決意
ウチはユミちゃんに言われたその日、帰宅して真剣に将来について考えてみた。
このまま、ウチはケイスケと付き合っていくだけの人生を送るんか?
初めに付き合った男と十年もだらだら居って。
世には女以上に男がいるというのに。
その男だけしか知らんと。
ウチは花が咲くことなくこのまま終わるんか?
いやや。
ウチはまだ三十じゃ。
……いや。
ウチはもう三十じゃ。
そろそろ人生に本気で向かい合わなアカン。
いつまでも中途半端な男にしがみついてんと。
しっかりした男を探さなあかん。
人生の伴侶。
この世間の荒波をともに乗り越えていく戦友。
子供を産んで、一緒に育てて。
子供が大学を卒業するまでしっかり養ってくれる。
キビシイ老後のことを十分に考慮して蓄える。
アリとキリギリスのアリのような。
そんな頼れるパートナーをな!
だから、あんたとはサヨナラじゃ。ケイスケ。
ああ、ウチは今まで何しとってんやろう。
なんで我慢してあんな男と今まで付き合っとったんやろう。
女の賞味期限、というか、女がもてはやされる期限は。多分、三十五歳までや。
結婚相談所では、女性会員の場合、三十五を過ぎると途端に相手が減り。二十代の女性会員はそれだけで引く手数多、というのを聞いたことがある。
また、どんなに美人で優秀であったとしても。三十五歳以上の女性に近寄ってくる男は遊び目的の可能性が高い、ということもな。
異論はあるかもしれへんけど。ウチも悔しゅうてならんけど。
残念ながら、世間で言われてるのは三十五歳以下や。
それまでもう五年や。
ウチはそれまでに素敵なパートナーを掘り出して、ゲットせなあかん。
のんびりとうかうかしていられんのじゃ!
一分一秒も無駄にできん!ーー
『その日は用事があってあかんねん。しばらく忙しい』
会わへんか? とウチにメールを送ってきたケイスケに、そう返信し。
いわゆる。ウチは。
結婚相談所、に入会した。――
ジョン グレイ先生の恋愛論〜ケイスケの場合〜に続きます。
あちらと交互で更新していきます。




