表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/103

49話 チユの能力

 しばらくお茶を飲んでゆっくりとした。

 迷宮に行くのを忘れてる。

 おしゃべりしてるよりも、迷宮へ行きたい。

 

「そろそろ迷宮へ行きたい」


「そうですね。だけどチユは?」


「私なら心配いりませんことよ。なんてたって迷宮での経験は数知れませんから。トカチの手下が居ましたけど」


「経験豊富なら即戦力さ。3人で迷宮へ行こう」


「ちなみに私の冒険者レベルは10です」


「なにっ。俺よりも上!」


 俺のレベル8より上とは思わぬ誤算。

 年齢はシュナリと同じくらいに思えたので。

 

「驚いた。私のレベル5よりも上ですね。戦闘経験があるなら戦いやすくなります」


 シュナリも意外だったようだ。


「いや、それがですね私は補助的な立場なんだ」


「補助的とは?」


 補助的っていうと、ゲーム内では後方からの支援をすることの意味もあるが。


「魔物を倒したことはないっ!」


「えっと、後方支援てことかな?」


「当たり」


 当たったようだ。

 別に当てようとは思ってなかったけど。

 後方支援てのは戦闘よりも前線で戦う冒険者を支援する。

 回復魔法や状態異常を復帰、もちろん遠目からの攻撃参加もできる。

 チユがどういうタイプなのかは、ぜひききたいところ。


「魔法が使えるとか?」


「当たり」


 また当たったようだ。

 俺とシュナリは魔法が使えない。

 魔法が使えるのが1人入れば、心強いよな。

 

「回復魔法?」


「当たり。未熟なので回復魔法しか使えませーん」


 回復魔法だけか。

 それでも戦闘中にダメージを回復できたら圧倒的に有利になる。

 敵の数も増えれば、なおさら必須になる。

 

「そこは自慢して欲しくない!」


 シュナリが、すかさず言った。

 俺も同意見です。

 チユ本人は、気にしていない。


「迷宮に入れば全てはわかるというものよ。私の実力がね!!」


 チユは自信満々に宣言した。

 前線で戦うのは俺とシュナリなのをよそに、高らかと声にした。

 大いに期待したいと思いたいが、チユの言うことは信用していいのかわからない。

 迷宮に行ってみればわかること。

 

 


 屋敷を出て再び迷宮屋に。

 今日も綺麗です。

 美人の受付嬢が待っていた。


「おはようございます進さん。今日も頑張ってくださいね!」


「ええ、頑張ります」


 見つめられると、つい強気の言葉を言ってしまう。

 

「今日は3人のパーティーですが」


「そうなんです。3人になりましたのでもっと深い階層に行こうと思ってます」


「より下の深い階層に行くパーティーの特徴があります。少ないメンバー、3人以下の場合。この場合は少ない分1人のレベルが高いのが条件です。4人以上になると、お互いに助け合うことで進めていけます。しかしメンバー数を増やし過ぎて、ケンカになったり、仲間割れが発生しやすいのも事実でして。やみくもに増やすのは考えものですよ」


「そこはウチのパーティーは大丈夫そうです」


「進さんがきっと信頼されてるからでしょうね」


「いやーまぁそうでしょう」


 信頼されてると言われては、嘘でも嬉しいです。

 照れてる俺にシュナリが言いたそうだが。


「ご主人様、騎竜の手配をお願いします」


「そ、そうだな。騎竜を頼みたいのです」


「はい。3人分ですね。外でお持ちください」


「はい」


 店内から外に出ると、いつもの魔物使いが立っていた。

 暇そうにして空を眺めてる。


「頼むよ、エハロまで」


「あいよ!」


 俺とシュナリは騎竜に乗った。

 チユは騎竜の前で立っている。

 どうしてか乗らないの。

 あれ、もしかして初めましてか。


「チユは、騎竜に乗るの初めてかい?」


「初めてだわ。迷宮に行ってた時は大きな騎竜車だった」


「騎竜車? 車に変身もするとか」


 何だろうか?

 

「違う。騎竜が前にいて荷車を引っ張る形で走る。荷車は屋根も付いていて8人は乗れた」


「馬車みたいなもんだな。ここには無いようだけど」


「トカチ盗賊団が自前で所有してた。何台も。それに乗って大勢を連れて迷宮に行ってた」


「金があったんだろな。俺にはそんな金はない。これで我慢して乗ってくれ」


「はいよ」


「お、おい。ち、違うから……」


 チユは何を思ったのか俺の騎竜に乗ってきた!

 俺の前に密着して来るように。

 チユの背中と俺の体が密着してしまった。

 ここは俺の騎竜だぞと、チユの背中に触れて言った。


「駄目ですかね」


「駄目ってことはないけど、騎竜は基本ひとり乗り用だから」


 俺は慌てて説明した。

 チユの背中は温かくて温もりがある。

 もち肌なのか、ムチムチっとした肌だ。

 甘えん坊なのかわからないが、予想外のサービスにびっくりした。

 一度はやってみたかったシチュエーションに降りろとは強く言えなかった。

 降りようとしないチユに、みかねたシュナリが言う。


「チユっ!ご主人様から離れなさいよっ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ