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109話

「今行きます!」


 軍の人達の集まりに急いで向かった。

 チユにシュナリとトカチも後からついてくる。

 トカチは今度は服は着ていて胸は隠されているので安心した。

 あのままの格好ではとても集中して戦うのは無理というものだ。

 それでなくてもピンチなのだから軍の人達からヒンシュクを買うだろう。

 周りは車内から見ていたよりも砂が舞う。

 砂嵐といったらいいか、トカゲの姿は確認出来ないのはツラい。


「ありがとう。助かる。自分達だけで倒せると思い挑んでこのあり様になりました。敵が見えなくなったのは不覚でした」


「噛み付かれたのですか」


「はい、砂で身を隠して急に噛み付いてくる戦法です」


 見ると噛み付かれた後が痛々しい。

 流血していたので戦える状態ではないと見えた。


「休んでいてください。俺達で戦ってみますから」


 もちろん軍の人達の方が俺達よりも強いとは思うが、この場ではそれしか助かる方法はない。

 こうしている間にもトカゲが襲ってきた。


「みんな気をつけて!」


 トカゲをサーチしてみると


 オオトカゲ

 レベル8

 とあった。

 俺が突っ込んできた一匹を剣でなぎ払う。

 チユは回復に徹してもらう方がいい。

 傷口の手当てが先決である。


「チユ、傷口の手当てを頼む」


「はいよ、任せな」


 三人に回復魔法を行っている間にシュナリはオオトカゲの頭を持ち短剣を突き刺していた。

 手が速いのはシュナリのいい所。

 オオトカゲが痛がる。

 かなりの手傷を負わせたのはわかる。

 耐えきれずに砂の中に消えていく。

 シュナリは俺の方を見て殺りましたって感じに。

 良くやったと俺も合図を送ってあげた。

 この調子なら全匹倒せる。

 ただこの砂嵐みたいなのはうざったい。

 なんとかならないかな。

 戦い辛い。

 オオトカゲが二匹現れた。

 舌をペロリとだして本当に気味が悪い。

 俺とシュナリで対抗しておく。

 口は牙がかなり鋭いのが特徴。

 これに噛まれたら痛そうではある。

 シュナリが斬りつけて倒したようだ。

 一匹は震えるようにして流血して消えた後に魔石に変わった。

 よし倒せたな、次は俺の番だ。

 慌てなければ倒せるのがわかったから、剣でひと刺し。

 慣れてくれば飛び出てくる場所やタイミングもわかる。

 モグラ叩きのように飛び出てくる所を頭を叩き潰した。

 感触はあった。

 魔石に変わったのでちょっと安心する。

 

「ご主人様、さすがです」


「シュナリの戦い型を参考にしたんだよ」


「進君! まだ気を抜くのは早いな。よく周りを見てみるんだ」


 控えていたトカチが忠告する。

 

「げっ……」


「ご主人様、この数は増えてませんか、それとも幻覚でしょうかね」


「幻覚ならいいけど、俺にも大量のオオトカゲが見えてるから、幻覚ではなさそうだ。おい、トカチ。これどうしたらいいかな?」


 シュナリは恐れて後退る。

 俺も危なくなってきたんで後退。


「ここは私の出番てとこか。進君とシュナリは下がっていて」


 怖がる俺とシュナリを対照的に前に出てきてオオトカゲと戦う。

 

「大丈夫か、無理するな。お前は俺のよ……め」


「なーに? 良く聞こえなかったけど、後にして」


「はい……」


 俺の嫁と言いたかったのだが、相手を甘く見てはいけない。

 いくらトカチでもこの数であれば、タダでは済まないだろう。

 それなのに身を盾にした行為に感謝もした。

 俺の不安は的中したかのようにして、オオトカゲの数は増えた。

 ざっと見たら10匹は居た。

 ヤバすぎるだろ。

 そこでトカチは俺との戦いでも見せた両手剣を構えた。

 両手剣でも二本だし、10匹は無謀に近いよな。

 トカチが両手剣を振り始めると、それまで感じなかった強烈な魔力を放つ。


「うううう!!」


 トカチは唸りながら剣を大きく振る。

 砂の嵐の中に埋まったトカチ。

 見えなくなったのはいいが、大丈夫か。

 俺とシュナリは数歩下がって遠目に見守ることになった。

 完全にトカチの姿が消えた。

 あの中にオオトカゲが10匹、いや増えていたらどうする。

 俺の行動は正しいのか。

 見てるだけで自分を守ってるだけじゃないのか。

 その時砂嵐は乱れるようになった。


「ご主人様、砂嵐がぐちゃぐちゃになっていきます。まるで中から崩れていくように」


「トカチが中から強い風を作ったんだ。その風が砂嵐の形を変えて乱れ出したんだ!」


 風の勢いが増すにつれて音も激しくなる。

 俺の顔にまで風が飛んできた。

 凄い風の強さだ。

 圧倒的な強さで砂嵐は消し飛んでいった。


「見てください。砂嵐は消えちゃいましたよ」


「魔力が凄まじくアップしてるのを感じる。恐ろしいな」


 後にはオオトカゲがズラリと並んだ。

 トカチはこれで怖くないとばかりに、剣を乱舞した。

 目に見えない速度で乱れ打つ。

 オオトカゲの血しぶきが舞った。

 オオトカゲは動きだすことなく、一歩も動けぬまま殺されていた。

 これが魔族の力なのかな。

 ちょっと怖いくらい強いのに、俺とシュナリは身震いしていた。

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