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36話 宝箱

 シュナリに言われて小部屋にある扉を俺が開けた。

 鍵は掛かっていない。

 ゆっくりと中を覗いてみる。

 

「……」


「どうですか? 敵は居ますか」


「魔物らしき姿はないぜ。ただ別の物が」


 小部屋には魔物は見当たらない。

 しかし目線を下にすると、箱が置いてあった。

 箱がなぜあるのだろうか。


「安全なんで見てみなよ」


 シュナリにも確認してもらう。


「箱……宝箱ですかね」


「宝箱だろう。迷宮にはあってもおかしくない」


 この手の宝箱はゲームでもある。

 迷宮内に開けてみるとアイテムがあるパターン。

 アイテムならいいが場合によっては魔物が入っていることも。

 貴重なアイテムは欲しい。

 しかし魔物とのリスクを考えて開けないといけない。

 ここはどうするべきか。

 初めての宝箱だし開けてみたい気が上回る。

 やっぱり宝箱は開けないとつまらないよな。


「開けると魔物がわっと飛び出してくる仕掛けもあったら危険です」


「どんな魔物かもわからないもんな。バジリスクも使えない。ただアイテムは欲しい。レアアイテムの可能性があるし」


「レアアイテムに賭けてみましょう」


「よし開けるぞ」


 俺が宝箱に手をかける。

 フタを上に持ち上げた。

 鍵はなさそうだ。

 中を覗くと…。


「回復薬……」


 ただの回復薬。

 もっと珍しいアイテムを期待したが、甘かったか。


「回復薬なら良かったじゃないですか。疲れた時に飲めます。魔物じゃないだけ有り難いと思えば」


 シュナリはややガックリした俺に気遣ったようで、なんだか励まされてしまった。

 確かに、疲れた時に使用するとしよう。

 アイテムボックスに収納した。


「レアアイテムは手に入らなかったけど、私のレア物なら差し上げます」


「シュナリのレア物だと? 持ち物があるのかい」


「見てみたいですか」


「ぜひともお願いします」


 シュナリは衣服から大きな胸に手をかけた。


「このペンダントは小さな頃に貰った物です。手に取って見てください」


 そのペンダントは胸の谷間にすっぽりとはさまっており、手にするには胸をかき分けないと届きそうにない位置である。

 

「それじゃあ、手に取るよ。胸に手が当たるかもしれないが」


「構いません」


 俺は恐る恐る胸の中に手を入れた。


「あっ!!」


「どうした?」


「冷たく感じたから。もう一度どうぞ」


「いくぞ」


 胸が邪魔して届かない。

 谷間の中に手を入れてみると、生暖かい肌触り。

 いいのかな、この光景はエロいな。

 谷間の中に金属物の冷たい感触。


「あった、これがペンダントだな。うん、素敵なデザインをしてる。大事にしな」


「ええ、ずっと肌見放さず持ってました。大事にします」


 可愛い小さなペンダントであり、また胸の中に戻しておいた。


 小部屋からまたフロアーを探索に復帰した。

 そこでシュナリから報告を受ける。


「この先は行き止まりのようです。1番奥に階段が見えます」


「本当か。やっと階段のお出ましだな」


「順調に来れましたね」


 シュナリの言うとおりに突き当たりには階段が俺達を待っているようにそこにあった。

 ここまでの魔物との戦闘も大事には至らずにクリア。

 シュナリが言った…順調ですね…と。

 この下の階層もそうなってくれれば嬉しい。

 階段に辿り着けてホッとした気分とこれからの緊張感が同時に感じずに要られない。


「じゃあ降りるぞ」


「はい」


 地下3階に降りた。

 この階が最深部なのかはわからないのだけど、予想は4階以上はあると思う。

 問題は魔物がどんな奴なのかだ。

 それが1番影響してくる。

 

「3階の魔物が気になる」


「スノーシュリンプより強いのも生息しているのかしら」


「いると…考えていた方がいいな。シュナリもそのつもりでいてくれ」


「はい。迷宮を帰るときの体力も必要なのですよね」


「うん、帰りがけに死んだら情けないわな。様子を見ながら奥に行こう」


 フロア3階に来て最初の魔物が現れた。


「来ます!魔物です」


「スノーシュリンプか?」


「はい。ですが…」


「複数?」


「5匹います。どうしますか。逃げるならまだ間に合うかと…」


 シュナリは心配そうに言う。

 5匹はヤバイよな。

 最低でも2匹、場合によっては3匹を相手にするだろう。

 シュナリのことだ、主人である俺をかばうため自ら3匹にむかうのもありえる。

 そうなったら俺にも意地はあるのでシュナリを危険な目にはさせないが。

 

「見たことある奴らだな……」


 見覚えのある魔物もいた。

 見新しい魔物はいなさそうだが…。


「鳥もいますね」


「あれは…デビルバードだな。特別強力てわけではないけど、空中にいるので戦いにくい」


「私は届かないと思う」


「届かないか…ならデビルバードは俺が殺る。他のを優先して倒してくれるか」


「そうします」


 敵は5匹。

 まずはサーチをして相手を確認。

 スノーシュリンプレベル1が1匹。

 サンドネズミレベル2が2匹。

 デビルバードレベル2が2匹。

 どう戦ったらいいか、すぐには思いつかないぞ。

 最初に俺が殺るべきなのは、デビルバードになるだろう。

 俺が戦うのは問題はないと思う。

 すでに何度も戦った経験があるので。

 その時のレベルは1だった。

 今いるのは2匹ともレベル2。

 どれ位差があるのかは、戦ってみてわかるな。

 もう1つ気になるのは、スピア。

 以前は剣で倒したはず。

 スピアがどう影響するのかだ。

 シュナリは難しいようなので避けてもらう。

 その間にスノーシュリンプとサンドネズミを相手にしてもらう戦略だ。


「地上の魔物を頼むぞ」


「サンドネズミからやります」


 これで役割分担はオーケー。

 デビルバードとの戦いを始めるとするかな。

 敵が増えて厄介が増えてますが、なぜか嫌ではない。

 不思議と胸が踊ってきているようだ。

 俺のRPG魂が望んでいるのかも。

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