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51話 回復魔法

 スノーシュリンプを1匹狩るとシュナリが褒めてくれる。

 けなされるよりは、褒められる方がいい。


「その剣の威力は凄まじいですね」


「慣れれば、スピアよりも戦えそうだ」


 チユは俺の後ろで観戦していた。


「エビが簡単に斬れちゃいました。進は剣の腕はいい」


「ありがとうな」


 チユに声援のお礼をした。

 トカチ盗賊団で今までに相当な戦いを見てきたという事で、ちょっと恥ずかしい気もした。

 まだ1階なので、のんびりはしていられない。


「ご主人様、先を急ぎましょう。時間は限られてます」


「そうだな。でも本心は新しい短剣を試したいのだろう」


「まぁ、わかっちゃいました?」


「なんとなくな」


 シュナリは先に行ってしまう。

 俺とチユは後からついて行く。

 チユは足が遅いような。

 同じ人狼族でも違いはあるようだ。

 そこから階段を降りて行き2階へ。

 そして止まらずに3階まで到着。

 

「よし、3階だな」


「ここから魔物の数がグッと増えましたね」


 シュナリが昨日の戦いを振り返る。

 言うとおり、ここからが本番と言っていいだろう。

 チユにも配慮して気をつけてもらい、回復魔法も使用してもらえると助かる。


「そんなら、私の出番もあるかもな。傷ついたら私のとこに来な」


「そんときは、頼むぜ」


「任せな」


 チユは胸を張って任せなと言う。

 頼もしい限りだ。

 だけど、本人は気づいていないが、胸を張った時にぷるんぷるんと胸が揺れて俺の視線を釘付けにした。

 魔物どころじゃないくらいに。

 3階に来た途端に魔物と遭遇する。


「魔物が4匹います」


 シュナリが警戒する。

 明らかに2階までと数が違った。

 近くに行くと4匹は姿を現した。

 スノーシュリンプが2匹。

 サンドネズミレベル2が1匹。

 デビルバードレベル2が1匹。

 デビルバードは空中戦なので俺の領域。

 

「デビルバードは俺が殺る」


「残りは私が」


 先ずはデビルバードが邪魔くさぃ。

 コイツから消してしまおう。

 大地の刃が届く距離に、おびき寄せる。

 空中戦では、スピアはやりやすかった。

 剣よりもリーチが長い分だけ届くからだ。

 なるべく近くまで引き付ける。

 それまでは、剣を振るわずに我慢した。

 デビルバードが範囲内に到達したのを機に、溜めていた大地の刃を振り抜いた。

 刃は弧を描いてデビルバードに向かう。


「なにっ!」


 距離は合っていた。

 しかし、デビルバードにはカスリもせずに空振り。

 こんなことが……。

 スノーシュリンプは動きが遅かった。

 対してデビルバードは当たれば弱いが、動きが速い。

 剣の速度が落ちる大地の刃があっさりと、かわされてしまった。

 武器の相性ていう奴かな。

 次も剣を振り抜いた。

 結果は同じく当たらなかった。

 まるで、遊ばれているように感じられた。

 ちくしょー。

 どうしたら、当たるんだろな。

 攻撃を止めて考えることに。

 このままでは、決着がつかない。

 なら、いっそのこと武器を変えるか。

 多少は時間がかかる。

 けどスピアにすれば、倒せるはず。

 俺はそう決めた。

 最初に砂丸で大地の刃を解除する。

 すると、大地の刃は砂に戻っていった。

 次に魔書からパールスピアを探して砂丸に読み込みさせる。

 読み込みは、完了した。

 地面の砂を手にしてパールスピアを。


「パールス………!!」


 パールスピアを呼び出そうとした時に、失敗した。

 失敗した原因はその瞬間にスキが生まれたから。

 そのスキにデビルバードが襲いかかってきたのだ。


「……グッ」


 俺はクチバシの餌食になった。

 しかも防御体勢にもなっていなくて、かなりのダメージを受けた。

 クソっ。

 俺としたことが、完全に失敗。

 まだ動けるだけ増しだけど。

 攻撃力のある魔物の一撃なら即死もあった。

 あぶねー。

 立ち上がろうとした時に、クラクラとフラついた。

 思ったよりもダメージがあったみたいです。

 ヤバイね。

 相手を甘く見過ぎたかな。

 もう遅い。

 反省してる間もデビルバードは猛攻撃。

 逃げるっきゃない。

 その時、チユが現れて俺の前に立った。

 

「進! 早く武器を作って。その間は私がガードする」


「悪ぃな」


 サンクス、チユ!

 チユが防御してくれてる間にパールスピアを作った。

 戦闘中に武器を変えるのはダメだな。

 その間はチユは杖で応戦していた。

 デビルバードが攻撃疲れしたのか、遠くに距離をとった。

 そこでチユは魔法を唱える。


「ライフラ!」


 俺に向けて呪文を唱える。

 すると、不思議なことに傷が癒えて痛みは減った。

 これが、回復魔法ですか?


「痛みが消えていくようだぞ」


「回復魔法のライフラです。もう回復したはず、さぁ今がチャンス」


 チユの魔法で回復したので、立ち上がる。

 デビルバードにパールスピアを突き刺した。

 

「やったな」


「チユの魔法があったからさ」


「そうだろ。それよりもシュナリは大丈夫かな」


 デビルバードを倒してホッとしていたが、そうリラックスしている場合ではなく、残党の狩りが待っている。

 チユに言われて我に帰ると急いで向かう。

 シュナリは3匹と応戦中だった。


「今行くぞ!」

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