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交流 3

『 Hi! みんな、元気かな?

 僕は元気だよ! A-ha-ha!


  日本文化について最近詳しく調べ始めた僕なんだけど、日本文化ってホントに面白いよね。

 特にアレ。

 日本人ってさあ、「究極の選択」が好きだよねぇ。

  わかりやすいところで、カレー味のなんとやら、ってね。

 アレって何故かな?


 欧米文化で育ってきた僕には最初理解できなかったんだけど、やっとその面白さってのが分かってきてね。最近、フレンズたちと究極の選択を出し合っては楽しんだりしてるんだ。


 だから今日、親愛なるフレンズに、ここでもやってみようと思うんだよね。


 さあ! 究極の三択!


 僕が出した問題、君ならどれを選ぶ?

 次の三つのうち、どれか一つを飲まなきゃいけないとしたら、君はどれを選ぶかな?

 シャッフルして前に置いておくよ!



  1.濃硫酸

  2.液体ナトリウム

 3.スノーホワイト印のリンゴジュース




   実際に飲んでない人のコメントは自動的に削除されるシステムを組み込んであるよ。

 逆に言えば、コメント数は仲間の、同志の数。さあさあ怖がらずに。


 ぐいっとイッチャイナアアアアア!


 Aーha-ha!

 みんなに期待してるよ!――』







 ……うーん、相変わらずHITACHI王子さんは飛ばした活動報告を出すなあ。


 ウチは本日のHITACHI王子さんの活動報告を読んでため息をついた。


 究極の三択か。どれどれ。どんなコメントをみんなしてるんやろ。


 気になって、ウチはコメント欄に目を走らせた。

 その中にフルフルBEY大佐さんの名前を見つけて、ウチは目を留めた。



それがし、一番を選択いたす。

 ……死に場所、ここに見つけたり」



 大佐!

 ここでも死に場所の話、してる!



 それ以外のユーザーさんのコメントも確認したけど、みんなイマイチなコメントやった。


 えええ?

 ……みんな、気ぃつかへんの?


 ウチは首を捻った。


 相手は「ヒタチ王子様」やで。

 そして「スノーホワイト印のリンゴジュース」やで。

 つまりはそういうことやろ?

 それしか考えられへんやろ?

 ヒタチ王子さんは、アレを期待してはる、ってことやろ?

 もう、鈍いなあ、みんな。


 ……よし、ここはウチが見本を見せちゃろかい。


 ウチは勢いよくコメントを打ち込んだ。



「三番のジュースを選んじゃいました♪


 ゴクゴク……パタン、きゅー。


 ……ささ、王子の出番ですよ。


 あおむけで胸の前で手を組んで目を閉じていますよ。


 さあさあさあ。


 さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあsあssa……』





 ――それからしばらく執筆していたウチやったけど、休憩しようとホームに戻った。

すると、なんとヒタチ王子さんからメッセージで返事が来ていた。


『ありがとう、子猫ちゃん!

 君の心を確かに受け取ったよ!

 まったく、あいつら愚民どもときたら、僕がここまで舞台を揃えてるっていうのに、読みが鈍くてイライラするよね。

 焦ったくて発狂しそうだったよ。

 やっと待ち焦がれた君のコメントに、ようやく胸のすく思いがした僕さ。


 君だけが僕の心を解してくれた、唯一のミラクルガールさ。流石、僕の認めた子猫ちゃんだね。ありがとう。


 メキシコシティより、感謝と愛を込めて……by HITACHI』



 ……え? 今、王子、何処にいるの? 南米?

 いやそれより、わりと黒いっていうか、かなりの不遜キャラで来ましたね、今回。

 まあ王子といえば王子らしいか。毎回毎回キャラの徹底ぶりには賞賛しますわ、王子。


 ウチはさっさとホームへ画面を切り替えた。すると、感想欄が更新されました、の赤文字通知が目についた。


 おお! 感想ゲット!どの作品に?


 ワクワクして赤文字をクリックしたら。

 いただいた感想はエッセイあて。


 うーん、この前エッセイで書いたのはどんなテーマやったかな。確か、ウチは胸が小さいので、その悩みを愚痴った内容やったと思うけど。


 一体、誰から?……



『ヘイヘイヘイヘイ!

 そんなにYOUは気にすることないと思うYO! 』


 冒頭の文を読んだだけで、ウチは相手が誰か理解した。


 烈茶飯田れっさぱんださん、というお付き合いしているお気に入りユーザーさん。

 うーん、相変わらずのこのテンション、ついていけんわ。ゆとり世代なんかな?

 でも活動報告の感じを見るに、ウチよりも年上ではないかと思うんやけどなあ。……若作り?


『僕の彼女はEカップだけれど、女はカップ数じゃないYO! 中身が大事だYO!

 ほら、僕の作品のキャラクター、Hカップ妖精マカロニさんも応援にきたYO!


 ……ヒラヒラ☆プルルン☆

「えっとぉ、わたしはぁ、生まれた時からすっごく胸がおっきかったっていうかぁ、なんにもしなくても最初からおっきかったけどぉ……うーん、でもおっきいとぉ、肩こるしぃ、じゃまなだけだよぉ。谷間に汗かいちゃって蒸れちゃうしぃ……てへっ☆☆☆。……だからぁ、そんなに気にしなくてもいいと思うのだぁー。それよりもぉ、もっと強く生きるのだぁー。明日はき☆っ☆と☆いいことあると思うのだぁ☆ だ・か・ら、あなたもが☆ん☆ば☆って☆☆☆」 』


 また、きやがったよ……! このマカロニ野郎……!


 実は烈茶飯田さんの作品で一番の萌えキャラであるこの巨乳天然ロリータ妖精(万死に値する女)がウチの感想欄に舞い降りたのは二度目や。この間来たときは感想欄にて、そこら中にバサバサと鱗粉をまき散らしやがったから、殺虫剤で追い払ったんやけどな。


 ……うーむ、こうきたか。

 じゃあ、ネタにはネタで丁重にお返しせんとな。

 ウチは早速返信文を打ち始めた。


『また、きやがったよ……コイツ……!(くそ、殺虫剤がきかなかったのか?)

 まて! この野郎! 今日こそ、この恨みはらさで置くべきか! そのチチ、むしりとってやる! 


 ……バン! バン!(ハエたたきで追い回す音)ぷぎゃっ! ……くるくる、ペタッ。


 い、いや……やめて……(じりじり)こ、こないでぇぇっ……いやぁぁぁぁぁっ!(ビリビリビリッ)きゃああああ!……(むんず)ひいいぃぃっ! いや、そ、それだけは、お、お願……やめてやめてぇーっ!(ぶちいぃぃぃっっ!)ぎぎぃややああああああああああぁぁぁぁぁぉぁぉぁぁーーーーーー……



 うう……お願い……もう、許し……(ダンッ!)はぁうあっ!………ぐちゃっ……ザクッ……ボタボタッ……あ、あう…………ガンッ! ……ドスドスッ!……ぐちゃり……くちゃ……ぶちゅ……ぷち』




 ……ふう。

 まっ、ざっとこんなもんか。


 ウチは満足して、パソコンの前から立ち、シャワーを浴びに行った。


 髪をタオルで拭きながら、ビール片手に再び机に戻ってきたら。

 またもや、パソコンのホーム画面に赤い文字が。

 カーネリアさんからのメッセージやった。


『こんばんは。あ、あの、necoさん(ウチのユーザー名)大丈夫ですか?

 実は先ほど、エッセイの感想欄を拝見しまして。

 かなりお疲れ、というかストレス溜まってらっしゃるんじゃないですか?』


 あはは。ウチは笑ってもうた。


 ええ人やなあ。カーネリアさん。

 冗談やのに(いやちょっと本気出したけど)本気にとらえはって。ふふ。


 ウチは微笑みながら返信した。


『こんばんは。カーネリアさん。

 ごめんなさい、ご心配をおかけしたみたいで。でも、大丈夫ですよ。あれは冗談です。ネタをネタとして返しただけですから。

 どうか本気でとらえないでくださいね(笑)』


 すぐにまた返事が来た。


『ああ、そ、そうですか。良かったです。なんだかあまりにも真に迫っていたからびっくりしてしまいまして。そうですよね。冗談ですよね。あはは。面白かったです。


 今回のエッセイのテーマについてなんですが、僕も烈茶飯田さんと同じで気にされることはないと思いますよ。

 胸で人を好きになる、って人はなかなか居ないと思うのです。(中にはいるかもしれませんが)

 やはり決め手は胸ではなくて、「顔」だと思うのです。


 ……ご、誤解を招くような言い方になってしまいましたかね。顔って言っても、美醜の問題では無くてですね。顔の好み、ってあると思うのです。きれいかわいい関係なく、人それぞれ好きな顔ってあると思うのです。

 すみません。中身で人を好きになる、といえるのが一番なのでしょうけど、実際、いきなり中身を見て人を好きになることはまずないかな、と思うのです。とりあえず外見で興味を持って、それから中身を知って、より好きになっていくのであって……あれ? 何の話をしてるのでしょう……。

 とにかく、僕が言いたいのは全然気にされなくていいですよ、ってことです。胸が第一関門にはならないってことです。

 ちなみに、僕みたいに小さい胸が好きな男もいるはずです。

 ……なに、言ってんですかね、僕は(笑)


 ……すみません、話が変な方にそれました。忘れてください。

 それでは失礼いたしました。


 カーネリア』



 ふふ。


 ウチのこと、一生懸命慰めてくれようとしてんのやろか。


 ウチは画面をにんまり見つめた。


 なんだか嬉しくてニヤけちゃうじゃないですか。


『ありがとうございます。大丈夫です。分かりました。カーネリアさんのおっしゃる通り、もう気にしないようにしますね。(笑)』


 ふふ。


 ウチはなんだかとってもいい気分になって、その日は眠りについた。


 それから、カーネリアさんからメールがちょこちょこ来るようになって、ウチもちょこちょこメールを送って。

 どうでもいい話題とか、好きな本の話で、盛り上がることが多くなった。


























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