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68.色々

話がぶつ切りになってます。

「それでけっきょく何がどうなってたのかわかったのか?」


 俺が今いるのはシーリアの部屋でシーリアとお茶を飲みながら事の顛末を聞くことにした。ギルドの方には訓練がてらエリナ達が行ってくれた。

 ギルドのシステムに詳しいスイナが居るので楽ではあるのだが、そんなに訓練がんばらなくてもと思う。


「簡単に言えば私を心配した父が監視できるように準備させていたが、そこにセルスが手を加えたみたいだな。セルスと黒幕はすでに処理済みだ」

「強さしか見てなくて、人柄は報告だけ。心配になるのはわかるけど飼い犬に手をかまれるところだった訳だ」

「そういう事だな。ちなみに黒幕は私の元婚約者だ。セルスはそっちとの繋がりがあったらしくてな。用意してあったものに別の物を混ぜておいて、君たちがこちらに移り住んでから問題を起こして君をどうにかするつもりだったようだ」

「……こっちは特級を四人揃えているのに無謀な事を考えるもんだ」

「いくら強いとはいえ寝込みを襲われたらと言う事だろ」

「その程度の対策すらしてないと思われてるのかね」


 正直なめられてるなぁという感想しか思い浮かばない。とはいえこちらを知らなければそんなものなのかもしれない。所詮は平民とか思っているのだろう。


「選民意識の塊だったからな。王国のというよりも帝国のと言った方が信じられるくらいだ」

「実際繋がってたりしないのか?」

「どうだろうな? 繋がってたとしても私に降りてくる情報ではないさ」

「それもそうか」


 情報なんてのは知ってればいい人が知ってればいいだけの話だ。無差別にひろげていいものではない。


「それでそちらはどうだったのだ? というかだ。異常に移動が速くないか?」

「カヤが寂しがったからな。かなり急いで向かって、ダンジョンは潜り続けてさっさと百階まで行ったからな。到達階層だから様子を見ただけの百一階が記録になったけどな」

「またカヤか。そうだとしても色々言ってない秘密がありそうだけど、その辺は話してくれないのかな?」

「もう少し身の回りの事を確認してからだな。今まで隠す事ばかりに集中してたからどこまで、そして誰なら話していいのか見極めるのが大変でなぁ」

「まだまだ私も警戒されてる訳だ」

「シーリアは警戒してないぞ? ただ、こっちはそれぞれに対抗手段があるがシーリアにはないだろ?」

「確かにないがカヤはどうなんだ?」

「魔道具も渡してあるし、巫女達もカヤにはかなり気を使ってもらってるから大丈夫だろ。トウカも短時間ならなんとかなるらしいし」


 トウカの落ちた体力はすでにけっこう戻って来てるらしい。これも加護の一つということなのだろうか? 他の巫女もそれぞれにそこそこ戦えるので問題ないと思われる。


「しかし、本来私はもっとも警戒する相手じゃないのか? 君を取り込み取り入れようとするのが私の役目だぞ?」

「そう言いながらすでにこっちに来始めてるのは自覚があるだろ?」

「いや、それは……否定はしない」

「それになんとなく、俺を引き留める役目はあってもそれ以上はなさそうだし、気にしなくてもいいさ」


 こちらに危害を加えそうかどうかは見てればなんとなくわかる。実はメイドの中に変なのが混じっていたが、すでにいない事から何かしらの魔道具、もしくはセルス関係で処理されたのだろうと思う。

 それにしてもあのセルスは危険ではなく警戒程度にしか感じ取れなかったのだから俺の感覚もあてにならない。

 ……そう言えばこんな力はいつからあるんだろうか? さっぱりわからん。


 そんなこんなでシーリアと色々話をしてそれじゃぁそろそろとなったところで言われた。


「そうそう父から早く孫の顔が見たいと言われた」

「兄も姉もいるだろうに……」

「そっちは父自ら可愛がることはできないからな」

「王様がお忍びでやってくるならもっと城に近い場所にするべきだと思うけどな」

「最初の予定なら父も顔を出すなどできなかっただろうさ。だが今は強者とはいえ平民の所だからな。権力的な争い事にはならないから気軽に来れるんだ」

「気軽に来るなと言いたいよ」

「それはそうと……私の相手はいつしてくれるんだ?」

「もう少しシーリアがこっちよりになってからってのはダメか?」

「触れ合いがあればより強く惹かれるかもしれないぞ?」

「ずいぶん割り切ってるんだな。さすがは王族育ちってことかな」

「失礼だとは思うがあの男が婚約者だったんだぞ? それと交わるのを覚悟してたんだ。今の状況は何倍もいいに決まっているだろ?」

「あーはいはい、それじゃ今日中に協議の上決めておくよ」

「君が決めれば通るんじゃないのか?」

「基本的にはな。でも夜の事になるとエリナが主導なんだよ……」

「あの子がか? 人は見た目によらないものだ」


 そんな話をした数日後にはシーリアと夜を共にすることになった。




 ダンジョンから帰って来て三ヶ月くらいは好き勝手にやりたいことをやっていた。

 その間に俺とシーリアの結婚が発表されたりと色々な事があった。


 例えば家でのんびりとしていた時の事、何やら下が騒がしいと思って顔を出すと以前見た事のある顔があった。


「王様、何しに来てるの?」

「可愛い子供に会いに来たのだ」

「来たのだじゃないよ。仕事はどうした……」

「臣下達は優秀なのだよ」

「そうですか……。応接室に案内を、それとお茶の準備とシーリアを呼んで来てくれ」

「その必要はないよ。お久しぶり父上」

「おぉシーリア息災か? 彼に可愛がってもらっているか?」

「十分に。問題なければ近々妊娠するんじゃないかな?」

「そうかそうか、押し付けたようなものだからどのように扱われているか心配していたが愛されているなら安心したよ」

「中々いい所に嫁いだと思っているよ」


 本人が居る前でそういう話をしないでもらいたいなぁと思った。それにしても……


「いつまで立ち話してるつもりなんだ? このまま帰る訳じゃないならゆっくりお茶でも飲んでいくといい」

「そうさせてもらおうか」

「それにしてもユキトは王に対しての口調じゃないな」

「一度ケンカ売りに行ったからどうにも丁寧にって意識にならなくてな。それに今はお義父さんなんだろ?」

「くくく、そうだな。人前ならともかく家の中でなら何の問題もない」

「そうらしいぞ」

「君は大物だな」

「これでも一応、とある里では信仰される神様だからな」

「その話は興味があるな」

「はいよ。ちゃんと話をしますよ」


 そんな感じに王様との交流をしてみた。意外と話せるおもしろいおっちゃんだった。その感想をそのまま伝えたら、親子そろって大笑いしてた。




 またある時のザッシュホールダンジョンの攻略での事。


「ミヤビはもう少し相手との強さの比較ができるようになろうか」

「そうですね。申し訳ありません……」


 ミヤビが耳もしっぽもシュンとさせていた。理由は簡単。またやらかしたのだ。最下層のボスだからと気合を入れた一撃であっけなく沈んでしまった。

 実はこれに関してはミヤビだけが悪いとは言えない。俺も今のミヤビだと少し危険かもと思って色々とエリナに支援魔法を使ってもらっていた訳だが、予想以上にミヤビの実力が伸びていた事と、ボスの耐久性の問題で一撃だったのだ。

 気合入れて来た俺達全員がポカンとしたのは仕方がない事だった。


「ミヤビの実力がすご過ぎておそらくユキト君の次くらいに特級の中では強いんじゃないかな? ユキト君は別次元だけど」

「まだまだ向こうよりだとは言えすでに俺以外に相手がいないんだよな……。手軽な所で使徒が仲間にならないかな?」

「ユキト君さすがにそれは無理なんじゃないかな?」

「俺の名前が内外に広く発表されたからな。もしかしたら誰か来るかもしれない。敵か味方かはたまたどちらでもないのか? 箱は開けてみないとわからないけどな」

「敵だった場合まずいのでは?」

「いざとなったら……やるしかないかなぁ」


 出来れば殺したくはないけど、狙われた場合はちゃんと対応しておかないと後が怖い。守るべきものの優先順位を間違えてはいけないのだ。


「それはともかくミヤビ。今は確かに強いけど、今のミヤビ以上に強い魔物も多数存在するから気を抜かないように」

「そんな魔物がいるの?」

「人の手が入ってない奥地にはそういう場所もあるんだよ。ここのボスだって向こうの基準で中級の上くらいの強さしかない訳だし」

「……精進します」

「そうしてくれ」


 みんな確実に強くなってはいるが使徒相手だとまだ心配は残る。その中でも頭一つぬけてしまったミヤビが暴走しないか少し心配している俺だった。




 ふと思い出したある事。


「スイナ……院長に何か報告に行った?」

「……行ってない」

「色々後回しになったけど行かないと不味いだろ? 俺も一緒に行くから行こうか」

「待って! 待って! 私が行ってくるから! 一人で行って来るから! ね!」

「いや、俺も久しぶりに会いたいんだけど、そんなに会わせたくないの?」

「一緒には行きたくないの! だって、絶対ひどい目に遭うもん……」

「ひどい目って……」

「私の恥ずかしい過去の暴露とかそういう黒歴史っぽいものを……」

「なるほど……」

「ダメだからね!」

「わ、わかった」


 そうして一人でスイナは出かけて行った。

 帰って来たスイナはものすごくぐったりしてた。


「えっと、大丈夫か?」

「大丈夫じゃないよ……。もうレッカとは会わないでね? 会っちゃダメだからね?」


 死んだ魚のような目でそうつぶやく物だから了承するしかなかった。

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