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12話 4つの印

 フロアの壁に寄りかかり、じっとしてしまう。

 今は何時くらいなのかな…。

 腹も減ってきてるし。

 ここで迷宮を引き返し町に戻るか。

 探索をつづけるか。

 別れ道にいた。

 ここまで来たが危険は絶対に避けなければならない。

 謎の解明ばかりに気を取られていると命を落としかねないからだ。


「迷っちゃったかな。困ったな」


「どうしたら最深部に行けるのでしょうね」


「ここまで来たからには、辿り着きたいだろ。目の前にあるのに入れないなんてモヤモヤするよ」


「モヤモヤって、これのことかな」


 な丹を思ったのか突然俺の顔を胸に挟んだ。

 挟んだ顔を両手で左右に圧迫させる。


「おいおい、なんてことするんだよ!」


「モヤモヤするというから、モヤモヤしてあげました」


「これのどこがモヤモヤなんだよ!」


「あれ…間違えました。モフモフしてしまいました。似ている言葉なので失礼しましたご主人様」


 シュナリは愛くるしい顔でごめんなさいと頭を下げるが、謝るどころか嬉しいです間違いであった。

 嬉しいのがわからない様に、厳しく言っておく。


「モフモフなんて、人前でしちゃダメだぞ!」


「はい、人前じゃない所でします」


「そうだぞ…そうじゃないんだけどな」


「ご主人様、モヤモヤが治ったならボス部屋を探索しましょう」


「もっとモヤモヤになったよ。でも探索は続けたいが帰れなくなると困るし、退却しよう」


 俺はモヤモヤのたかぶりを抑えて、悔しいが1階へ戻る決心をする。

 足を帰りへ向けた。

 4階への階段に。

 再び階段に着いた時に俺は思わず声をあげた。


「矢印です、ご主人様」


「またか」


 あった…。

 階段のすぐ近くに書かれてある。

 しかし階段に近すぎて見過ごしていた。

 方向は右。

 右側を指している。

 これで矢印は3つ。

 2階は下。

 3階は上。

 4階は右。

 となるとまだ1階は不明。

 しまったな。

 もっと早く気づくべきです。

 俺はそのことに気づくと1階へ目指した。


「面倒たけど一階に行きたい」


「それが謎を解く鍵ならいいですが」


 3階へ戻り2階に。

 そして1階へと着いた。

 1階に着くと壁の模様をさっそく探す。


「あったかな…」


「私も模様には気づきませんでした」


 魔物を倒すのと階段を見つけるのに必死だったからだろう。

 矢印なんて目にもくれなかった。

 マップは描いてあったのは正解。

 マップを見つつ、早歩きでフロアを探索していく。


「ありました!ご主人様」


「良くやった。褒めてあげよう。フサフサだな」


 頭を撫でてあげた。

 毛がフサフサしてて耳が上に出ていて、獣人なんだと不思議な感じだ。


「またモフモフしたいの?」


 胸の谷間を強調してみせた。


「フサフサだ。モフモフとは違うんだ」


 運良く模様を見つけた。

 単に俺のミスなんだけど。

 魔物は懐かしいサンドネズミも倒した。

 懐かしいていうのも変ではある。

 下にいた時には、デビルバードばかり遭遇していたのでそう思った。


「4つ揃った。また最下層まで行けるか。それとも退却するかだな」


「ここからまた下に、大変ですが私なら大丈夫です」


 これで4つ揃った。

 全てなのかは分からないけど。

 また4階に行く。

 そうすればハッキリするだろう。

 謎が解ければボスの部屋。

 もうすぐだ。

 ここまで来て、ボスが見えてきた。

 あと少しだ…。

 俺は戻るように4階に向かった。

 向かう途中に俺は何かを感じた。


「……」


 それは誰かが俺の背中を見ているような感覚に?

 俺以外にも冒険者はいるだろうから。

 俺に敵意を持って攻撃してくるなら問題た。

 しかし今のところは攻撃されそうにはない。

 あまり気にすぜに進もう。

 4階について回復薬レベル1をだした。


「それは回復薬でしたね。飲むのですね」


「うん、減った体力を回復しておく。半分俺が飲むから、残りはシュナリが飲むんだ」


 半分残して飲んだ。


「やっぱり栄養ドリンクの味だな。ほれ飲んでみな」


「苦いかな。薬の味がします」


「体力は回復してるはずだから、我慢だな」


「我慢します」


 かなり体力を消耗していたから。

 ボス戦に控えておくのもある。

 回復薬しておいた。

 アイテムボックスからメモ帳を。

 マップ上では間違いない大部屋は中央にある。

 4つの模様もわかっている。

 あとはどうやって部屋まで行けるのかだな…。

 まだ何かありそうだ。

 探索を続けてみる。

 どこかに仕掛けらしき物があれば…。


「ないよな……どこかに出っ張る物があれば、ボタンだったりするのだけどな」


「出っ張る物……て。これのことかな」


「うわぁ! 胸をしまえ! 誰かに見られたらどうする」


 シュナリは俺が出っ張る物と言ったので、自分の胸だと勘違いして服から胸の大事な出っ張る物を露出したのだった。


「ご主人様は、出っ張る物は好き?」


 大事な出っ張る物をチラ見させてきた。


「好きとか嫌いとかじゃないんだよ今は。確かに出っ張てるけど。迷宮の中にあると思うんだな」


「探してみます」


 辺りを探してみるも結果は同じ。

 ここまで来て迷宮の探索は行き詰まった。

 あと1歩てとこなのに。

 その1歩が届かない。

 ガックリと肩の力は抜けてしまう。

 ヒザが折れて砂の地面に着いた。

 そして顔を地面に向けたその時だった。


「おや…」


 地面には浮き上がっている部分がある。

 それも1つではない。

 よく見ると4つ。

 上、下、右、左。


「これは…矢印と…一緒ではないでしょうか。きっと関係してますよ」


「本当だな」 


 とちょうど俺を1周するように配置されている。

 浮き上がっている物は角ばった出っ張りであり矢印と関係していそうだ。

 俺は手をついて立ち上がる。

 まだ終わってないぜ。


「この出っ張り…押せそうだぞ」


 アイテムボックスからメモ帳を。

 メモ帳に書いた矢印の方向。

 1階から上下上右の順番となっていた。

 この順番に押してみよう。

 まず最初は足で上の出っ張りを押した。


「押せた!」


「やりましたね。変化があれば良いけど」


 足を離すとまた浮き上がってくる。

 次に下。

 同じように押せる。

 次に上、最後に右を。

 4つ全て押した。

 俺の推測ならこれで矢印の模様と砂の出っ張りは解決した。

 あとは結果がどう出るかだ。


「……」


 フロアは無音のまま静かに。

 俺はそのままで数秒待つ。

 すると俺の前にある壁に異変が起きた。


「壁が…割れていきますよ。やっぱり合ってたんです私達の推理が、嬉しいです」


「その様だな」


 突然に壁は動き出す。

 左右に割れる様に開いていくのだ。

 こ、これは…?

 俺の押したのが影響し、正解のようだ。

 壁は開いてポッカリと穴が。


「ついに…来たぞ。この奥にボスが待ってる。シュナリはここで待ってろ危ないから」


「でも私も一緒に……」


「ダメだろう。俺が行く」


「はい、待ってます」


 冒険者の剣を握る。

 開いた中に進んだ。

 中に入ると確かに大部屋であった。

 ガランと広い部屋。

 だがボスらしき魔物は見当たらない。


「おや…どこに?」


 やや、ひょうし抜ける。

 サンドネズミのレベル2か3あたりの魔物の可能性がある。

 フロアで戦った魔物よりも格上は予想できる。

 俺は部屋の中央にまで進んだ。

 そして周りを見渡した。

 やはり居ない。

 その時。


「ガタン」


 今、入って来た壁の扉は音と共に閉まった。


「!!」


 完全に密室に。

 閉じ込められています?

 直観的にヤバイなてわかる。

 張り詰めた空気。

 俺は耳を部屋の隅々に集中させる。


「……」


 何も聞こえない。

 全くの無音。

 と思えたら、1粒の砂が俺の体に当たった。

 その砂は上から降ってきた物だと判断する。

 上から…。

 なぜ?

 上から砂を振らせる原因は…。

 俺は頭を上にし天井へと向けた。


「!!」


 声にならない声。

 俺は絶句した。

 魔物。

 魔物は天井に張り付いていた。

 俺の真上に。

 大きさはデカイ。

 その形は見たことのある形をしている。

 蜘蛛…。


「蜘蛛かよ」


 蜘蛛が天井で俺を見下ろしている。

 余裕はないが念のためウインドウを開いた。

 サーチをした。

 アシナガグモレベル1

 と表示。

 アシナガグモがどうやら俺の最初のボス戦の相手に決定。

 ハッキリ言って強そう。

 これは勝てるのか?

 そう思ったらクモは俺の方へ落下した。

 ボス戦開始です。


「やるしかないよな……」

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