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33話 待ち構える者

「シュナリに任せるぞ。俺は見学だ」


「試すチャンスです。1匹なので大丈夫だと思います」


 まったく魔物と対面しても慌てることはないな。

 そこはシュナリの凄いとこだ。

 俺のようにヘタレではない。

 むしろ魔物との対戦を望んでいるようにもみえるほど。

 スノーシュリンプにあっという間に間合いを詰める。

 ハサミの攻撃をスッとかいくぐる。

 早い。

 俺の動きなど目ではないほどに。

 幼い頃からの訓練の成果なのか。

 それとも生まれついての素早さなのか。

 相手の頭に一撃を打撃に成功。

 猛烈に嫌がっている様子にも思えたのは新しい短剣の能力か。

 スノーシュリンプは一気に動きが鈍くなる。

 ハサミで防ごうと必死に頭をカバーした。

 だけどシュナリは容しゃなく最後の一撃を与える。

 俺の対戦時間よりも早く倒した。

 倒した感想はどうだろう。


「感触はどうだったか」


「硬い甲羅も前回よりザックリ斬れたと思います。いい感じです。火のスキルによる水属性に効果があったのかと」


「スノーシュリンプは水属性なのか」


「おそらく名前からして水属性でしょう。スノーと言うくらいだし、殻も氷っぽいです。冷凍のエビを斬ったらこんな感じになると思います」


「冷凍のエビを知ってるのかい。冷凍の技術がないとできないぞ」


「私の村は寒くなると凍るようになっていて、エビを外に置いておくと凍ってた」


「寒さでコチコチなんだな。暖めないと食べられないな」


「私もコチコチになったらご主人様、暖めてくれますか」


「シュナリがコチコチて、どんな状況だよ。万が一凍ったら直ぐに暖めてやるさ。心配するな」


「暖めると私も食べられる?」


「食べられないだろが!」


「エビ!」


 エビのように背中を丸めて真似した。


「エビの真似しても食えん!」


「じゃあ、こんなエビならどう?」


 今度はお尻を付き出した形で顔を向けた。


「そんな尻を付き出したエビがいるか!」


「失礼しました。次も頑張りますのでお許しを」


「魔物には火や水等の属性があるようだ。その辺は今後調べておくとして、早く地下2階を目指そう」


「目標は3階までは行きたい」


「じゃあ3階まで行こう」


 フロアマップもあるので最短で2階への階段を目指す。

 無駄な通路は通らないで進む。

 途中で魔物には遭遇するも昨日よりは楽に撃退し体力的には楽に進めた。

 昨日も通った記憶のあるダイヤルを発見。

 結局はいまだに何なのかは不明。

 ダイヤルはそのままで突き進み、やっと階段に到着した。


「階段まで来たな」


「意外と早かった。この下に盗賊団が居ましたね」


「そうだな。なのでここからはシュナリが先に降りてくれ」


「十分に盗賊団がいるかを注意して降ります。人の臭いがあれば直ぐに知らせます」


「そうしてくれ。行くぞ」


 先にシュナリを送り俺は後ろからついていく。

 階段を降りて行く途中。

 シュナリが足を止めた。

 俺もそこで足を止めた。

 じっと動きを止めて、何かを感じているよう。

 嗅覚に神経を集中させる。

 シュナリが小声でいった。


「居ます。下の階に5人の人の臭いが」


「本当なら、パンナオ盗賊団だろうな」


 やはり居るのか。

 俺を待っているのかもな。

 パンナオも不審に思ってる。

 なぜ部下の盗賊4人が殺されたのかと。

 そして囚われていた俺が居ないことに。


「引き返しますか」


「決着をつける。引き返しはしない。俺がやる」


「ご主人様1人では困難ではないかと…」


「心配は無用だ。俺がどうやって捕まったのを脱出してシュナリを助けにいけたのか、不思議だろ?」


「確かに。ご主人様が助けにきて嬉しくて深く考えてませんでした。どうやって盗賊団から逃げてきたの…」


「見てれば理解できる」

 

 まだバジリスクはシュナリには披露していない。

 ここは使用すべきポイント。

 絶対に逃しはしない。

 パンナオめ…みてろよ。

 

「ここからご主人様を見学してます」


 まずは、パールスピアを消去。

 スピアと盾は砂に戻す。

 シュナリはどうして?って風な顔に。

 俺はそこでバジリスクを呼び出す。


「バジリスク!」


 砂が硬化するとバジリスクが現れた。

 シュナリはまだ不思議そうに見ていて俺が何をするのかわからないようだ。

 バジリスクは見た目はただの剣。

 実際に使うまではな。

 使えばわかるだろう。

 俺は階段をゆっくりと降りていく。

 盗賊団らはもう俺の存在に気づいたのかな。

 気づいていようが、構わない。

 どちらにせよ、勝負は一発勝負。

 それとも、なにか罠があるのか。

 盗賊団の罠にかかれば俺は死ぬ。

 どうでるか、降りればハッキリする。

 階段を完全に降りて地下2階の地に着いた。

 暗闇に隠れてるのか、姿は見えない。

 何を企んでる。

 俺は知らぬ振りをして前に進んで行った。

 そこへガタッと物音がした。

 俺はそこで足を止めた。

 来るか!


「やはり生きてやがったか。どうやって俺の仲間を殺した?」


「戦えばわかるさ」


「泣きごというなよ。お前が殺せるわけがない。レベルも一ケタ。たかがしれてる。誰か強力な冒険者が現れて殺したのだろう。お前は運が良かっただけだ」


「運が良かったのはお前の方だがな」


 まぁ戻ってきたのは運が悪かったけどな。


「うるせぇ若ぞうだ。この場で始末しろっ」


 パンナオは部下に命令する。

 4人の部下どもは武器を構えると俺に対して睨めつけてきた。

 仲間が死んだのはテメェのせいだと言わんばかりに。

 手を出したのはお前らだから殺しても恨むなよ。

 俺も身構える。


「バカめ!、終わりだ!」


「死ねー!!!」


「仲間の死の恨みだ!」


「お前だけは許さねぇ!」


 4人が俺の周りを取り囲んでいた。

 同時に4人が復讐心を持って襲いかかる。

 前後ろから、左右からも。

 鋭い武器は俺の首、腹、心臓を正確に狙っているのが確実に伝わった。

 パンナオは笑っているようだ。

 完全に俺を殺せると思っている顔である。

 俺はそのタイミングでバジリスクを振り抜いた。

 全ての時がスローに感じられる。

 ゆっくりと俺に迫ってくる中をバジリスクの剣先を一周させた。

 バジリスクを構えに戻すと、4人はその場で死に絶えていた。

 パンナオに至っては笑っていて、部下が死んだことは理解していない。

 4人の瞬殺に成功したようだ。


「………馬鹿な…何が起こったんだ」


「見ての通りだよ。お前も死ぬんだよ」


「部下を全員殺したのはお前なのか…」


「だから言ったよな」


 パンナオは震えて何も言葉がないようだ。

 バジリスクを見られたからには始末は決定とします。

 

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