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34話 捕獲

 だがそこで殺すのを止めて考えてみた。

 パンナオは盗賊団としてかなり稼いでいたに違いない。

 部下を8人も連れていたのだし、その金はどこかに隠してる可能性もある。

 それならターヤの町に拠点となる住まいがあってもおかしくないよな。

 住まいなら、俺も欲しいと思っていたところで、宿屋に毎日泊まるのは宿泊代がかかり困っていた。

 きき出してやろう。


「おい、パンナオ」


「は…」


「お前はターヤで住居はどうしていた。宿屋に泊まっていることはないだろう、さぞかし稼いでいるのだから」


「…そ、それは、ある建物を丸ごと買い取り、そこに全員が住んでいました」


「本当に買い取りしたのか!」

 

 俺の質問には、おっかなびっくりで答える。

 死を覚悟したのだろう。

 信じられないので、もう一度脅してみた。


「ひえっ…う、奪い取りました。スミマセン」


「奪い取りましただと。そいつは酷えな」


「お許しを…」


「縄を持ってるか」


「はい。持ってます」


 縄をアイテムボックスから出させるとパンナオの体をキツく巻き上げた。

 自力では解くことは無理だろ。

 死を覚悟したのか、険しい表情がにじみ出ている。


「俺の後について来い」


「は、はい」


 パンナオは震えながら返事をした。

 とりあえず、迷宮の探索には邪魔なので縄で巻き上げた。

 もし襲われて死んだら、それは仕方ない。

 

「シュナリ…もう降りてきていいぞ」


 見学していたシュナリを呼ぶと、恐る恐るこの場に来て、驚いたようであった。

 この場を見るや、何がどうなったのかと不思議そうである。


「ご主人様が無事で良かったです。でも、この戦い方は普通じゃないです」


「これがバジリスクの実力さ。ピンチな状況でしか使えないのだけどな」


「それは…使用するのに条件があると」


「鋭いな、魔力量が膨大なわけだ。90%を消費しちまう。だから常時使用は不可能てわけさ」


「なるほど。いつ使うか、それが重要なわけですね」


「そうなる。むやみに使うと本当に困った時に使えない。今は使う時と判断したんだ」


「凄いです。さすがにご主人様です。これだけの人数を倒せるのは並の冒険者じゃない。それと私の胸のモフモフは常時使えるように準備してあります」


「準備しなくていい! 胸を持ち上げるな!」


「バジリスクを使用して魔力量切れなのですよね、ここは私の胸モフモフで魔力の回復が求められてると早とちりしました」


「回復するわけないだろ!」


「困りました、もう魔力回復するまで使用不可ならボスは戦えないと考えていいのですか」


「経験からいって戦えないな。しかし一日寝て起きると完全回復していた。完全回復には相当な時間がかかるとみていい」


「残念ですが、それだけ強力な剣とも言えますから、怖いものなしでしょう」


「俺だって魔物と戦うのは怖いさ。見るのも怖いし嫌だ。先に行くには戦う必要があるから戦ってるわけさ。シュナリは戦うのは嫌いじゃないように見える」


「ご主人様は完全に人族ですが、私の場合は半分人族で半分は狼の血が流れてますので、その差があると思います。狼の血がある分、野生に近いのです」


「半分は狼の血。俺にはいまいち理解できないので気持ちがわからんな。羊を見て襲いたいとはならない。可愛いと触りたくなるほうだから」


「私も羊を襲った経験はない。そこは人族の血が影響しているのかも。ただ人族の男には女を見ると遅う習性があると聞きました。ご主人様がその習性通りなら、いつ遅われるかもしれないので寝れなくなる」


「襲わん! それに男全員がそんな習性持ってるわけないだろう。安心して寝てくれ」


「私の聞いた噂が間違いだったようです。しかしご主人様は私の着替えの最中に裸をガン見してました。あれは習性ですか」


「し、習性といえば習性のような気もする。着替えは見ていたいのが本音だな」


「わかりました。着替えは見ていたいと。今度から習性だと思って着替えます」


 どんな習性なんだと考えたが、あまり深く考ええないようにした。


「あれっ…この子は…」


 パンナオがシュナリを見て気がついたようだ。

 それもそのはず、自分が奪い取り闇市で商人サイームに売り渡した。

 それがシュナリだから。

 まるでなぜここに居るのか理解できないといった顔をして見ている。


「シュナリがここに居るのか不思議だろ」


「確かこの獣人…商人に渡ったはずなのに…まさか」


「その商人ならもう居ない。商人には恨みはない。恨みのあるのはパンナオ、あんただよ。だからここで待っていろ。逃げたらどうなるかわかってるな」


「待ってます、待ってます」


 パンナオは顔を引きつりながら言う。

 これだけ怯えてたら逃げることはないよな。

 2階の探索に集中しよう。


「シュナリ、ここからが大変だぞ」


「もうバジリスクは使えないご主人様をサポートします」


「頼むぞ」


 シュナリの言うようにバジリスクは使えない。

 再びパールスピアを砂丸した。

 パールスピアなら問題なく使用できる。

 まだ魔力量にはこの程度の余裕がある。

 地下2階を進んで行く。

 魔物の種類も気にはなる。

 1階と同レベルだと予想した。

 最初のムライ迷宮の経験からだと急激には強い魔物が現れていなかった。

 今回もそうあって欲しいものだ。

 そう思っているとシュナリから魔物の臭いを伝えられる。


「魔物がいます。1匹です」


「1匹か、俺が行こう」


 スノーシュリンプが1匹だった。

 もう手慣れたものでそんなに怖くはない。

 盾で身構えながらスピアで突き刺す。

 繰り返してダメージを与えていき倒した。

 冷静に繰り返しすのがこのスピアの攻撃の特徴。

 シュナリは敵は消えたのに、なぜか厳しい表情をしていた。


「もう慣れたみたいですねご主人様」


「スピアの使い方がわかってきたよ。それより何か感じるのか」


「この先に複数の臭いが」


「複数か、2匹以上なら初めてだな」


「そうなりそうです」


 シュナリの言うとおりだった。

 1匹倒していい気になっているどころではない。

 1匹、また1匹と数が増えてくる。

 何匹だよ。

 シュナリが即座に数えた。


「4匹です」


「ずいぶんと増えたな。どうしますか」


「ご主人様と私で2匹ずつにしますか」


「それがベストかな。よし俺が右の2匹。シュナリは左の2匹を殺ってくれ」


「左に行きます」


 4匹いるが俺一人で2匹だと思えばいい。

 見た目はちょっとビビってしまう。

 2匹だけに集中しよう。

 ただ2匹といっても、2匹に交互に攻撃をするか。

 1匹に対して集中して攻撃するかで、戦況は変わってくる。

 どちらも戦い方は有りだろう。

 俺の考えはスピアがあるので、遠くから攻撃できる。

 よって2匹を同時に相手にできると。

 ハサミがくれば盾が防いでくれるし、試しにスピアを刺してみる。

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