表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/103

55話 階段発見

 このままではケンカし続ける。

 ここは俺が解決せねば。


「ケンカは止めるんだ。俺がお尻を触るのは謎を解くためだ。決して有らぬ好意は持っていない。これは断言する」


「で、でも……」


 シュナリはまだ半信半疑らしく尻尾が垂れていた。

 どうしても納得してない感じだ。

 ここはキッチリと言うしかないし、中途半端に言っても、両方を怒らせてしまう。

 俺がご主人様なのだとわからせるようにする。


「俺の言うことが信じられないのか」


「……わ、わかりました。ご主人様を信じます」


 垂れていた尻尾が再びピョンと跳ね上がる。


「わかってくれればいい。チユも口には気をつけるんだ。シュナリにデカイ尻なんて言ってはいけないんだ」


「だってアイツが私の物を汚いお尻だなんて言うもんだから」


 尻尾がピンッと伸びる。

 敵対心を持ってる証拠だ。

 チユも落ち着かせる必要がありそうだ。


「そんなことはない。チユのお尻は汚くなんかないぞ」


「………そうよね。触ってくれる?」


「もちろんだ。ホレ触ったぞ」


 立場を利用して触らせてもらう。

 チユの尻尾はシュッと丸くなった。


「あっ……」


 チユも声を上げた。


「ご主人様、もっと押して」


「進! 押すのだ」


 右手にシュナリのお尻。

 左手でチユのお尻を。

 俺はグイグイと押した。

 3人の意思は1つになった。

 ただこの状況を他の冒険者が見たらどう思うだろうか。

 コイツら何してんだ?と思うだろう。

 それだけではなく、変態かとも思うに違いない。

 それでも、わかっていても、こうするしかないのだ。

 たとえ、変態だと思われようと、最深部へ辿り着いたいから。

 

「あとちょっとです。ご主人様」


「強く押すのだ」


「よーし」


 俺はもっと強く押した。

 ガチャン。

 その時、鈍い音が聞こえた。

 

「う、動きましたよ!」


「やったー」


「2人とも頑張ったな!」


 レバーは完全に押されて逆側になっていた。

 3人の頑張った成果である。

 これで、いったい何か起こるのだろうか。

 迷宮に変化が起こるのを待ったが変化という変化はない。

 待つこと数秒。


「壁が!」


 突如として壁が動き出したのをシュナリが伝えた。

 レバーを動かすと壁が開くようになっていたようだ。

 壁は動くと左右に開いていった。

 その先にあった物は……。


「階段だ。階段だぞ!」


 俺は、つい声を出して喜んだ。

 ゲームではあっても、実際に目の前で起こると嬉しいもの。


「わ~い。みっけー」


 チユも喜ぶ。

 チユが発見したレバー。

 そのレバーが階段へと導いてくれたのだ。

 ありがとうな。

 静かに階段はそこにあった。

 誰も寄せ付けない空間に思えた。

 

「レバーが重要だったわけで、チユのおかげだな」


「その通りだ感謝しな」


「……まぁ今回はチユがいなければ階段を発見できなかったかもね。感謝するわ」


「俺も感謝する」


「よしよし」


 チユは感謝されて満面の笑みを浮かべた。

 さすがのシュナリも文句を言えない。

 その時に思ったことがある。

 

「この謎は3人以上居ないと解決出来ないよな」


「2人では無理ですね」


「やっぱり、私のおかげ」


「そろそろ調子に乗り過ぎだぞ」


「そうよ、階段があったてことは。まだ下の階層の4階があるってことよ。浮かれてたらダメ」


「はい」


 チユは耳をキョトンと垂れて返事をした。

 迷宮の謎の中には冒険者の人数を試すものもあるのを知った。

 この下の階層にも恐らくは謎があるのだろう。

 強いだけでは、下には行けない。

 仲間と協力して初めて達成できる。

 こうなるとチユはまだ、正式に仲間として加えた訳ではない。

 あくまでも、トカチ盗賊団の手下が追いかけて来ないのことが条件だ。

 手下が来れば切り捨てると考えて連れてきたのたが。

 レバーの活躍。

 それに謎を解くには、仲間は多い方が良いこと。

 2つの面から考えて、チユは無くてはならない存在に成りつつあるように思えた。

 この先に行けば、より存在感が増してくるのか、それは先に行けばわかることなので、階段を降りることに。

 

「次は地下4階。ボスの部屋にも近づきつつあると思う」


「魔物も数が増えてると厄介ですね」


「どれだけ増えるかは、降りてからのお楽しみだ」


「はい」


「チユにも協力してもらうよ」


「は〜い」


 マッタリとチユは返事をした。



 階段を降りると地下4階に。

 時間的にはまだあると思う。

 時間の感覚がわからなくなるのが、迷宮の欠点であるのを知り帰る時間も考慮して奥に行こう。

 どれだけ先に行っても帰れなければ、意味は無くなる。

 でもまだ下の階層が有りそうである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ