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38話 帰り道

 シュナリは立ち上がるとゆっくりと歩いてくれた。

 そこで俺は思いついた!

 アイテムボックスにあったはずの回復薬である。

 アイテムボックスを開き回復薬を取り出した。


「ほら回復薬だ。飲みな」


「ご主人様こそ、お飲みください。私は大丈夫ですから」


「いいから飲むんだ。ほら」


「ありがとうです。美味しい」


「そうか。じゃあ行こう」


 ごくごくと一気飲みしてシュナリの体力を回復させた。

 良かった、歩けますといって無理だったら担いで帰るところだ。

 それは厳しいだろうし、敵に狙われてしまう。

 ゆっくりと地下3階を来た道を迷わないよう戻る。

 運悪ければここまでの命になりかねないわな。

 と思ってても、俺は絶対にシュナリをターヤに戻らせると、自分に言い聞かせた。

 そのかいあってか、地下3階はぬけて地下2階まで順調に辿り着けた。

 ここにはアイツがいるんだったけよな。

 2階の階段付近まで行くと、そいつはいた。


「おいっ!パンナオ。こっちに来い」


 縄で巻いて待たせておいたパンナオ。

 もしかしたら、居なくなってるかなと…。


「は、はい。何でしょうか」


 俺の声にすぐさま反応し姿を現した。


「これからターヤに帰るぞ。ついて来い」


「ターヤに…はい、ついて行きます」


 縄で巻いたまま後を追ってくる。

 途中魔物と対面したが、俺が独りで葬り去ってやる。

 今の俺は怒ってるから近づかない方がいいぜ魔物さん。

 迷宮の入り口まで無事に到着。

 

「もう外に出れるからな」


「ありがとうです。外はもう夕方になってましたね」


「いつの間にって感じだよな」


 砂漠の向こうに太陽が沈みかけていた。

 オレンジ色にボヤケていて目に焼き付くようだ。


「騎竜は?」


 シュナリが言ったのを気に、入り口付近を探してみる。

 居るはずだよな。


「居るはず…っけどな」


「呼んてみたらどうでしょう?」


「そうだな…。騎竜いるか!」


 俺の一声が砂漠に吸い込まれていくよう。

 すると砂の下から飛び出てきた。

 

「うわっ!そんなとこに居たのかよ」


「ええ。中々戻って来ないので寝てしまいました。すみません」


「ターヤまで頼む」


「はい。どうぞお乗りください…。あれ…1人多いですね」


 騎竜の使い手はパンナオを見て言う。

 確かに多いわな。

 どうするか…。

 一緒に乗ることもできるかな?


「2人を乗せるのは可能かい?」


「いいえ、あいにく騎竜は1人用なんです。2人乗せるのは難しいでしょうし、お勧めしませんね」


 騎竜使い手がそう言ってるのだから、間違いないのだろうな。

 かといって、他にいい案があるわけでもないし…。

 シュナリにも意見をきいておこう。


「パンナオをどう連れて帰るかだな」


「置いて帰るのはどうでしょう?」


 俺にも言えなかった厳しい一言にパンナオは顔がひきつった。


「拘束されたまま置いてけぼりは、まさかですよね」


「ないわけではないな」


「そんな…飢え死にしてしまいます。どうか連れていって欲しいですが」


 パンナオは必死にアピール。

 そういえば、どうやってここには来たのか。

 それを知りたい。


「どうやってここには来たのだ」


「えっと……」


「言うんだっ!」


「騎竜を盗んできました。帰りも冒険者のを盗んで帰ろうと…」


「なんて野朗なの。根っからの盗賊団だこと」


 シュナリも呆れてしまうほどだ。

 もうこんな下衆に情けは要らないよな。

 よし、縄を使おう。


「縄がある、この縄を使用しようじゃないか」


「縄を。果たしてどの様に使用する気かわかりません。縄を頭上で高速回転させて飛んで帰るとか」


「飛べるか! こんな細い縄で人は浮かばんぞ! 他にあるだろう。縄の使い方が」


「縄で町までの距離を測るとか」


「測ってどうする! しかも一日じゃ終わらないだろ! 他にあるだろう」


「縄といえば、巻く。巻きつけるとか」


「そうだぞ!」


「まさかご主人様、私の体にその縄をグルグル巻にして楽しむとお考えなのですか。他人が見てる前では、ちと恥ずかしいですが脱いで巻く派、それとも衣服の上から巻く派ですか」」


「この状況でシュナリに巻くか! それに巻く派なんて聞くな! 違うだろうパンナオに巻くんだよ!」


 パンナオの縄を俺の騎竜に結んだ。

 これで騎竜とパンナオは繋がった。

 パンナオは不思議そうな目で俺を見つめる。


「縄を結んで……まさか」


「まさかじゃない。引っ張って行く」


「そんな…死にますよ私は」


 パンナオは嘘でしょって。


「心配無用。砂の上を引っ張るのだから、痛くはないだろう」


「えっ!!」


 驚くのを横目に騎竜の使い手に合図する。


「出発してくれ」


「はい。出発しましょう」


 3匹の騎竜は出発した。

 もちろんパンナオは砂に引きずられて。

 凄まじい速さで砂漠を駆け抜ける。

 後ろからは助けてーと、鳴き声が聞こえるが、ガン無視します。

 シュナリはニコッと笑い言った。


「新しいスポーツみたい」


「あはは」


 俺は笑ってしまった。

 騎竜はそんな事情は知らないとばかりに走りターヤまで届けてくれた。


「サンクスっ」


 騎竜にお礼を言いターヤの町に入る。

 もう半分暗くなりかかっていた。

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