは思っていたが、ちょうどいいグッドタイミングに、くつろぐのを止めて風呂に決めた。
働いた後の風呂はいいです。




